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【特集:パリ・オペラ座バレエ】⑤ブルーエン・バティストーニ(プルミエール・ダンスーズ)インタビュー~日本のお客様は優しくて熱い。みなさんに会えるのがいつも楽しみです!

若松圭子 Keiko WAKAMATSU

©︎Jean-Pierre Delagarde / Opéra national de Paris

2024年2月、パリ・オペラ座バレエ日本公演が開幕! 4年ぶりの来日となる今回はヌレエフ版『白鳥の湖』とマクミラン振付『マノン』の2作品を上演します。

太陽王ルイ14世により創設された世界最古のバレエ団として、偉大な歴史を刻み続けてきた同団。2022年にはジョゼ・マルティネズが芸術監督に就任し、さっそくオニール八菜やマルク・モロー、ギヨーム・ディオップがエトワールに任命されるなど、今また新たな時代が拓かれようとしています。

本特集では、パリ・オペラ座バレエのダンサーたちのインタビューを連続でお届けします。
第5回は2023年にプルミエール・ダンスーズに昇進したブルーエン・バティストーニ。昨年の来日公演「オペラ座ガラ―ヌレエフに捧ぐ―」では、ポール・マルクと『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥを披露した、エレガントなバレリーナです。

Interview #5
ブルーエン・バティストーニ Bleuenn Battistoni
プルミエール・ダンスーズ

ブルーエン・バティストーニ ©Ballet Channel

このたびのプルミエール・ダンスーズ昇進、おめでとうございます。ここまでの道のりを振り返って、長いと感じましたか? それとも思っていたよりも早かったでしょうか。
アリガトウ。コリフェに上がるまでには3年という少し長い時間がかかりましたが、そこからはテンポよく昇進できていると感じます。
プルミエール・ダンスーズになって変化はありましたか?
大きく変わったのは、ソリストの役だけを踊るようになったことと、リハーサルの参加時間がとても短くなったことでしょうか。カドリーユの時のように毎日のリハーサルではなくなった代わりに、一回ごとのリハーサルの密度はとても濃いものになりました。主要な役を踊ることで注目されることも増え、それに伴ってプレッシャーも感じ始めています。ステージに上がる前に緊張することも多くなりました。
舞台に上がる前、緊張を解くためにすることがあれば教えてください。
緊張しているなと感じたら、まず深呼吸。深く息を吸って、ゆっくり吐いて。それから頭の中で自分に向かってこう言います。「私はこれまで充分に練習して、そしてすべて出来てきた。だから統計学的に考えても失敗する確率はほとんどない。きっと大丈夫」(笑)。顔がこわばってしまう時は表情筋を動かしたり、顔をぐにゃぐにゃと触ってほぐします。鏡に向かって色々な表情を作ったりもしますね。するとだんだん緊張が解けて、表情も豊かになってきます。
プロのダンサーになるまでのお話も聞かせてください。バレエは何歳頃から、どんなきっかけで始めたのでしょうか?
バレエを始めたのは4歳です。母は私にスポーツをさせたいと思ったそうですが、同じ身体を動かす習いごとだからと、バレエ教室にも見学に連れて行ってくれて。それが始めるきっかけになりました。踊るのは本当に楽しかったです。
プロのバレリーナになりたいと思ったのはいつですか?
11歳でポワントを履くようになったころ、自分の身体は周りの友達よりもバレエに適している、上手くなれると感じたのがきっかけです。
パリ・オペラ座を選んだのはなぜですか?
レッスンの内容に惹かれました。クロード・ベッシーが校長を務めていた時代のパリ・オペラ座バレエ学校のビデオを見て、オーレリ・デュポンが受けていたクラスレッスンが印象に残り、私もこの中で一緒に踊りたいと思ったんです。
また、私の祖父母はパリ・オペラ座の公演がテレビで放映されるたびに録画しておいてくれました。ニコラ・ル・リッシュとレティシア・プジョルの『ジゼル』や、マチュー・ガニオの『コッペリア』、アニエス・ルテステュとステファン・ビュリオンの『椿姫』……どれも本当に素晴らしくて、観るたびにパリ・オペラ座に入りたい思いは大きくなりました。
そうして少しずつパリ・オペラ座への道が見えてきたのですね。バティストーニさんは2013年から1年間パリ国立コンセルヴァトワールで学んだのち、2014年念願のパリ・オペラ座学校へ入学します。
12歳でパリ・オペラ座バレエ学校に入る意志を固めていたのですが、最初の試験は残念ながら不合格。そこでコンセルヴァトワールで1年間学ぶことにしたんです。コンセルヴァトワールでディプロマを出していただき、翌年からパリ・オペラ座バレエ学校へ入学することができました。
バレエ学校での日々はどうでしたか?
同学年のみんなよりも遅い入学になったので、途中から輪に入っていけるか不安でしたけれど、意外と早く慣れることができました。学校時代の思い出はたくさんありますが、いちばん印象に残っているのは、初めてデフィレに出演した時のこと。パリ・オペラ座バレエ学校に入りたくて入りたくて、夢にまで見た念願の舞台に立てたことがなによりも嬉しかったです。そしてもうひとつ。パリ・オペラ座バレエに入団を許された瞬間も忘れられない出来事でした。
カドリーユで入団したバティストーニさんは、4年後にコリフェ、その翌年にスジェに昇進。2023年はプルミエール・ダンスーズとして来日公演「オペラ座ガラ―ヌレエフに捧ぐ―」に参加し、ヌレエフ版『くるみ割り人形』第2幕のパ・ド・ドゥを踊りました。
ヌレエフ版の『くるみ割り人形』には独特な音楽性があります。とくにこのパ・ド・ドゥは「音楽とぴったり合わないパ」を敢えて利用しているのが特徴です。普通の音の取り方とは違うため、振付を理解して踊るまでにとても時間がかかりました。
リハーサルを経て得たものや、発見したことは?
コーチのエリザベット・モーランから得たヒントが心に残っています。このパ・ド・ドゥはまるで精密機械のよう。外側は細かく組み立てられているけれど、その中身はミステリーのままなのだと。
そのミステリーの部分をバティストーニさんはどう表現しようと考えたのですか?
上手く伝わればいいのですが、ビジューがちりばめられた美しい宝石箱をイメージしています。その蓋を開けると、中には小さなバレリーナがいて、美しい音楽に合わせて踊り始める……古典バレエのエッセンスを詰めこんで、ダイヤモンドの輝きのような踊りを意識しました。
最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
いつも私たちを支え、応援してくださる日本のみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。公演の後に待っていてくださるお客様と直接お会いできるのも来日の楽しみのひとつです。みなさんの熱い思いと優しさがじかに伝わってきて、とても嬉しくなるんです。

©Ballet Channel

ブルーエン・バティストーニ Bleuenn Battistoni
リヨン出身。2013年 CNSMDP(バリ国立高等音楽・舞踊学校)へ入学。2014年 パリ・オペラ座バレエ学校へ入学。2017年パリ・オペラ座バレエにカドリーユとして入団。2021年にコリフェ、2022年スジェに昇進、2020/2021シーズンのAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞した。2023年プルミエール・ダンスーズに昇進。

公演情報

パリオペラ座バレエ団 2024年日本公演
会場:東京文化会館
詳細:NBS 日本舞台芸術振興会 公演ページ

「白鳥の湖」全4幕

音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付・演出:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
装置:エツィオ・フリジェリオ
衣裳:フランカ・スクアルチャピーノ
照明:ヴィニーチョ・ケーリ

2024年
2月8日(木)18:30
オデット/オディール:オニール八菜
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ

2月9日(金)18:30
オデット/オディール:パク・セウン
ジークフリート王子:ポール・マルク

2月10日(土)13:30
オデット/オディール:ヴァランティーヌ・コラサント
ジークフリート王子:ギヨーム・ディオップ

2月10日(土)18:30
オデット/オディール:オニール八菜
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ

2月11日(日)13:30
オデット/オディール:アマンディーヌ・アルビッソン
ジークフリート王子:ジェレミー=ルー・ケール
※[1/30追記]オデット/オディール役のアマンディーヌ・アルビッソンは降板し、代わってパク・セウンが主演する旨の発表あり。詳細・最新の公演情報は日本舞台芸術振興会WEBサイトでご確認ください

※上演時間:約2時間50分(休憩含む)予定

「マノン」全3幕

音楽:ジュール・マスネ
振付:ケネス・マクミラン
オーケストレーション・編曲:マーティン・イエーツ
原作:アベ・プレヴォー
装置・衣裳:ニコラス・ジョージアディス
照明:ジョン・B.リード

2024年
2月16日(金)19:00
マノン:ドロテ・ジルベール
デ・グリュー:ユーゴ・マルシャン

2月17日(土)13:30
マノン:ミリアム・ウルド=ブラーム
デ・グリュー:マチュー・ガニオ

2月17日(土)18:30
マノン:ドロテ・ジルベール
デ・グリュー:ユーゴ・マルシャン

2月18日(日)13:30
マノン:リュドミラ・パリエロ
デ・グリュー:マルク・モロー

2月18日(日)18:30
マノン:ミリアム・ウルド=ブラーム
デ・グリュー:マチュー・ガニオ

※上演時間:約2時間45分(休憩2回含む) 予定

 

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