バレエチャンネルでもおなじみの“ヤサぐれ舞踊評論家”乗越たかおさんが、前代未聞のプロジェクトを始動する。
プロの舞踊評論家を養成するプログラム――と言っても、ただレクチャーを受けたり書く訓練をしたりするだけではない。事前選考によって選ばれた5名ほどの受講者が、まずは半年ほどかけて乗越さん考案のプログラムを受ける。そこから最終的に選ばれた2名が海外の国際ダンスフェスティバルに派遣されるというビッグ・プロジェクトだ。
題して「舞踊評論家【養成→派遣】プログラム」。
受講したい人はまず2023年5月19日(愛知)、5月27・28日(神奈川)上演のキッドピボット来日公演『リヴァイザー/検察官』を鑑賞して、評論2000字を書いて応募する、という仕組み。
講座の運営・事務局は、プロフェッショナルなダンス環境の整備とクリエイター養成のための事業をあらゆる角度から展開しているDance Base Yokohama(DaBY)が担当し、海外派遣についてはEU・ジャパンフェスト日本委員会が助成するという。
「本プログラムはよくある『書き方教室』ではない。相当の筆力を当然に持っている者が、さらにプロの舞踊評論家として自分のスタイルを発見するためのものだ」と語る乗越たかおさん。
しかしそもそも「舞踊評論家」とはどういう人のことなのか? 例えばライターとはどう違う? 評論家になるために、具体的にはどんな勉強をすることになるのか?……等々、いろんな質問を乗越さんにぶつけてみた。
作家・ヤサぐれ舞踊評論家の乗越たかおさん
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舞踊評論家はアップデートされる必要がある
- 「舞踊評論家【養成→派遣】プログラム」、詳細や応募要項が発表されたとたん、大反響だったようですね。
- 乗越 情報を掲載した僕のツイッターのページには2日で3万、2週間で10万のページビューがありました。これは実際に応募を考えている人だけでなく、舞踊評論じたいに問題意識を持ってくれている人がそれだけいるということ。とても嬉しいです。
- この講座を立ち上げることにした理由、経緯を教えてください。
- 乗越 ひとつにはまず、舞踊評論家はアップデートされる必要があると考えたことです。例えばアーティストにはエクスチェンジ・プログラムなど海外で学ぶ機会があるし、ディレクターやプロデューサーは仕事としてダンスフェスティバル等に出向き、世界のダンス界と交流することができます。しかし評論家には、そうしたチャンスがほとんどない。だから評論家の中には15年、20年も前の話をいまだにとくとくと話している人がいるくらい、舞踊評論だけがどんどん遅れていっています。この状況をシステムから変えたいと思ったのが、この講座を企画した最大の理由です。
- 舞踊評論家をアップデートする。なるほど。
- 乗越 日本がバブルだった頃は、それでもよかった。ヨーロッパの一流のダンスが次々に来日して、国内に居ながらにして「世界のダンスの現在」を観ることができたから。しかし残念ながら日本は貧しくなり、招聘そのものが減っています。また招聘するにしても確実に集客できるものしか呼ぶことができず、日本では「日本の観客に合うもの」しか観られないという現実がある。そのようにフィルタリングされたものしか観ていない評論家が、「世界のダンス」を語っているのが実情です。しかもいまは近場のアジアにもおもしろいものや観るべきものがたくさんあるのに、そこにすら足を運ぼうとしないのが、日本の舞踊評論界の問題だと僕は思う。
世界を見回すと、劇場やフェスティバルが率先して、舞踊評論家を育てようとするプログラムがどんどん出てきています。そういう国際的な流れの中で、日本でも何かできないか……そう考えていたところに力を貸してくれることになったのがDance Base Yokohama(DaBY)です。DaBYはご存じの通りアーティストのための法律講座を開いたりするなどダンス環境の改善のために革新的な活動をしているダンスハウス。アーティストだけでなく舞台芸術に関わる様々なプロフェッショナルを養成しようという目的で「Pro Lab」というシリーズを立ち上げています。そのPro Labのフレームで本講座の事務局を担ってくれることになりました。また海外派遣については、日本の様々なアーティストとヨーロッパとの交流を長年支援してきたEU・ジャパンフェスト日本委員会が助成してくれます。当講座で最終的に選ばれた2名の派遣先は、2024年5月22〜24日にドイツで開催されるダンスフェスティバル「スプリング・フォワード」に決まりました。これはヨーロッパ全土から新しい才能が集まるフェス。2名には自分の目でそのアーティストたちや作品の本質を見抜き、考察して、レポートを発表してもらいます。
- ダイナミックな企画ですね! しかし私は舞踊評論を掲載するメディア側の人間として、「舞踊評論家になりたい」という人がそもそも減ってきているような気もしているのですが……。
- 乗越 減るも何も、僕が書きはじめた40年前なんて、舞踊評論家という人は2〜3人ぐらいでしたよ。新聞等の公演評も、ダンス・バレエ好きな新聞記者が書くのが普通だったし。その頃に比べれば、むしろいまはこんなにたくさんいる! と思うくらいです。
ただ、今回の講座を企画するにあたって様々な人とディスカッションしたなかで、最も多く出た声が「こういうチャンスは素晴らしいと思う。しかし肝心の『書く場』がなければ、応募する人もいないのでは?」という指摘でした。それはなるほど、と。ただ、「書く場」って何でしょうか? 「書く場がない」という人が持っているイメージは、得てして新聞や専門誌といった紙媒体やレガシーメディアだったりする。つまり「それ自体が縮小しているメディアに載っている舞踊評論」を見て、「書く場がない」と嘆いているだけです。いまはWEBメディアもあれば、自分で書いてアップして課金なり投げ銭なりで収益化もできるプラットフォームだってある。つまり「書いて発表する場」ということで言えば、いまは圧倒的に増えていますよ。結局「書く場がない」というときの「書く場」とは、旧来的な「権威的に保障された場所」のことを言っているだけじゃないでしょうか。確かにそういう時代はあった。でもそれはもともと「食える場」などではなかったですからね、欧米と違って。僕も紙の本は好きですし、いつまでも屋台骨としてしっかり存在してほしいと願っています。しかしいまはメディアの在り方そのものが劇的に変化している過渡期なんです。若い書き手は、デジタルネイティブ世代が生み出す、旧来の権威から解き放たれた可能性に満ちた未来の大海原を目指すべきです。
むしろGoogle翻訳やChatGPT等の精度が劇的に向上しているいま、WEBで公開すれば世界をターゲットにできるし、そういうプラットフォームは海外にはすでにあります。どんどんアクセスしたり、自分たちでも作ってしまえばいい。日本のダンスには「舞踏」という強力なブランドがあり、勅使川原三郎はじめ海外で広く認められたアーティストたちもいて、「日本のダンスに興味があるけど遠くて行けない」と思っているダンスファンは、じつは世界にたくさんいるんですよ。そこにアクセスできるような書き手が今後ますます求められるのは間違いない。だからそういう人材を養成したいし、そのためにはまず国際的な感覚とプロフェッショナルな評論の基本が必要。それがこの講座の目指すところです。
「舞踊評論家」とは何か?
- 先ほどの「減っている」ですが、厳密に言うと、「ライター」になりたい人は増えているけども、新たに「評論家」になりたいという人や、新たな世代で自他ともに「評論家」だと認められている人は、周りにあまり見当たらないな……と。そう考えると、つまり「舞踊評論家」とはどういう人のことを指すのでしょうか? 舞踊評論家と、例えば舞踊ライターや舞踊ジャーナリストは、具体的に何が違うのでしょうか?
- 乗越 まさにその問いが、今回の講座のスタート地点になると考えています。そしてその答えは、人の数だけある。ライターやジャーナリストもそれぞれのポリシーに基づいてそう称しているわけですし、素晴らしい人はたくさんいます。ただこの講座にあたって僕が持っている評論家のイメージは、「研究者の知見と、ジャーナリストのフットワークを持っている人」。つまり歴史的な視点から考察する知識と、世界の最先端でいま何が起こっているかを自分の目で確かめるためどこへでも飛んでいく好奇心。そのふたつを共に備えているのが舞踊評論家だと個人的には考えています。ただ、ここから先の深い話は実際の講座の中でお話しします(笑)。
- お話、気になります(笑)。しかしいずれにしても「書く仕事」ですから、ライティングの技術やいわゆる「文才」も必要ですね?
- 乗越 もちろんです。僕は若い頃にライターの仕事をしていて、そこから小説を書くようになったのだけど、その時に編集者からこう言われました。「ライターを長くやっていると、文章が“ライター言葉”になってくる。つまり、必要にして十分な言葉を当たり障りなく並べる器用さは磨かれるけれど、それ以上の意見とか、読者の心に引っ掛かるものは何もない文章になっていく」と。だから僕は文章への取り組み方として、小説を書くつもりで評論を書いているし、それが自分の強みだとも思っています。
評論家は文章の「プロ」でなくてはいけません。とくにChatGPTといったAIがいよいよ一般化してきたこの時代において、それはよりシビアに僕ら書き手に突きつけられる問題です。Open AIとはインターネットの海から「誰かが書いた文章」を拾ってまとめて出してくるもの。ならば僕たちは、そのAIが拾いに来るおおもとの文章を書ける存在であらねばならないし、そのポジションに立つならばAIは脅威でも何でもありません。かつてデジタルカメラが登場した時、「カメラマンの仕事はなくなる」と言われました。だけどやっぱりなくなっていないのは、彼らにしかできないプロの領域というものがあるからです。それと同じことが、評論の世界にもあるということです。
- ちなみに乗越さん自身は、いつから「僕は舞踊評論家だ」と自認したのでしょうか?
- 乗越 僕は、最初は「舞踊評論家になろう」なんて思ってもいませんでした。ただ「ものを書いて食っていこう」ということだけを決めていて、ライターとしてどんなジャンルでも興味を持って書いたし、小説も書いています。そんな20代の頃に日本がバブル期を迎えて、世界中からコンテンポラリーダンサーたちが次々とやってきた。それに大いに刺激を受けた日本人の若いダンサーたちが、自分たちでも作品をたくさん作り出すようになったんですね。それらの中には良いものもたくさんあったのだけど、世間には一向に知られる気配がない。そういう状況に腹が立って、「ならば俺の筆で観客を連れてきてやるわ!」と思ったのがダンスについて書き始めたきっかけです。
- 何度聞いても痺れるエピソードです……。
- 乗越 ただその時に決めたのは、「自分は『権威』にはならない」ということです。内輪の人だけが理解できるようなもの、「いったい誰が読むんだよ?」と思うようなものではなく、僕の評論を読んだ人がダンスの新しい魅力に気づいて、もっとダンスを観たい、もっと知りたいと思い劇場に足を運びたくなる。権威的な立場からではなく、小説を書くような文章の力で「おもしろそう、観てみたい」と思わせてやるわ!……と心を決めました。だから僕は「ヤサぐれ舞踊評論家」と名乗ることにしたんです。
- 乗越さん自身の評論観がよくわかるエピソードでもありますね。
- 乗越 最先端のアートの魅力を伝えるには、新しい言葉で伝えるしかありません。そもそも評論とは人が作ったものを観てから書くものだから、言わば人のふんどしで相撲をとるようなもの、あるいは後出しジャンケンみたいなものであるわけです。「そんなものに何の価値がある?」と思った時期もあるけれど、でもおもしろい評論は確かにある。そのおもしろさの正体は何かと考えたら、目の前のアート表現に対して、評論の文章もまた表現として成り立っていることではないか? と。表現VS表現として、ダンスと対峙できた時、はじめて評論はアートと対等に勝負ができる。そう気がついた時、ならば自分が書く意義もあると思えるようになりました。
- もうひとつ、「評論とは何か」についての質問です。例えばダンス公演のあとにSNSを覗いてみると、驚くほどキレ味鋭い感想や、非常に知的で深い解釈などがずらりとつぶやかれていて、圧倒されることがあります。しかしそういった人たちが、一般的に想像するような「評論」をどこかに書いているかというと、おそらく書いていない人が大半だと思います。そうしたSNS上での言論活動も「評論」と言えますか?
- 乗越 確かに凄い数を観ている人、鋭い感想を書く人はいますね。評論家になるための資格があるわけでもなく、もしも本人が「私は評論家です」と名乗るならば、SNS上の活動だけでも評論家ということにはなるのでしょう。ただ、少し前までは書き手と読者の間に必ず「編集者」がいて、その人が書き手を真のプロに育てていく役割を果たしていました。ところがインターネットの時代に入り、SNSも含めて誰もが自由に自分のメディアを持てるようになった。それは先ほども言ったようにとても良いことではあるけれど、いっぽうで教育係としての編集者がそこにはいない。それも大きな問題だと思っています。
「舞踊評論家」になるため何を学ぶ?
- 本講座のWEBサイトに「本プログラムはよくある『書き方教室』ではない」という乗越さんのコメントが載っていましたが、ここまでのお話を伺って、その意味がよくわかりました。
- 乗越 よかったです。とにかく今回は、「評論家とは何か」ということを、根っこの根っこからやろうと考えています。「君はどう思う?」とさまざまな問いを投げかけて、自分で気づかせる、自分で考えさせるということを徹底的にやる。もちろん書き手としての魅力を磨くため、実際に書くこともバンバンやってもらいますよ。思考を突き詰め、どんどん書くことで、自分なりの強みやスタイルをつかんでほしいと思っています。
- 考えること、書くこと。他にはどんなカリキュラムを用意していますか?
- 乗越 僕が舞踊評論家として積み重ねてきた40年の経験から得たものを、できるだけ伝えたいと思っています。評論家としての矜持の話もしますし、舞台を観るポイントも。あとは評論家として食べていくための話など、トピックスはたくさんありますね。もちろん書く上でのテクニック的な部分についてもレクチャーするつもりです。例えば「冒頭3行で読み手の心を掴む」みたいな、具体的な話もできたら。
- 私も学びたいくらいです……。さらにそうした座学の他に、「GAGA(*)受講」(講師:柿崎麻莉子)という、実際にダンスのクラスを受けるというプログラムが含まれていますね。
- 乗越 それも僕自身の経験に基づいて組み込んだプログラムです。以前イスラエルに取材に行った際、「GAGAを受けられるクラスがあるよ」と聞いて受けに行ったことがあるんですよ。急なことでジャージも何も持っていなかったけれど、「最先端の身体メソッドを体験できるなんて!」と、シャツ1枚とスラックスでクラスを受けました。もっとも、時々「踊ったこともないのにダンスのことを書くな」みたいなことを言う人がいますが、それは暴論です。踊る才能と書く才能や観る才能は、まったく違うわけなので。ただ、これからの評論家はダンスや踊る身体について最低限の好奇心は持ってほしいし、逆に知りたいと思いませんか? 思いますよね? と。
とにかく、まずは好奇心。そして「自分もやってみたい!」と体当たりしに行くフットワークをここで体験してほしい。ダンスで動くことを「ムーヴ」と言いますが、この言葉には「身体を動かす」という意味のほかに、観に行く・体験しに行くといった「身体を運ぶ」という意味もあるんです。
*GAGA=イスラエル・バットシェバ舞踊団の元芸術監督で振付家のオハッド・ナハリンが考案したダンスメソッド
- 知れば知るほどおもしろそうな講座ですが、応募のための課題は、2023年5月に上演されるカナダのダンスカンパニー「キッドピボット」の来日公演『リヴァイザー/検察官』を観て、その評論を2000字で書いて提出すること、ですね。
- 乗越 振付家のクリスタル・パイトはいま最も注目されている振付家で、僕も来日を心待ちにしていたカンパニー。その代表作ですから、課題としては最適です。しかもこれは「テキストとダンス」という重要な課題を内包し、そのために実に強固な構造を持っており、評論のしがいのある作品といえます。ポイントは、あくまでも「評論」として書くことです。例えば論文のような調子で書くのとは違う。いかに読む人の心をガッと掴めるか。そしてそのまま興味を引きつけながら読者を連れて行き、最後に「ああ、いいものを読んだ」と思わせることができるかどうか。読み手を魅了しつつ、深みを感じさせ、最後に納得の着地ができるかどうか。そういう点を見たいと思っています。
2000字という分量は、評論としては長めです。しっかりした構成力がなければ書ききれないし、それこそ“ライター言葉”で書いてしまったら――何の特徴もない、単なる情報の羅列になってしまったら、もう読むに堪えないものになる。そこに自分の見方やキャラクターが乗っていなければ、2000字はまず書けない。だからこその2000字です。それプラス、自分自身を分析して、自分の強みは何かということも、100字以内で書き添えてもらいます。
評論家には、備えておかねばならない大切な力が3つあります。まず、「受容する力」。「俺はこれしか認めない」と言っているようでは、ただの中二病です。次にそれを深い知見に基づいて「分析する力」。そして最後に力のある文章で「表現する力」。この3つを、まずは自分自身を対象にやってみてほしいというのが今回の応募課題の趣旨です。自分を分析できなければ、強みを伸ばすことはできませんから。
キッドピボット『リヴァイザー』2023日本公演より ©Tatsuo Nambu 提供:愛知県芸術劇場
- そしてその中で最も優れた評論を書いた5名が、選ばれし受講者になれるわけですね!
- 乗越 いえ、第1回目に相応しいと思った人を選ぶ予定なので、今回採用されなかった人が劣っているとは思わないでほしい。選考の評価軸は毎回変更する予定ですし(笑)。
- ひとつ、ちょっと思いきった質問をさせてください。評論は、その作品やパフォーマンスの良いところも良くないところも、中立的かつフェアな視点から偽りなく書かれなくてはいけないものかと思います。しかし実際に新聞や専門誌などの評論記事は好意的な評価のものがほとんどで、批判的なものはあまり目にすることがありません。それは媒体側の都合で批判的な内容は載せにくいからでもあるでしょうし、評論家自身が「これは良い」と思ったものしか書かないケースもあるかもしれません。もしそうだとすると、現在の舞踊評論には偏りがあるということにならないでしょうか?
- 乗越 それは、まさにいま状況が変わりつつあるところだと思いますよ。例えば「書評」。以前は新聞や雑誌の書評欄がすべてだったのに、いまはTikTokのインフルエンサーが自由な立場で解説した投稿のおかげで、昔の本や埋もれていた本がベストセラーになったりする。つまり、媒体と、書き手と、読み手の関係性が、いまダイナミックに変化しつつある。おっしゃるようにメディアの構造的な理由で好意的な評が多いかもしれませんが、今後は書き手からダイレクトに読者に届くようになれば解消されていくでしょう。もっとも現状でも褒めるだけではない評論を書いている人はけっこういますよ。批判的なことを書く場合は、よりいっそう説得力のある文であることが必要で、根底にはアーティストへのリスペクトがなければ(それが伝わらなければ)ならない。関係性は変わっても、評論の基本は変わらないでしょう。
- 最後に、応募を考えている人にメッセージをお願いします。
- 乗越 先ほどの例をもう一度引くと、いまはTikTokの「15秒書評」が若者たちを本屋に走らせ、15年前の本がベストセラーに躍り出る時代です。そんなふうに「作品」と「観客」を結ぶ力を、君たちの書く文章が持てるかどうか。初年度となる今回の受講者は5人ですが、この講座を3年続けられたら15人、5年続けられたら25人の書き手が育つ。しかもそのうち海外フェスを取材した経験を持つ若い書き手が10人もいることになる。そうなれば日本の舞踊評論の状況は確実にアップデートできるはずです。
同じ舞台を観ていても、SNSに書くために観るのと、評論を書く前提で観るのとでは、おのずから見方が違ってくるでしょう。本講座を受けた人は、それ以降の人生で、観るすべての舞台を評論家として観ることになる。以前よりも深く作品を受け取り、読者の心の奥へ文章を届けられるようになっているはず。
意欲のある応募を心から待っています!
講座情報
Dance Base Yokohama
ProLab 第1回舞踊評論家【養成→派遣】プログラム
【スケジュール】
2023年
5月19日 課題公演 KIDD PIVOT『REVISOR』(愛知)
5月27・28日 課題公演 KIDD PIVOT『REVISOR』(神奈川)
6月30日 応募締め切り
7月 受講者決定
8月〜12月 月に1回の講義
2024年
5月22〜24日 スプリング・フォワード取材のため開催地ダルムシュタット(ドイツ)へ派遣(渡航費・現地宿泊費・公演チケット代支給)、レポート執筆
6月 レポート発表(媒体は応相談)
【講義予定スケジュール】
第1回 講義+GAGA受講 2023年8月21日(月) 全員対面必須 遠距離者への交通費支援あり
第2回 9月12日(火)、第3回 10月10日(火)、第4回 11月14日(火)、第5回 12月12日(火)
第2回以降の時間はいずれも20時〜22時。ただしやむを得ぬ事情により、日時や時間が変更になる可能性あり。
・第2回目以降のオンライン受講可
ただし、第1回講義(8月21日)の講義はGaga/people(講師:柿崎麻莉子)受講のため、受講者全員での対面授業を行う。
【応募資格】
「18才以上。次代を担うプロの舞踊評論を目指し、乗越たかおの講義を受ける意欲がある者」
※応募の際はDaBYメンバーズへ登録をお願いします。(https://dancebase.yokohama/members)
【参加費】
20,000円(5名の合格者のみ必要。応募は無料)
【応募課題】
KIDD PIVOT公演『リヴァイザー/検察官』の評論2000字。ただし自分の評論スタイルを打ち出したものであること。評論の最後には、自分の評論スタイルを分析し、その特長を100字以内で書くこと。
※愛知(2023年5月19日)、神奈川(2023年5月27日~2023年5月28日 )公演のいずれでも可。
(https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000961.html)
(https://kiddpivot.dancebase.yokohama/)
「地域格差の問題はあるが、現代の最重要振付家であるクリスタル・パイトの公演を見逃すようではプロはおぼつかない。将来的にプロを目指す以上、継続的に一定数以上の公演を見続けるのは必須条件である 乗越」
【その他必要事項】
氏名、年齢、住所、職業/所属、応募理由を100字程度
【提出先】
https://onl.tw/cN1SKfM
【応募〆切】
2023年6月30日厳守
合否の通知は評論審査通過者のみに行い、ZOOMによる面談を行います。
審査完了時期は7月中になります。あらかじめご了承ください。
【詳細・問合せ先】
Dance Base Yokohama WEBサイト
contact@dancebase.yokohama