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【こども記者】新国立劇場バレエ団「ペンギン・カフェ」舞台鑑賞&取材レポートが届きました!

阿部さや子 Sayako ABE

去る2022年7月27日(水)〜31日(日)新国立劇場バレエ団が上演した「こどものためのバレエ劇場2022『ペンギン・カフェ』」
いろいろな動物のかっこうをしたダンサーたちが、ミュージカル映画ふうのダンスや、ジャズ、サンバなど、ゆかいな踊りをつぎつぎとひろうする楽しい作品ですが、じつはその動物たちはみんな、すでに絶滅(ぜつめつ)してもうこの世にはいない動物や、このままでは絶滅してしまう動物たちばかり。
「人間のやっていることは、本当に正しいのかな?」
「自分たちの都合(つごう)で、動物たちの生活や自然をこわしていないかな?」
と、わたしたちに問いかけてくる作品です。

この公演に先がけて、バレエのレッスンをがんばっている3人の小中学生がバレエチャンネルの「こども記者」となり、新国立劇場バレエ団におじゃましてリハーサル見学&インタビュー取材をしました。

そして取材から約10日後の7月末には、『ペンギン・カフェ』の公演を鑑賞!
上演前におこなわれた成島悦雄先生のトークショー「いっしょに考えよう!消えゆく生き物たちを救うには?」も聞き、劇場ホワイエのとくべつ展示も見学して、充実した時間をすごしました。

このこども記者のみなさんが、今回の取材をとおして感じたことや考えたこと、「ペンギン・カフェ」の舞台をみた感想などを、レポートにして提出してくれました!
こどもたちが自分のことばでいっしょうけんめい書いてくれた、すばらしいレポートです。

こども記者のみなさん、がんばって取材をしてくれてありがとうございました!

✏️ ✏️ ✏️

レポート①
「ペンギン・カフェ」とぜつめつきぐしゅ
平賀清音(8さい・小学3年生)

平賀清音(ひらが・せれん)さんは、3さいからバレエをはじめて現在バレエ歴5年。来年からトウシューズをはけるように、レッスンをがんばっています。今回の取材のために、じぶんで絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)のことをどんどんしらべて、りっぱな「研究ノート」をまとめあげてくれました。好奇心おうせいで、絵がとてもじょうずです。

こんなにりっぱなレポートを作ってくれました!写真右のブルーのノートは、レッスンで習ったことや先生に注意されたことを書いているバレエノート

【取材のまとめ】
わかったことは、ぜつめつきぐしゅがこんなにたくさんいることです。ぜつめつの原因と、ぜつめつきぐしゅのきけんのランクと、私が知らない動物たちがいっぱいわかりました。けんきゅうの感想は、私が知らない動物たちが知れてよかったし、動物に興味が持ててよかったです。とてもとても楽しかったです。

©︎Ballet Channel

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レポート②
「ペンギン・カフェ」でまなんだこと
宗 義真(7さい・小学2年生) 宗 真之(9さい・小学4年生)

今回こども記者をつとめてくれた宗 義真(そう・よしまさ)さんは、お兄ちゃんの真之(まさゆき)さん&弟の悠真(はるま)さんといっしょに、兄弟3人で『ペンギン・カフェ』をみにいきました。バレエをならっているのは義真さんだけですが(バレエ歴3年)、3人とも動物たちのダンスがとても気に入って、おうちでもまねしているそう。成島先生のお話にもきょうみしんしんでした。

写真左から:お母さん、悠真さん、真之さん、義真さん。悠真さんと真之さんは今回が「じんせいではじめてのぶたいかんしょう」だったそうです

【取材のまとめ】
人間は自分のことしか考えていないということがよくわかりました。リハーサルをみることができたので、本番もとても楽しめました。(義真)

はじめてのバレエかんしょうでしたが、動物のすがたをしたダンサーの踊りがとてもおもしろかったです。カンガルーネズミは今でも兄弟でマネして踊っています。(真之)

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レポート③
「ペンギン・カフェ」を取材して
浅倉 若(14さい・中学3年生)

浅倉若(あさくら・わか)さんはバレエ歴8年。この夏は、スクールの発表会にワークショップに……と大いそがしでした。今回のこども記者メンバーのなかで最年長。新国立劇場バレエ団のリハーサル見学&ダンサーインタビューのときには、積極的にハキハキと質問をするなど、記者のリーダーとして取材をひっぱってくれました。

【取材のまとめ】
先日「こども記者」としてリハーサルを見学した『ペンギン・カフェ』の本番を見させていただきました。

リハーサルではダンサーさんたちがいろんなダメ出し指摘をもらっていましたが、本番では僕が覚えている限りすべてが進化していて、さすがプロダンサーだなと思いました。

驚いたことがありました。ダンサーさんたちは個性ゆたかな動物のかぶり物をしているんですが、どれも視界がすごく狭くなるんです。舞台はリハーサル室より暗いため、練習よりもさらに視界が悪いと考えられます。ステージだけじゃなく舞台袖の出ハケも、位置どりも、限られた時間で正確にこなさないといけないのに、ダンサーさんたちはリハーサル以上のパフォーマンスを見せてくれました。

リハーサルではダンサーさんたちのダンスだけを見ることができて、それももちろんおもしろかったのですが、やっぱり本番で見るとさらにさらにおもしろかったです! それぞれの動物を想起させるような魅力的な衣裳や、立派な『ペンギン・カフェ』の店の舞台セットなど、視界がにぎやかで見てるだけでとても楽しい気分になりました。舞台装置と衣裳で何倍にもダンサーさんの世界観が広がっていると思いました。
また、リハーサルでは幕の位置が置き椅子で示されていたのですが、ひとつだけ不自然な位置に椅子があり、それがちょっと気になっていました。それで本番を見たら、舞台セットの中に移動する大道具があって、「ああ、これだったのか!」と。このように本番を見て謎が解けるものもありました。

『ペンギン・カフェ』の上演前には絶滅が危ぶまれている生き物についてのトークショーがあり、作品中に出てくる動物たちの背景について解説があったため、単にかわいい動物たちのショーダンスではなく、かわいさ楽しさの中に、物悲しさややりきれなさを感じることができました。最後のノアの方舟に乗れた動物たちも、乗れなかった動物たちも、みんな表情は淡々としていて、どちらの立場もじつは大きく変わらなくて、明日には僕も乗れなかったほうに立っているのかもしれないと思いました。ひとつの種が滅びると、周囲の種が何十も滅びると聞きました。人間も同じ生き物です。

新国立劇場バレエ団のダンサーさんのリハーサルを見られたことで、僕もこの世界で生きていきたいと、あらためて強く憧れを持ちました。今回はすごい機会をありがとうございました。

©️Ballet Channel

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