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【特別企画】吉田都 新国立劇場バレエ団芸術監督ロングインタビュー〜どんな時も「本物の舞台」をお見せする。私たちは「これがバレエだ」というものを示せるカンパニーでありたい

阿部さや子 Sayako ABE

吉田都 新国立劇場バレエ団舞踊芸術監督 撮影:上平庸文

2021年9月、吉田都新国立劇場舞踊芸術監督の「2年目」が始まった。

今シーズンの開幕を飾るのは、10月23日(土)〜11月3日(水・祝)上演のピーター・ライト版『白鳥の湖』。この演目は当初、2020年9月に芸術監督に就任した吉田が、記念すべき第1作目として新制作すると発表されたものだった。しかし新型コロナウイルス禍の影響を受けて昨シーズンの上演は中止に。今秋、ついに1年越しの上演が叶う。

そう、1年前の2020年9月に始まり2021年6月に閉幕した吉田監督のファーストシーズンは、まさにコロナ禍への対応を迫られ続けた1年だった。
度重なる公演中止や延期、演目変更等により、新国立劇場全体の入場料収入は前年度に比べて13億円減少したという。

そのいっぽうで、同バレエ団はテレビ番組とコラボレーションしたり、公演を丸ごと無観客上演して無料でライブ配信したりと、“こんな時だからこそ”の新たな施策を次々と展開。吉田采配の力強さを印象づけた1年でもあった。

新たなシーズンのスタートにあたり、新任監督として奮闘した昨シーズンのこと、間もなく幕を開ける『白鳥の湖』のこと、バレエ団としてこれから目指すこと等について、吉田監督に話を聞いた。

芸術監督「1年目」を終えて

吉田都さんが新国立劇場舞踊芸術監督に正式に就任したのが2020年9月。ちょうど丸1年が経ちました。
吉田 いま振り返っても、本当に良いタイミングでこの職に就かせていただいたなと思います。バレリーナとしての引退公演をさせていただいたのは2019年8月でしたけれども、身体はもう限界を超えていましたし、日本のバレエ界の現実を知れば知るほど、「何とかしなくては」という思いも芽生えていましたので。

「バレエを踊りたい、舞台に立ちたい」という気持ちは子どもの頃からずっと変わりませんでしたし、踊ること以上のものは、自分の人生には現れないとも思ってきました。でも今、もしかしたら自分が踊る以上に、これまでの経験や知識などすべてを注げるものに出会えたのかもしれません。この仕事を与えていただいたことに本当に感謝しています。

バレリーナ時代は、1997年の新国立劇場開場記念公演『眠れる森の美女』主演に始まり、折に触れて新国立劇場バレエ団の舞台にゲスト出演されていました。当時と現在とで、劇場やバレエ団が大きく変化したと感じるところはありますか?
吉田 開場して間もない頃はいろいろなバレエ団からダンサーたちが集まってきていたので、統一されたスタイルのようなものは見えにくい状態でした。けれども20年以上が経ち、新国立劇場バレエ研修所出身のダンサーも増えてきて、今ではこのバレエ団ならではのスタイルがずいぶん確立されてきているように思います。

また、以前は日本のバレエの観客と言えば何らかの関係者やバレエを習っている子どもたちとその保護者の方々が多くを占めている印象もあったのですが、現在の新国立劇場は、劇場そのもののファンというお客様がかなり増えているのを実感します。客層もかつては圧倒的に女性でしたけれども、今や男性のお客様が占める比率は海外のオペラハウスにも引けを取らないほど。これらはすべて歴代の芸術監督やスタッフの方々の功績ですので、感謝するばかりです。

それにしても……コロナ禍が容赦なく襲いかかったこの1年、苦難の連続だったのではないでしょうか?
吉田 はい、それはもう、大変でした……。芸術監督が決して簡単な仕事ではないことは覚悟していましたけれども、どんなに万全に準備をしても、中止になったり、無観客になったりと、本当に考えもしないところから困難が襲ってきました。ですから2021年6月、シーズン最後の『ライモンダ』公演がすべて無事に終わった時には、自分の部屋に戻り椅子に腰掛けたとたん、そのまま2時間くらい動けなくなりました(笑)。もちろん出演者たちがいちばん大変だと思いますけれども、やはりエネルギーを吸い取られたというか、神経を使いましたね。
初めての監督職であるにも関わらず、ベテラン芸術監督であっても立ち往生しそうな未曾有の事態にぶつかってしまいました。
吉田 そうですね、嵐の中にいきなり放り込まれてしまった感じはありました。でも、コロナ禍だったからこそたくさんの方にサポートしていただけた面もありました。例えば2020年10月の『ドン・キホーテ』では、リハーサルの様子や本番をNHKエンタープライズがオンライン配信してくださいましたが、それも「コロナ禍に苦しむ劇場を何かサポートしたい」というお気持ちからのオファーでした。また、本当にたくさんのファンのみなさんが温かいメッセージや寄付を寄せてくださったことにも、どれだけ力をいただいたことか。そうしたみなさまのサポートがあったから、私たちは思いきってこれまでとは違うことにチャレンジすることができたのです。

撮影:上平庸文

その「これまでとは違うこと」へのチャレンジという意味でとりわけ大きなインパクトがあったのは、2021年5月のローラン・プティ版『コッペリア』無料ライブ配信でした。緊急事態宣言下で観客を入れての公演は中止となりましたが、予定されていた全4キャストの公演を4日間にわたって完全無観客上演・全編無料配信。その合計同時視聴者数は16万7千人を超え、Twitterでも「#コッペリア」がトレンド入りするなど、バレエファン・舞台芸術ファンに止まらない規模の反響を呼びました。
吉田 あの時、本当にたくさんの方々が喜んでくださっているのを肌で感じながらこう思いました。「新国立劇場がやるべきなのは、こういうことではないか」と。みなさまが大変な思いをしている時にこそ、日常の不安を忘れられるような時間、喜んでいただける舞台を提供する。それが私たちの役割なのだと、あらためて視界がクリアになった気がします。
しかしさらに見事だったと思うのは、先ほど少しお話に出た6月の『ライモンダ』です。『コッペリア』の無料ライブ配信の時に「バレエは初めて観たけど、おもしろい! 次は劇場で観てみたい!」という声がたくさん挙がり、実際『ライモンダ』は決して“メジャー”とは言えない演目であるにも関わらず、連日ほぼ満席状態。何よりダンサーたちの踊りがすみずみまで端正で、「これぞクラシック・バレエ」という舞台に観客は大喝采、SNS等にも感動の声があふれました。
つまり、5月の無料ライブ配信を、6月の公演の集客にしっかりとつなげたこと。そして初めて観に来た人も少なからずいたはずのところ、バレエそのもののクオリティで観客を沸かせ、感動させたこと。この2点において、吉田監督は素晴らしいかたちでファーストシーズンを締め括ったと感じました。
吉田 ありがとうございます。ダンサーたちにはいつもこう伝えているんです。ただ1回の公演でもお客様をがっかりさせてしまったら、その方はもう二度と劇場には足を運んでくださらない。だから1回1回の舞台が勝負であり、どんな時も本物の舞台をお見せするのが私たちの務めだと。

でも、あの『ライモンダ』は、私も本当に嬉しかったです。コロナ・パンデミックが起こってからというもの、ダンサーたちは何ヵ月も踊れなかったり、やっとリハーサルができるようになって必死に準備しても公演が中止になってしまったり……本当にみんながどれだけ大変な思いをしてきたかと思うと、胸がいっぱいになってしまいます。それでも、とにかく今できるベストを尽くそう、何があろうとも前に進もうと、みんなで一つひとつ積み重ねてきました。その結果、ダンサーたちはこんなにも強くなっていた。そうはっきり感じられたのがあの『ライモンダ』で、私自身もエネルギーをもらいました。

本当にダンサー一人ひとりの集中力が素晴らしく、ポジションの一つひとつが美しくて、劇場じゅうの空気がひとつになるような舞台でした。
吉田 『ライモンダ』に関しては、じつはゲネプロの時に「この舞台はきっとうまくいく」と思いました。というのは、バレエマスターやミストレスが、最後の最後まで諦めず、細かいところまで、ダンサーたちに注意を与え続けていたからです。この1年、指導スタッフたちに私からお願いし続けてきたのは、「クラスでもリハーサルでもとにかく細かくチェックして、気になるところがあればしつこく注意してほしい」ということでした。その希望に真摯に応え、本番ギリギリまで熱意を持って指導をしてくれたスタッフたちと、それらの注意を一つひとつきちんと守ってくれたダンサーたち。みんなが本当にこつこつと積み重ねてくれた結果が、あの舞台だったと思います。
その他、芸術監督としてのファーストシーズンを振り返って、「これは達成できた・大きく進めることができた」ということはありますか?
吉田 いちばん進んだのは医療関係、つまりダンサーの身体のケアをサポートする体制作りです。何かあればすぐに病院と連携できるホットラインが整い、全国公演にはその地方でご協力くださるドクターが劇場で待機してくださるようになりました。これまでは故障時のケアやリハビリ、舞台を休むか休まないかの判断等がすべて『ダンサー任せ』になっていて、当然ながら多くのダンサーが踊りたい一心で怪我を隠したり、無理をして舞台に立ったりしてしまう、という状況でした。しかし怪我をしたダンサーにとって何より重要なのは、身体の状態を正確に把握して適切に判断し、休むべきならしっかり休むことです。それが結果的にはスムーズな復帰につながりますし、長く踊り続けるためにも大切なことなのです。

また、ダンサーとスタッフ対象の医療セミナーの継続的開催や、体幹を鍛えバランスを整えるトレーニングの導入も進めています。セミナーは「足」や「股関節」など部位ごとに解説していただくのですが、私も知らないことが多くてとても勉強になっていますね。なかには「その時間があったら少しでもリハーサルをしたい」と思うダンサーもいるかもしれないのですが、それでも全員に参加するようお願いしています。そのくらい、ダンサーが自分の身体について正しい知識を持つのは重要なことだと考えています。

ダンサーのみなさんを取材するなかで、「吉田監督は、ダンサーが何か不調や故障を抱えていると、鋭く見抜いてストップをかけてくださる」というお話を幾度となく聞きました。
吉田 そこはしっかり口を出すようにしています。ダンサーが故障を隠したり、無理にでも舞台に立とうとする背景にはいろいろな理由が絡み合っていますから、そのあたりをどんどんクリアにしていって、ダンサーたちがより踊りやすい環境にしていかなくては。今は少しずつですけれども進んでいる実感があるので、それは嬉しく思っています。

それからセミナー関係では、チャコットさんにご協力いただいて「舞台メイクレッスン」も始めているんですよ。すでに数回開催して、とくに男性ダンサーには効果がてきめんに表れてきているように思います(笑)。

撮影:上平庸文

ちなみに、1年お仕事をされてみて、「芸術監督という仕事はここが大変」と思ったことはありますか?
吉田 日々決断しなくてはいけないことがあまりにも多いところでしょうか。すべてにおいて「決めること」が重要な仕事です。ミーティングも多く、それに追われてリハーサル指導にあたる時間がなかなか取れないといったこともあります。でも、やるべきことはクリアなので、判断に迷うことはあまりありません。ただもちろん、ロジカルには正しくても心情としてはつらい決断をしなくてはいけないこともあります。

1年越しに実現! 新制作『白鳥の湖』

そしていよいよ、吉田監督の2年目がスタートします。開幕公演はバレエ団初演となるピーター・ライト版『白鳥の湖』。ポスターやチラシのヴィジュアルが公開された時には「素敵」「新鮮」といった声がSNSのタイムラインにあふれましたが、あのデザインは吉田監督の意向が反映されているそうですね?
吉田 私はデザインについては素人ですので、まずは担当スタッフやデザイナーの方に「こういうイメージでいきたい」と方向性を伝えます。そうすると写真、色合い、文字の大きさやフォントなど、何パターンもデザイン案を出してくださるので、写真はこう、文字のバランスやフォントはこう……等と細かくチェックにチェックを重ねながら決めていきました。
吉田監督から「フォント」という言葉を聞くのはとても新鮮です(笑)。
吉田 (笑)。でも、そうした細かいことでずいぶんデザインの印象が変わりますから、しっかりチェックするようにしています。
ライト版『白鳥の湖』は、本来であれば昨年10月に吉田監督就任第1作目として上演される予定でしたが、コロナのために1年持ち越しとなりました。
吉田 止むを得ずの延期だったとはいえ、上演がこのタイミングになったのは、かえって良かったと思っています。1年間一緒にやってきたからこそ、なぜ私がこのバージョンを選んだのか、どういう表現を求めているかということをダンサーたちがより深く理解してくれていますし、みんなでひとつの目標に向かっていく団結力も強くなりました。
いまおっしゃったことについて、なぜライト版を選んだのか、その理由を聞かせてください。
吉田 私は、日本人のバレエ団がいわゆる「ロシアバレエ」をそのままのかたちで上演するのは、やはり難しいと考えています。ロシアのダンサーの、あの身体と踊りがあってこそ成立している『白鳥の湖』をそのまま取り入れるのは、どうしても無理がある。ならば私たちが勝負できるものは何か?と考えた時に、それは物語を構築する論理性であり、緻密さであり、役の表現ではないかと。その意味で、サー(Sir)・ピーターの『白鳥の湖』は、きっとみなさまの心を打つことができると思います。
吉田監督はかねてより、「ピーター・ライト版『白鳥の湖』は非常にロジカルにできているバージョンだ」とおっしゃっています。
吉田 純粋なクラシック・バレエではありながら、他版に比べるとストーリー性や演技面の比重が高く、主役やソリストはもちろんコール・ド・バレエの一人ひとりに至るまで、役柄や役割がきちんと決まっています。そして、舞台上で起こるすべての動きや出来事に意味があり、筋が通っているのです。これはサー・ピーター自身がおっしゃっていたのですが、クラシック作品に出ていた若い頃、「僕はなぜここに立っているのだろう? なぜ今この動作をするのだろう?」と思うことがしばしばあって、そのたびに「たぶん、こういうことじゃないかな……?」と、何とか自分なりにストーリーを組み立てながら演じていたと。そういうクエスチョンをダンサーやお客様が感じることのないように作られたのが、このサー・ピーターの『白鳥の湖』です。なぜ今自分はここにいて、この動きをするのか。それが全編にわたって明確なので、ダンサーたちは演じることの真の楽しさを味わえます。
群舞の一人ひとりに至るまで演じるべき役柄があるというのも、ダンサーのみなさんにとっては演じがいがあり、私たち観る側にとっても見ごたえがありそうです。
吉田 まさにそうですね。例えば第2幕や第4幕で群舞を踊るのも、この版においては「白鳥たち」ではなくて「Swan Maidens(白鳥の乙女たち)」。つまりみんなもともとはお姫様だったのに、白鳥に変えられてしまった悲しい乙女たちなんです。ですからダンサーたち一人ひとりが、それぞれ「自分のストーリー」を背負っていることを常に意識して舞台に立たなくてはいけません。本当に、一人ひとりが主役なのです。

リハーサルにて。プリンシパルの米沢唯に指導する吉田監督 撮影:鹿摩隆司

ちなみに今回新国立劇場バレエ団で上演するにあたって、オリジナルのライト版から変更しているところなどはありますか?
吉田 新国立劇場のオペラパレスはバーミンガムの劇場よりサイズが大きいので、白鳥の群舞の人数を増やしています。オリジナルでは12羽のところを、24羽に。そこに「大きい二羽の白鳥」と「小さい四羽の白鳥」が加わると合計30羽になりますから、かなりダイナミックな印象になります。新国立劇場バレエ団の得意とするコール・ド・バレエの美しさも、たっぷり堪能していただけると思います。
今回は4組の主役キャストが組まれていますが、それぞれに期待することを聞かせてください。
吉田 米沢唯さんと福岡雄大さん、小野絢子さんと奥村康祐さんというベテランのプリンシパルたちには、もうとにかく感情を豊かに出して、のびのびと踊ってほしいと思います。木村優里さんと渡邊峻郁さんについては、この『白鳥の湖』を機に期待していることがあります。まず渡邊さんにはプリンスとしての立ち居振る舞いをさらに洗練させること。木村さんは、もう一度基礎に立ち戻って踊りを磨き上げること。そうすることで彼女はさらに花開くはずです。柴山紗帆さんと井澤駿さんの組は、全幕を通してペアを組むのは初めてとなります。柴山さんは昨シーズンも大きく成長しましたが、まだどこか自分自身を信じきれていないようなところが見受けられます。今回の作品を契機にそこを乗り越えてほしいですし、井澤さんがきっと力強く引っ張っていってくれると思っています。

吉田都芸術監督、これからのヴィジョン

最後に、芸術監督としてのこれからのヴィジョンについて、いくつか質問させてください。先ほど「この1年で達成できたこと・進んだこと」について伺いましたが、逆に「なかなか進まないこと・これから進めなくてはいけない課題」は何でしょうか?
吉田 リハーサルスタジオの増設です。新国立劇場はこれだけスペースがあるように見えますが、バレエのリハーサルができるスタジオはたった2つしかありません。私たちのバレエ団には約70名のダンサーがいて、公演数も年間50回ほどあるのに、リハーサルスタジオが2つしかない。それは本来あり得ないことです。

スタジオ不足の問題は、次世代の育成にも影響があります。若手を育てるためには、新しいキャストをどんどん起用してチャレンジさせたい。でも、スタジオが足りないためにリハーサル時間が取れず、結局その役をすでに踊ったことのあるダンサーに任せるしかなかったり、ダブルキャストかせいぜいトリプルキャストしか組めなかったり、という状況になるのです。あと1つでも2つでもスタジオがあれば、より多くのダンサーにチャンスを与えてみっちりリハーサルをしてあげることができるし、それに値する若いダンサーもたくさんいるのに……。そこは、本当に残念でなりません。

撮影:上平庸文

しかしすでに建ち上がっている劇場にスタジオを増設するのは、費用面でも建物の構造面でも、なかなか難しそうですね。
吉田 就任当初、劇場内をスペースがないかくまなくチェックして回ってみたりもしたのですが、なかなか難しいようです。でも、例えば英国ロイヤルバレエでもバーミンガム・ロイヤルバレエでも、最初からあれだけの設備が整っていたわけではありません。私が英国にいた約30年の間に、大規模な改修工事や移転などが行われて、少しずつ理想的な環境に整えられていったんです。ですから私も諦めずに、これから20年、30年かけて変えていくつもりで取り組んでいます。自分が芸術監督であるうちには間に合わないと思いますが、それでも、少しずつでもそこに近づいていきたいです。
これから、新国立劇場バレエ団をどのようなバレエ団にしていきたいですか?
吉田 国民のみなさまに愛されるバレエ団。みなさまが「これは私たちのバレエ団だ」と思ってくださるようなカンパニーにしていきたいと思っています。
そのためには、どんな施策や努力が必要だと考えていらっしゃいますか?
吉田 ひとつには、先ほども言いましたが、みなさまが大変な時にこそ、心の安らぎや喜びを感じていただける舞台を提供すること。また、例えば今シーズンの2022年2月にはエデュケーショナル・プロブラムvol.1として「ようこそ『シンデレラ』のお城へ!」を予定していますが、楽しみながらバレエを知り、劇場に足を運んでいただけるような企画も、どんどん打ち出していきたいと考えています。

そして、日本のバレエ団ならではの個性や強みを活かしていくことも、模索していきたいと思います。日本発信の作品を作ることもそうですし、踊りのスタイルをより確立させていくということも。やはり、日本人のバレエには、基礎を誠実に守って踊る「きちんとした気持ち良さ」という魅力があります。私は、個々のダンサーにはもっと自分を解放して自由に踊る力を身につけていってほしいと思っていますが、それも「正しく磨き上げられた基礎」があってこそのこと。そこは私自身がいちばん気になるところでもありますので、何があっても流されることなく、「これがバレエだ」というものを示せるカンパニーであり続けたいと思います。

撮影:上平庸文

公演情報

『白鳥の湖』

【日時】
2021年
10月23日(土)14:00
10月24日(日)14:00
10月26日(火)13:00
10月30日(土)13:00
10月30日(土)18:30
10月31日(日)14:00
11月2日(火)14:00
11月3日(水・祝)14:00

※上演時間:約2時間50分(休憩含む)

【会場】
新国立劇場 オペラパレス

【詳細】
新国立劇場バレエ団WEBサイト

【他劇場での公演】
2021年11月7日(日)14:00
サントミューゼ 大ホール(長野)
詳細はこちら

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