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【動画レポート】東京バレエ団 新制作『くるみ割り人形』公開リハーサル&記者懇親会

Keiko WAKAMATSU

動画撮影:Ballet Channel
動画編集:山倉一樹

東京バレエ団の『くるみ割り人形』が、生まれ変わる。

『くるみ割り人形』といえば、同団の“源流”とも言える大切な作品。何しろバレエ団の母体である「チャイコフスキー記念東京バレエ学校」(1960年開校)が、創立2年目に初めての学校公演として上演したのが、この作品だったからだ。そしてその人的資源を受け継ぐかたちで東京バレエ団が設立されてからは、1972年に初演。以降、時代とともに少しずつ形を変えながら、大切に大切に踊り継がれてきた。

その伝統の柱は残しながらも、斎藤友佳理芸術監督みずからが、演出・振付の改訂に挑む。衣裳と装置といった舞台美術は一新すべく、ロシア各地で制作されているという。

幕が開くまで、あと少し。
リハーサルもいよいよ佳境の11月29日夕刻、東京バレエ団スタジオで記者向けに初めてリハーサルが公開されたのち、記者懇親会が行われた。

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記者懇親会

右から:斎藤友佳理芸術監督、川島麻実子(プリンシパル、12/13マーシャ役)、柄本弾(プリンシパル、12/13くるみ割り王子役)©︎Shoko Matsuhashi

「演出の改訂は、実際にやってみると、“いいところを残しながらそこに新しく手を加える”ということほど難しいことはなかった」と斎藤友佳理。

しかし細々した修正にとどまり、いままでとはまったく違う新しい何かが誕生しないままでは、新制作をする意味がないーー。悩みに悩んだ斎藤のコンセプトの決め手になったのが、自宅のリビングの、本物のもみの木に飾り付けをしたクリスマスツリーだったという。

斎藤 「ちょっとツリーのなかに首を突っ込んでみたら?」って言われて、それでツリーのなかに頭を入れて、覗いてみたんです。そうしたらそこには、外から客観的にクリスマスツリーを見ているのとはまったく違う世界がありました。すごく心のなかが豊かになったような……安心感を感じたんです。素敵だな、こんな世界があったんだな、と。だから私は、今回の改定演出版は、このクリスマスツリーのなかですべての物事が起きているかのように、(ツリーのなかを下から上に向かって)のぼって行きたい、思いました。

巨大なクリスマスツリーをのぼって「お菓子の国」へーー。

この日の公開リハーサルは、まさにそのクリスマスツリーの頂上の少し手前となる「お菓子の国」から、星が輝くツリーの頂上でマーシャと王子を迎える「花のワルツ」、そこで踊られるグラン・パ・ド・ドゥを中心に行われた。

秋山瑛、宮川新大 ©︎Shoko Matsuhashi

三雲友里加、ブラウリオ・アルバレス ©︎Shoko Matsuhashi

©︎Shoko Matsuhashi

初日にマーシャを踊るのは川島麻実子

川島 いままでの『くるみ割り人形』を再上演するのとは全然違っています。一つひとつのリハーサルで土台を一緒に作り、それこそツリーのなかをだんだん上へのぼっていくように、「ああ、今回はここが見えてきた」と、経験を積んでいる感じです。ツリーのなかでリハーサルをしながらマーシャの人生を生きているような感覚があって、これはなかなか経験できないことだなと思っています。
作るという意味ではパートナーとも相談しますし、それはコロンビーヌたちとも。人形たちがすごくいろんな世界に連れて行ってくれるので、みんなとたくさんコミュニケーションを取りながら作っています。
自分のなかのストーリーを作っていく時間というのをすごく大事にできていますし、パートナーリングに関しても、新しいリフトの挑戦や技術的なものもあるので、これを踊りきったら、自分の糧にもなるのではと思っています。

マーシャだけではなく、今回は王子も、クリスマスツリーを自分の力でのぼる。初日のくるみ割り王子役である柄本弾は、時おり記者たちの笑いを誘いながら、こう語った。

柄本 いままでずっと、「王子が出たときにはもうストーリーは終わっている……」と感じてたんですよ(笑)。自分のなかで見つけられなかっただけなのかもしれませんが、あまり王子にストーリー性がなかったというか、どう解釈すれば良いのか、という気持ちが残っていました。でも今回の『くるみ割り人形』を作っているなかで、「王子もマーシャと一緒に成長するんだ!」と。最初の出会いのパ・ド・ドゥと最後のグラン・パ・ド・ドゥでは、やはり王子も成長している。その表現も求められているので、すごくやりがいがありますね。もちろんテクニック面、パ・ド・ドゥのなかにも未経験な高難度のものが入ってきているので、こちらもやりがいがあります。

川島麻実子、柄本弾 ©︎Shoko Matsuhashi

川島 マーシャは最初7歳です。初めて好きな人に出会って、新しい出会いがあって、シーンごとに精神的にも年齢的にも、ちょっとずつ上がっていく感じがします。きっと、王子もそう。だから、どんどん、どんどん上がっていくように、私たちも感じながら踊りたいなと思っています。

クリスマスツリーのなかをのぼって行く、クララとくるみ割り王子たち。
そのわくわくするような光景が、舞台上で、どんなふうに繰り広げられるのだろうかーー?

公演情報

東京バレエ団 新制作『くるみ割り人形』全2幕

期間 2019年12月13日(金)〜12月15日(日)
会場 東京文化会館
(全国公演:12月22日ロームシアター京都・12月24日横須賀芸術劇場)
詳細 東京バレエ団『くるみ割り人形』公演公式サイト

 

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