バレエを楽しむ バレエとつながる

  • 観る
  • 踊る
  • 知る
  • 考える

現地レポート・ローザンヌ国際バレエコンクール2023【1】男子2名が同点1位!「観る人を挑発するような力強さを」入賞者&熊川哲也さん(審査員)インタビュー

阿部さや子 Sayako ABE

2023年2月4日(土)、ローザンヌ国際バレエコンクール2023が幕を下ろした。

同コンクール50周年の記念回となった今大会は、審査員長にモナコ公国モンテカルロ・バレエ芸術監督・振付家のジャン=クリストフ・マイヨー、副審査員長にディアナ・ヴィシニョーワ、審査員に熊川哲也、ジュリー・ケント、クリストファー・ウィールドン等々、世界のスターダンサーや著名振付家がずらり。また決選翌日の5日(日)にはかつてこのコンクールでチャンスをつかみ世界へと羽ばたいた歴代の受賞者たちによる記念ガラも開催され、例年以上の華やかさと賑やかさのなかで行われた。

ローザンヌ国際バレエコンクール2023の審査員を務めた10人。写真左から:クリストファー・パウニー、シルヴィアーヌ・バイヤール、マーティン・シュレプファー、メラニー・パーソン、ジャン=クリストフ・マイヨー、ディアナ・ヴィシニョーワ、熊川哲也、ジュリー・ケント、クリストファー・ウィールドン、エンダリン・T・アウトロー

〈審査員〉
  • 審査員長 ジャン=クリストフ・マイヨー(モナコ公国モンテカルロ・バレエ振付家兼監督/1977年入賞)
  • 副審査員長 ディアナ・ヴィシニョーワ(コンテンポラリー・コレオグラフィー国際フェスティバル・コンテクスト・ディアナ・ヴィシニョーワ芸術監督兼創設者、マリインスキー・バレエ プリマバレリーナ、アメリカン・バレエ・シアター元プリンシパル/1994年金賞)
  • シルヴィアーヌ・バイヤール(ベルリン国立バレエ元芸術監督、シュツットガルト・バレエ エトワール/1973年入賞)
  • ジュリー・ケント(ワシントン・バレエ芸術監督、アメリカン・バレエ・シアター元プリンシパル/1986年入賞)
  • 熊川哲也(Kバレエカンパニー芸術監督、英国ロイヤル・バレエ元プリンシパル/1989年金賞)
  • エンダリン・T・アウトロー(ノースカロライナ大学芸術学部舞踊学科長、ダンス・シアター・オブ・ハーレム元プリンシパル)
  • メラニー・パーソン(エイリー・スクール共同監督)
  • クリストファー・パウニー(英国ロイヤル・バレエ・スクール校長兼CEO)
  • マーティン・シュレプファー(ウィーン国立バレエ監督兼首席振付家、ウィーン国立バレエアカデミー芸術監督/1977年入賞)
  • クリストファー・ウィールドン(振付家、英国ロイヤル・バレエ アーティスティック・アソシエイト/1991年金賞)

事前のビデオ審査には世界39ヵ国から429名(女子335名、男子94名)が応募。この選考で選ばれた76名と、日本・南米・欧州で実施されたプリセレクション(予選)により選ばれた11名を加えた合計87名(18ヵ国、女子46名、男子41名)が、ローザンヌ本選への出場権を獲得。実際にボーリュ劇場にやってきて本選に参加したのは、世界16ヵ国から83名(*)だった。
*83名のうち男子1名が会期中の怪我により棄権。準決選の舞台に立ったのは82名だった

よく知られているように、ローザンヌ国際バレエコンクールは丸1週間かけて審査が行われるコンペティションである。
今年の出場者たちは1月30日(月)〜2月2日(木)の4日間にわたってクラシックやコンテンポラリーのクラスやヴァリエーション指導を受け、その様子も審査の対象に。
そして2月3日(金)の準決選(セレクション)では、82名の出場者全員がそれぞれに準備してきたクラシックヴァリエーションとコンテンポラリーヴァリエーションを各1曲ずつ披露。クラス審査等での得点と合わせた上位22名が、2月4日(土)決選(ファイナル)に進出した。

★2/3の準決選(セレクション)の様子や結果はこちら

決選では、準決選までの得点はいったんリセットされる。
つまり決選では、その日・その舞台での一発勝負の演技だけが採点の対象となり、クラシックヴァリエーションとコンテンポラリーヴァリエーションの比重は50:50。
また今大会は「50周年のためスカラシップの提供を申し出るスポンサーが例年よりも増えた」(同コンクール芸術監督キャサリン・ブラッドニー氏)ため、昨年の7名入賞よりも4名多い11名に賞が与えられることに。入賞11名には例年通り、希望のバレエ学校やバレエ団で1年間学ぶためのスカラシップが授与される。

決選の結果は以下の通り。
同点で1位が2名、しかもどちらも『パリの炎』の男性ヴァリエーションを踊ったBoys A(15-16歳)という、異例の結果となった。

同点第1位に輝いたファブリツィオ・ウジョア・コルネホさん(メキシコ/写真左)とミジャン・デ・ベニートさん(スペイン)

第1位
ミジャン・デ・ベニート DE BENITO Millán
スペイン/15歳11ヵ月
王立コンセルヴァトーリオ・デ・ダンツァ・マリエンマ

抜群のスピード感で次々とテクニックにアタックしていく踊り。元気いっぱい踊る姿に観客を思わず笑顔にするスター性も。コンテンポラリーヴァリエーションにおいても動きのひとコマひとコマにおもしろみがあり、納得の第1位。WEBオーディエンス賞も受賞。

『パリの炎』より男性ヴァリエーション ミジャン・デ・ベニート PDL2023 ©Gregory Batardon

『Rain』ミジャン・デ・ベニート PDL2023 ©Gregory Batardon

第1位
ファブリツィオ・ウジョア・コルネホ ULLOA CORNEJO Fabrizzio
メキシコ/16歳1ヵ月
バーゼル劇場バレエスクール

ものすごい勢いの大ジャンプで舞台に登場し、高く引き上がったままゆったり減速していくピルエットに会場は大歓声。パンチの効いた情熱的な『パリの炎』とは対照的に、コンテンポラリーは自分の内面を深くなぞっていくような陰影のある表現。どちらも強いインパクトを残す演技だった。

『パリの炎』より男性ヴァリエーション ファブリツィオ・ウジョア・コルネホ PDL2023 ©Gregory Batardon

『Yugen』ファブリツィオ・ウジョア・コルネホ PDL2023 ©Gregory Batardon

【Interview】
緊張と感動でいっぱいの1週間でした。ローザンヌという夢の場所で、あの美しいボーリュ劇場の舞台に立てたなんて、今でも嬉しくてたまりません。
舞台とは日々の稽古の積み重ねの先にあるものですが、ひとたびそこに立ったら、僕はただ自分の心と魂を見てほしいという気持ちで踊っています。それがダンサーとして一番大切なことだと思っているし、今回も自分はどういう人間かを表現することに集中しました。観客のみなさんが何かを感じてくださっていたら嬉しいです。
僕の中には燃えるような激しさがあります。だから『パリの炎』はまさに自分を象徴している踊りであり、大好きな曲です。踊っていると、まるで雲の上にいるような気分になるんですよ! 夢は長く踊り続けること。そして心と体で踊るダンサーになって、人々を感動させることです。これからどんな未来が待っているのか、楽しみでたまりません。

ファブリツィオ・ウジョア・コルネホ ©️Ballet Channel

第3位
パク・サンウォン PARK Sangwon
韓国/18歳10ヵ月
仙和芸術高等学校

美しい足先と、それをたっぷり強調して見せることのできるコントロール力。舞台上で自分の強みを徹底的に印象づけていくだけでなく、コンクール初日から終始安定したパフォーマンスを見せ続けられる心身の強靭さも。今回、韓国からは国別最多の16名(女子14名、男子2名)がローザンヌ本選に出場し、うち女子4名が決選進出。今大会を見守っていた多くの人が「今回は韓国勢が強い!」と感じていたであろうなか、クラシック、コンテンポラリーともに最も成熟した表現でうならせたパク・サンウォンが第3位に輝いた。

『コッペリア』より女性ヴァリエーション パク・サンウォン PDL2023©Gregory Batardon

『Les Ombres du Temps』パク・サンウォン PDL2023©Gregory Batardon

【Interview】
1週間、とても楽しかったです! 素晴らしい出場者、一流の先生方、いつもとは違うクラスレッスン……コンテンポラリークラスもすごくいい経験になりました。舞台で踊っている時も幸せな気持ちでした。とくに決選のパフォーマンスは、自分のベストだったと思います。
韓国の学校ではいつもロシアのスタイルでバレエを学んでいるので、エリザベット・プラテル先生たちにご指導いただくフランススタイルのクラスは難しかったです。ロシアスタイルは伸びやかでダイナミックだけれど、フランススタイルは一つひとつすごくクリアに動かなくてはいけません。ポール・ド・ブラも緻密で明確。そこがすごく大変でした。
私は踊ることがとにかく大好きで、舞台に立てることが嬉しい。将来は、とくに有名になれなくてもいいんです。ただハッピーなダンサーになれたら、それで充分です。

パク・サンウォン(写真右)©️Ballet Channel

第4位
ジュリー・ジョイナー JOYNER Julie
アメリカ/17歳8ヵ月
インターナショナル・シティ・スクール・オブ・バレエ

『グラン・パ・クラシック』は一つひとつのポーズがクリアでありながら、動きに角のない成熟した踊り。しかもコーチングよりも準決選、準決選よりも決選とパフォーマンスが向上していく成長力と勝負強さもあった。時おり泣いているような表情を見せるなど、物語性豊かに表現したコンテンポラリー『Rossini Cards』も強い印象を残した。

『グラン・パ・クラシック』より女性ヴァリエーション ジュリー・ジョイナー PDL2023@Gregory Batardon

『Rossini Cards』ジュリー・ジョイナー PDL2023@Gregory Batardon

第5位
キム・セヒョン KIM Seehyun
韓国/17歳7ヵ月
ソウル芸術高等学校

スーパーテクニシャンでありながらこれ見よがしなところはまったく無し。美しい表情、足でタンバリンを打つ連続バロネに入る時の艶やかな肩使いなど、ディテイルまで隙のない出色の『エスメラルダ』。女子出場者の中では最も大きな歓声を巻き起こし、オーディエンス賞を獲得したのも肯けるパフォーマンスだった。

『エスメラルダ』キム・セヒョン PDL2023©Gregory Batardon

『Cognition』キム・セヒョン PDL2023©Gregory Batardon

第6位
アレシア・マリア・ラザレスク LAZARESCU Alecsia Maria
ルーマニア/15歳0ヵ月
バーゼル劇場バレエスクール

多くの出場者がデリケートな質感で踊っていた『タリスマン』のヴァリエーションをむしろ力強く躍動的に踊り、生き生きとした輝きのあるパフォーマンスを見せた。コンテンポラリー『Chroma』は、難しい振付をこなしながらも「自分はこう踊りたい!」という意志が明確。強い個性を感じさせた。

『タリスマン』より女性ヴァリエーション アレシア・マリア・ラザレスク PDL2023©Gregory Batardon

『Chroma』アレシア・マリア・ラザレスク PDL2023©Gregory Batardon

第7位
アナ・ルイサ・ネグラオン NEGRÃO Ana Luisa
ブラジル/18歳1ヵ月
テアトロ・スコーラ・バジリウ・フランサ

『グラン・パ・クラシック』で見せた押出しの強さ、堂々たるプレゼンテーション。曲が進むにつれてクレッシェンドしていく踊り方は貫禄すら感じさせた。際立ったのはコンテンポラリー。夢みがちなテイストで踊る人も多かった『Les Ombres de Temps』をねっちりと情熱的に踊り、コンテンポラリー賞も受賞。

『グラン・パ・クラシック』より女性ヴァリエーション アナ・ルイサ・ネグラオン PDL2023©Gregory Batardon

『Les Ombres du Temps』アナ・ルイサ・ネグラオン PDL2023©Gregory Batardon

第8位
宮崎圭介 MIYAZAKI Keisuke
日本/15歳0ヵ月
ワクイバレエスクール

大らかなカブリオール、スカッとキレのあるピルエット、美しいアラベスク・ライン。テクニックの数や難度よりも質と精度で勝負したジークフリートのヴァリエーションは、観客を大いに沸かせた。準決選に比べると決選は少しおとなしかった印象もありながら、すべてのステップをクオリティ高く表現。基礎の確かさを示した。

『白鳥の湖』第3幕よりジークフリートのヴァリエーション 宮崎圭介 PDL2023©Gregory Batardon

『Yugen』宮崎圭介 PDL2023©Gregory Batardon

【Interview】
バレエを始めたのは小学2年生の時。小6でドイツ、昨年スイスにそれぞれ短期留学した以外は、ずっと同じスクールで学んできました。初めてのコンクール出場は4年生の時です。
この1週間、最初はクラスレッスンですらすごく緊張していました。だんだん慣れてはきましたが、舞台で踊るとなるとまた緊張して……やっぱり、画面の向こうで見てきた世界だったので。とくに決選はすごく緊張してしまい、クラシックではピルエットやアラベスクがうまくいかなかったし、コンテンポラリーも回転のところがあまり良くありませんでした。準決選のほうがうまく踊れたと思います。
15歳になったばかりの僕は、今回の出場者のなかで最年少でした。全員僕よりも年上で、しかも上手な人たちばかり。最初のレッスンでは圧倒されてしまいました。でもこの1週間で「最年少でも踊れるんだ」ということを示せたかなと思うし、何よりも毎日バレエとコンテンポラリーだけの生活が楽しかった! これから留学して、バレエづけの日々を楽しみながら、プロのダンサーになるという目標に向かっていきたいと思います。

宮崎圭介 ©️Ballet Channel

第9位
エミリー・スプラウト SPROUT Emily
オーストラリア/16歳2ヵ月
プリマ・ユース・クラシカル・アカデミー

袖から舞台へと歩み出てプレパレーション、そのたった十秒あまりにも、後に続く踊りに期待を抱かせるような華とチャームがあった。優美なポール・ド・ブラ、ほっそりした長身で描く柔らかなライン、繊細なポワントワーク。クラスやコーチングの期間中、明るい笑顔で先生の指導に耳を傾けるポジティヴさも印象に残った。

『タリスマン』より女性ヴァリエーション エミリー・スプラウト PDL2023©Gregory Batardon

『Rain』エミリー・スプラウト PDL2023©Gregory Batardon

第10位
ジュゼッペ・ベントゥーラ VENTURA Giuseppe
イタリア/18歳1ヵ月
チューリッヒ・ダンス・アカデミー

ソロルのヴァリエーションは冒頭のランヴェルセからエレガントで、動きに伸びがありスピード感も充分。全体的に質の高い踊りながら、マネージュの最後で急ブレーキをかけるような収め方になり、フィニッシュでわずかにバランスを崩しそうになったのを何とかこらえた。コンテンポラリー『Chroma』の弾性とエクステンションの効いたムーヴメントは群を抜いていた。

『ラ・バヤデール』よりソロルのヴァリエーション ジュゼッペ・ベントゥーラ PDL2023©Gregory Batardon

『Chroma』ジュゼッペ・ベントゥーラ PDL2023©Gregory Batardon

第11位
キム・スミン KIM Soo Min
韓国/18歳9ヵ月
仙和芸術高等学校

身体の使い方、とりわけ歌うような上体が美しく、キリッとターンアウトされた脚のラインも目を引いた。『パキータ』のヴァリエーションはまさにエトワール然として優美。そして終盤でピルエット+アラベスク・パンシェを力強くたたみかけ、メリハリの効いた演技を見せた。コンテンポラリーにもう少し強さがあればさらに上の結果だったのでは……と感じさせる出場者だった。

『パキータ』よりエトワールのヴァリエーション キム・スミン PDL2023©Gregory Batardon

『Les Ombres du Temps』キム・スミン PDL2023©Gregory Batardon

【Interview】
ローザンヌ出場は2回目でした。前回はファイナリスト止まりでしたけれど、今回は入賞できたので、本当に嬉しいし感謝しています。とても幸せです。
準決選ではすごく緊張してしまいました。たくさんの人が観ていたので。でも決選は『パキータ』もコンテンポラリーも楽しめたので、本当に良かったです。
韓国のバレエ学校ではロシアスタイルで学んでいます。でもここローザンヌでは、エリザベット・プラテル先生やクレール=マリ・オスタ先生などからフランスのスタイルが学べます。それが私にとっては新しい経験で、すごく難しかったけれど、楽しかった。とてもいい経験になりました。
将来の夢はプリマバレリーナになることです。アリーナ・コジョカルの大ファンなので、彼女みたいになれたらいいなと思っています。

キム・スミン(写真左)©️Ballet Channel

【Interview】
熊川哲也さん(審査員)

日本人入賞者・宮崎圭介さんと ©️Ballet Channel

今大会の感想を。
今回は非常にレベルが高かった。50周年にふさわしいレベルのダンサーたちが世界中から集まってきたなと感じました。国や言葉は違っていても、ダンスという共通言語でつながり成長し合えている様子も素晴らしかったです。ただ、その中で日本人出場者が今年は少し弱かった。韓国の出場者が強かったという印象を持ちました。
レベルの高さとは具体的にどのようなことでしょうか。
個性を主張できることや、クラシックバレエの持つ普遍的な動きを守るべきところはきちんと守れること。上位入賞者はそのあたりが評価に値したと言えるでしょう。結果は予想通りです。もちろん(第1位が)同票だったということで、審査員の間で議論はありました。
日本人では宮崎圭介さんが8位に入賞しました。
宮崎くんは誠実できちんとした踊りをするクラシック・ダンサーでした。これから成長も見込めるし、体型もいい。コンテンポラリーも物怖じせずに踊っていて良かったですよ。しかし彼は(これが100%ではなく)もう少しできたのではないかと思います。
先ほど「日本人が弱かった」という言葉がありましたが、どのような面で弱かったのでしょうか。
結果が示している通りです。バレエは嘘をつきません。世界中のプロが集まれば真実の結果が出ます。もちろん審査員の年齢によって、重きを置いて見るポイントは多少違うことはある。例えば多少技術が伴わなくとも全体の印象が良ければ高得点をつける人もいます。また、僕自身は日本人出場者を「日本人」として見てはいませんでした。願わくばもう少し上位にいける人がいてほしかったというのはありますが、それも準決選の時から予想できた結果ではありました。

審査中の様子

例えば10年前、日本人の課題は「表現力」や「コンテンポラリーダンス」だと言われていました。今はもうそうした面で世界との差を感じることはないのでしょうか?
感じませんね。(コンテンポラリーの)動きもみんなしっかりできてきました。もちろんまだぎこちない人はいますが、それは日本人だからではなく身体条件の問題。股関節を充分に開けていない子は何をやってもぎこちなくなります。ひとつ言えるのは、日本人を含めて東洋人はどうしても見た目が似ていますから、その中で自分なりの個性を見せていくとなれば相当なものを内側から出す必要があるということです。そして、審査員や観客を挑発してくるような力強さがなくては。そういう魅力を磨いていかなければ印象には残らない。そして最終的には本番です。だから宮崎くんも準決選の時のようなパフォーマンスを決選でできていたら、もう少し上にいけたかもしれません。最終的には本番がすべて。舞台とはそういうものであり、それはプロになっても同じです。
とくに印象に残った出場者は?
メキシコ人のファブリツィオ・ウジョア・コルネホくん。彼はスターになると思いますよ。

入賞者たちが喝采を浴びる後ろで、熊川さんが率先してファイナリストたちに温かい拍手を送る場面もありました ©️Ballet Channel

特集|現地レポート・ローザンヌ国際バレエコンクール2023
今後の予定

【2】取材を終えて〜日本人出場者&ゲストダンサーの声(仮題) ※近日公開

【3】「もしも男子がトウシューズで女性のVaを踊りたいと申し出たら?」ローザンヌ国際バレエコンクール2023記者会見レポート ※近日公開

この記事を書いた人 このライターの記事一覧

NEWS

NEWS

最新記事一覧へ