2023年8月19日(土)と8月20日(日)の二日間にわたって、パリ・オペラ座バレエ教師アンドレイ・クレムによる、大人バレエ向けの講習会が開催されました。初日の8月19日は、レッスンの最初からポワントで行う〈基礎を見直すポワントクラス〉。美しい立ち方や脚の使い方についてみっちりと学べたレッスンのもようを写真とともにレポートします。
写真撮影:バレエチャンネル編集部
バー・レッスン
この日受講したのは18歳以上の女性19名。「みなさんにお会いできて嬉しいです。これからやるエクササイズはみなさんにとってチャレンジになるかもしれませんが、くれぐれも気をつけて怪我のないようにしてください。例えば脚が痛いときは、ピルエットを無理に回ろうとしないで、ポワントで立つだけにとどめるなど、自分で対策をとるようにしましょう」とクレム先生。
演奏はウィーン国立歌劇場・バレエ団専属ピアニストの滝澤志野さんです。
7月にピアノリサイタルを終えたばかりの滝澤志野さんが駆けつけました
レッスンは両手バーのポワントのウォームアップからスタート。
クレム先生からポワントクラスならではのアドバイスが。
「最初はとても柔らかいエクササイズから入ります。ルルヴェ・アップは脚の力が必要な強い動きですが、それを見せないように、まるでドゥミ・ポワントで行っているような柔らかさを意識してください」
「バーにしがみつかないで、そっと手を置くだけ。スタジオにあるものはすべて、私たちの身体をサポートしてくれますから、それを感じながら活用しましょう」
タンデュでは「つま先で床にワックスを塗るように。ポワントでも、バレエシューズと同じ感覚で足裏を使いましょう」とクレム先生。
「プレパレーションは肩を動かすのではなく、腕を動かします。脚を動かす時に骨盤ごと動かすのではなく股関節を使うのと同じように、関節を意識してください」
その後もクレム先生がアンシェヌマンを出しながら、エクササイズのポイントを説明します。
「膝の向きは足の人差し指と中指に合わせて、膝が真上に来るようにしましょう。左右のどちらかに寄りすぎてはいけません」
「背中を伸ばして。身体の中に一本の線を通して、上に引き上げるように」
『白鳥の湖』『ライモンダ』『コッペリア』『シルヴィア』のほか、クラシックやジャズなど多彩な楽曲でレッスンを彩ります。フォンデュではクレム先生のリクエストで、滝澤志野さんがドラマティックにタンゴを演奏!
グラン・バットマンの脚の上げ方についてのアドバイスも。「脚を投げ出すのではなく、足裏を使って丁寧に床を擦った力で脚を上げます。繊細な動きを心がけましょう」
グラン・バットマンの後は片手をアン・オーにしてバランス 「大事なのは背中です。脊椎をまっすぐ上に積み上げていくようにしましょう」
バー・レッスンを終え、「たくさんのエクササイズをしましたが、すべての動きが繋がっているのを感じとれましたか」とクレム先生。
「説明を長くするよりもスピーディーに説明をして、エクササイズでみなさんに体感してもらうほうが、身体を冷やさずに、理解しながら進めることができると思います」とこれまでのレッスンの進め方について解説しました。
センター・レッスン
まずは「コール・ド・バレエのように、横の列を意識して揃えましょう」と、クレム先生がフォーメーションを整えます。受講生は前後で2列に分かれ、隣の人だけでなく、同じ列の人全員を感じながら踊ります。
タンデュから始まり、エシャぺ、ルティレと続き、「音楽をよく聴いてください。どんなエクササイズでも音楽と一緒に」とクレム先生が指導します。
「ポワントで立つ前に、足の指先で物を拾えるようなクペを通ってデヴェロッペをしましょう」
ポール・ド・ブラで、ポワントクラスは終了。
クレム先生は「とても良い動きでした。筋肉痛にならないように、よくマッサージをして、水分を摂り、身体を労わってあげてください」とあたたかいメッセージで締めくくりました。
集合写真はポワントクラスらしいポーズでパシャリ!
🩰 🩰 🩰
【イベントDATA】
講師:アンドレイ・クレム(パリ・オペラ座バレエ教師)
ピアノ:滝澤志野(ウィーン国立歌劇場・バレエ団専属ピアニスト)
通訳:野田香織
会場:スタジオH(スタジオ アッシュ)
企画・主催:バレエ専門WEBメディア〈バレエチャンネル〉