観る
知る

【動画付Interview】矢上恵子メモリアルガラ2025 #3 小野絢子～舞台と客席がひとつになる特別な空気を味わってほしい

2025.02.13 若松圭子　Keiko WAKAMATSU

本編撮影・編集：星野一翔、ティーザー：福田紘也

2025年2月15日（土）にティアラこうとう大ホールで上演される1日限りのステージ「踊れ、その身体がドラマになるまで～矢上恵子メモリアルガラ2025 in TOKYO」。1990年代から2010年代にかけて数々の作品を生み出し、国際的にも高く評価されながら、57歳の若さでこの世を去った振付家・矢上恵子の作品に、教え子であり矢上作品を身体で知り尽くす福岡雄大や福田圭吾、新国立劇場バレエ団プリンシパルの小野絢子、米沢唯、柴山紗帆、ファースト・ソリストの池田理沙子、木下嘉人などの人気ダンサーたちが挑みます。

公演に向けてのリハーサルの合間に、出演ダンサーのみなさんへインタビューを行いました。
第3回目は新国立劇場バレエ団プリンシパルの小野絢子さんです。

東京都出身。小林紀子、パトリック・アルモン、牧阿佐美に師事。小林紀子バレエアカデミー、新国立劇場バレエ研修所を経て、2007年新国立劇場バレエ団にソリストとして入団。11年プリンシパルに昇格。「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ラ・バヤデール」「ジゼル」「シンデレラ」「アラジン」「カルミナ・ブラーナ」「不思議の国のアリス」ほか数多くの作品で主役を踊っている。主な受賞歴に11年芸術選奨文部科学大臣新人賞および舞踊批評家協会新人賞、14年服部智恵子賞、16年橘秋子賞優秀賞、19年芸術選奨文部科学大臣賞など。　©Ballet Channel

◆

今回の公演で小野さんが踊る『Cheminer（シュミネ）』は、新国立劇場バレエ団の女性ダンサーで踊られる演目です。現在（※編集部注：取材は1月中旬）リハーサルのようすはどうですか？

小野　『Cheminer』のチームは全員、矢上恵子作品を初めて踊ります。中には実際に舞台を観ていないメンバーもいるので、他の作品よりは四苦八苦しているかもしれません。全員でリハーサルする時間も限られていますし。

矢上恵子作品でここが難しいと思うところは？: 小野　まずは振付の複雑さ、でしょうか。全員で同じ振りをするところでも、それがユニゾンだったりカノンだったり、パズルのように入れ替わる。それを確認しながら振りを起こすだけでも大変です。そして何より難しいのは、私たちは本当の意味で『Cheminer』という作品を知らないということです。矢上先生に直接教わってきた福田圭吾さんや福岡雄大さんの指導を、その場にいなかった私たちが正しく理解するためには、こちらの想像力もかなり必要になります。

クラシック・バレエ作品を踊る時には、演技的な部分や役柄の解釈なども大切なポイントになると思うのですが、矢上恵子作品ではテクニックと役作りのどちらが大事だと思いますか？: 小野　どちらも大事です。テクニックと演技は分けて考えてはいけないと思っています。私がこうして話す言葉が、バレエではステップであり、それを通して伝えていくわけですから。その意味では、演技の部分を伝えるためにも、まずテクニックのブラッシュアップに取り組むべきだと考えています。

芸術監督の福田圭吾さんの印象は？: 小野　とてもイマジネーション豊かで多才な人。みんなを引き寄せる魅力を持っていると思います。

©Yoshitomo Okuda

公演以外のことについてもいくつか教えてください。バレエ団で自分の出演日以外はどのように過ごしていますか？とくに意識している点や、欠かせないケアがあれば教えてください。: 小野　ケアとしては温冷浴をよくします。熱いお湯と冷たいお湯に交互に入って筋肉をリフレッシュさせる方法が、自分に合っているようで、よく効きます。あとは食事や睡眠をきちんととるなど、気をつけているのはシンプルなことばかりです。ストレッチは自分の身体を保つためにも毎日行います。お気に入りはストレッチポール。ヤムナボールやスーパーボールもよく使います。丸いものが多いですね（笑）。

休養日の取り方にはどういう基準があるのですか？: 小野　次の出演日から逆算して決めています。例えば自分の出演日の前日がバレエ団の休日だった場合は、個人でお稽古します。出演日の前日に休んでしまうと身体の感覚が変わってしまって、翌日どんなに体力があったとしても、舞台で踊るのは難しいんです。自分に合ったスケジュールを組み立てて準備することを意識しています。