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【歌唱披露動画付き! 製作発表レポート】ミュージカル「ビリー・エリオット」~2024年版の新・ビリーたちがパフォーマンスを初披露!

バレエチャンネル

取材・文:加藤智子(フリーライター)
動画撮影・編集:古川真理絵(バレエチャンネル編集部)

2024年7月、『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』が幕を開けます。原作はスティーヴン・ダルドリー監督により世界的ヒットを記録した映画「BILLY ELLIOT」(邦題「リトル・ダンサー」)。イギリス北部の炭鉱の町でバレエと出会い、数々の障害を乗り越えロイヤル・バレエ・スクールを目指す少年エリオットの物語です。ダルドリー自身による演出、エルトン・ジョンの音楽で2005年にロンドンでミュージカル化され、日本では2017年、20年に続き今回は3度目の上演。長期間の育成型オーディションで選抜された11歳前後の子役たちが、公演を通してより大きく成長していく姿を見守れることも、『ビリー・エリオット』が多くのファンの心を掴んで離さない理由のひとつでしょう。
本格的な稽古開始を控えた2024年2月17日、東京・品川のクラブeXで製作発表がおこなわれました。報道陣および抽選により招待された100名の一般オーディエンスを前に実施された会見の模様をレポートします。
(※この掲載記事と動画は、2024年11月24日までの公開となります)

「ビリー・エリオット」相関図 提供:ホリプロ

ビリーによるパフォーマンス披露「エレクトリシティ」

左から:春山嘉夢一、浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎。主催者代表の堀義貴氏によれば、いま世界には352人のビリーがいて、彼らは353番目以降のビリー・エリオットになるそう ©政川慎治

ステージに登場したのは、今年ビリー役を務める浅田良舞石黒瑛土井上宇一郎春山嘉夢一。2023年の書類審査からスタートした長期育成オーディションを経て、1000人を超える応募者の中から選ばれた4人。今回彼らが披露したパフォーマンスは、ビリーのソロナンバー「エレクトリシティ」。今回は4人編成による特別ヴァージョン。

©政川慎治

「エレクトリシティ」は、ロイヤル・バレエ・スクールの入学試験で「踊っている時はどんな気持ちになるのですか?」と聞かれたビリーが、言葉に詰まりながらも自分と向き合い、その思いを爆発させる重要なシーン。
ビリーとして初ステージながらフレッシュな力をみなぎらせ、堂々たるパフォーマンスで会場を沸かせた4人。最後「自由!」と叫ぶビリーの姿に、思わず感動の涙を流すオーディエンスも。

©政川慎治

©政川慎治

出演者によるコメント・質疑応答

前方左から:濱田めぐみ、安蘭けい、浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一、益岡徹、鶴見慎吾/後方左から:山科諒馬、永野亮比己、阿知波悟美、根岸季衣、西川大貴、芋洗坂係長 ©政川慎治

続いてメインキャストたちが登壇。司会者の質問に答える形で作品への思いを述べました。会見を欠席した2名の出演者からも映像でのコメントが寄せられました。

ビリー役:浅田良舞(あさだ・りょうま)、石黒瑛土(いしぐろ・えいと)、井上宇一郎(いのうえ・ういちろう)、春山嘉夢一(はるやま・かむい)〈クアトロキャスト〉

パフォーマンスを終えた4人は感想を聞かれ、「緊張したけれど、美しくきれいにできたのでよかったです」(浅田)、「お客様に自分の踊りを観てもらえて最高です。(拍手をもらえて)ホッとしました」(石黒)、「好きなダンスができてとても楽しかったです!」(井上)、「(お客様の歓声を受けたら)もう天国に行ったような気持ちになりました」(春山)と回答。緊張がとけてほっとした表情を見せました。

お父さん役:益岡徹(ますおか・とおる)、鶴見慎吾(つるみ・しんご)〈ダブルキャスト〉

◆ビリーとトニーの父。炭鉱で働いている。男手一つで息子たちを育ててきた厳格な父親

左から:益岡徹、鶴見慎吾 ©政川慎治

益岡さん、初演、2020年、そして今回。と3世代ビリーのパフォーマンスを「お父さん」としてご覧になってどうでしたか。
益岡 先日、初演のビリーを演じた子に会いましたが、もう大人になっているんですよね。ビリーを演じる、声変わり前の男の子の期間は、かけがえのない、とても大切な時間になるんだろうなと思います。これからビリーたち一人ひとりと一緒に稽古を進めていきますが、彼らはどんどん、僕の気持ちの中で”自慢の息子”になっていくんですよ。それは僕にとってもいい時間になると思っています。本当の”とうちゃん”だと思ってね。
鶴見さんは今回初の出演ですが、2017年の公演をご覧になったとか。
鶴見 観ました!! 『ビリー・エリオット』はいろんな要素が入った作品で、感動したので「これは絶対観たほうがいい」と、うちの奥さんに言ったところ、彼女も即、次の日に観に行ったんですよ。私が観た時のお父さん役は吉田鋼太郎さんでしたが、奥さんが観たのは益岡さんバージョン。なので、今回は自分が出ていない時の「益岡バージョン」を、しっかりと観ようと思っています。

ウィルキンソン先生役:安蘭けい(あらん・けい)、濱田めぐみ(はまだ・めぐみ)〈ダブルキャスト〉

◆町のバレエスクールの教師。ビリーのバレエの才能を見出し、夢を手助けする

左から:濱田めぐみ、安蘭けい ©政川慎治

安蘭さんは前回に引き続いての出演。今年のビリー役との共演も楽しみですね。
安蘭 前回は、初日から千秋楽までに子どもたちがどんどん成長していく姿を間近で見て、毎日毎日感動していました。くるくる回るシーンで最初は2回転が精一杯だった子が4回転までできるようになったりすると、自然と涙が出てきてしまいましたし。今回もそういう感動ができるのかと思うと楽しみです。今回の4人がどんな素晴らしいダンサーになっていくのか、期待しています。
初出演の濱田さん、『ビリー・エリオット』の作品の印象は?
濱田 2005年、ロンドンでのトライアウトをたまたま拝見しましたが、1幕が終わったところで、感動と衝撃に立ち上がれなくなってしまったんです。自分の心があまりに動かされたことにびっくりしました。2017年に日本版を上演すると聞いて観に行った時も同じ感覚を味わいました。作品が持つ爆発的なエネルギーと、夢を追い求める人のひたむきさ、強さ。これが、観る人の心をここまで動かすんだなと思います。

おばあちゃん役:根岸季衣(ねぎし・きえ)、阿知波悟美(あちわ・さとみ)〈ダブルキャスト〉

◆ビリーとトニーの祖母。ビリーの夢をあたたかく見守る

根岸季衣 ©政川慎治

根岸さんは益岡さんと同じく3回目の出演ですが、いままで共演したビリーたちや公演で印象に残っていることは?
根岸 今回のビリーたちがいまパフォーマンスした「エレクトリシティ」は、決められた振付のなかに、ちょっとずつ自分の得意な技が入ります。なので一人ひとりの個性があって、目が離せないんですよ。ビリーたちはみんな力を抜かずにギリギリのところまで挑戦するので、一緒に演じていてもいっぱい力をもらえます。今回も素敵な時間を過ごせると思うだけで、いまからワクワクしています。

阿知波悟美 ©政川慎治

阿知波さん、2017年に続いて2度目の出演が決まったときの気持ちは?
阿知波 「バンザーイ!」ってしました(笑)。もし再演があるなら絶対にやりたいと思っていたので、本当に嬉しかったです。前回の公演中は自分の出番ではない時は楽屋にいて黙っていればいいのにそれができなくて、舞台袖に行ったり、モニターでビリーのようすを見たりして。パッと決まった時には大きな拍手で「偉い偉い!!」とモニターに声をかけていたくらい、見ているほうも熱が入るんですよ。今日のパフォーマンスも釘付けでした(笑)

トニー役:西川大貴(にしかわ・たいき)、吉田広大(よしだ・こうだい)〈ダブルキャスト〉※吉田は会見欠席

◆炭鉱で働くビリーの兄。ストライキの若きリーダーでもある

西川大貴 ©政川慎治

本作の魅力と、今回演じるトニー役の印象は?
西川 最大の魅力はビリーたちのダンスです。ほかにも大人たちのダンスと子どもたちのダンスが同じナンバーでクロスしてきたり、ミックスされたりするのも魅力ですね。そして『ビリー・エリオット』は親子の話であり、コミュニティの話でもあります。自分が演じるビリーの兄トニーも、その中の一つのピース。熱い人物という印象があって、勝手にガッチリした人が演じるイメージを持っていたのですが……身長はいきなり伸びないので(笑)、自分なりの役作りをしていきたいと思います。4人のビリーとは本当の兄弟になれるように、(ビリーたちに)仲良くしてくれい!! よろしくお願いします!

吉田広大(動画コメントより)
自分が触れてきたもののなかで、こんなにもパワフルでエネルギッシュな作品があるなんて。パワー、そして愛と勇気。いろいろなものを『ビリー・エリオット』をとおしてみなさまに届けていきたいなと思っております。劇場でお待ちしております。

ジョージ役:芋洗坂係長(いもあらいざかかかりちょう)

◆ビリーが通っているボクシング教室のコーチ。炭鉱で働いている

芋洗坂係長 ©政川慎治

今回、初出演の芋洗坂係長さん。スティーヴン・ダルドリー氏とのオーディションはどうでしたか?
芋洗坂係長 初演を拝見したときは劇場で大号泣してしまいました。再演があったら必ず関わりたいなと思っていたので、オーディションを受けられる時点でもう夢のようでした。演出の方とも英語で和気藹々と「ハロー!」なんてね(笑)楽しくやらせていただきました。ジョージ役として初演の小林正寛さん、再演の星智也さんから、イケメン枠のバトンを繋ぎます(笑)。ボクシングのイケメン・コーチとして頑張りたいと思います。

オールダー・ビリー役:永野亮比己(ながの・あきひこ)、厚地康雄(あつじ・やすお)、山科諒馬(やましな・りょうま)〈トリプルキャスト〉※厚地は会見欠席

◆ビリーの夢のシーンで登場する、大人になったビリーの姿

永野亮比己 ©政川慎治

永野さんは、前回に引き続き2度目のオールダー・ビリー役を演じます。
永野 責任と緊張を強く感じる役柄です。僕が踊る 「ドリームバレエ」のシーンは、ビリーが夢に向かって羽ばたいていく心理がものすごくしっかりと描かれています。ただ一人で自由に踊っていてもいいけれど、やはりこれは二人の信頼関係の上に成り立っていて、自分にとっては責任重大なシーン。それを超えた時、自分がやってきて良かったなと思えるような幸せを感じることができた。また改めてそれを経験できるのはこの上ない喜びです。(ビリーたちのパフォーマンスは)もう、ブラボーです! 負けていられないなって思いました。

山科諒馬 ©政川慎治

初出演の山科さんにとって『ビリー・エリオット』はどんな作品ですか?
山科 僕は、このビリーたちくらいの歳の頃に映画の『リトル・ダンサー』を観てバレエを始めました。なのでこの作品にはすごく思い入れがあります。僕もビリーと同じように、バレエを始めようかな、どうしようかなと悩んでいて、この映画に背中を押してもらいました。なのでビリーの未来の姿を演じることをすごく嬉しく思います。先ほど4人のパフォーマンスを見て、僕も帯を締めなさなきゃと思いました。負けていられない! ですね(笑)

厚地康雄(動画コメントより)
いままでバレエしか経験してこなかった自分が、こうしてミュージカルの舞台に立たせていただくのは本当に光栄なことで、大変嬉しく思っています。最後、ビリーはロイヤル・バレエ・スクールに進みますが、僕もロイヤル・バレエ・スクール出身で、その後プリンパルになりました。ビリーとは共通点がたくさんあるので、自分にしか出せないものがあると信じて演じたいです。踊りをとおして、みなさんに愛と夢、感動を伝えられるよう精一杯演じます。

会見の最後は4人のビリーたちによる決意の言葉で締めくくられました。

「公演まで一生懸命練習して、本番では自分の名前にも込められているように“良く舞いたい”です」(浅田良舞)

「常識を打ち破るビリーになりたいです」(石黒瑛土)

「お客さまを楽しませるように、エネルギーを出して頑張ります」(井上宇一郎)

「お客さまに希望を与えられるビリーになるよう、頑張ります」(春山嘉夢一)

©政川慎治

公演情報

Daiwa House presents
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

東京公演
【日程】
オープニング公演 2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演 2024年8月2日(金)~10月26日(土)
【会場】東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

大阪公演
【日程】2024 年11月9日(土)~24日(日)
【会場】 SkyシアターMBS

【作品概要】
脚本・歌詞 リー・ホール
演出 スティーヴン・ダルドリー
音楽 エルトン・ジョン

【キャスト】
ビリー・エリオット(クワトロキャスト)浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一
お父さん(ダブルキャスト)益岡徹、鶴見辰吾
ウィルキンソン先生(ダブルキャスト)安蘭けい、濱田めぐみ
おばあちゃん(ダブルキャスト)根岸季衣、阿知波悟美
トニー(兄)(ダブルキャスト)西川大貴、吉田広大
ジョージ  芋洗坂係長
オールダー・ビリー(トリプルキャスト)永野亮比己、厚地康雄、山科諒馬
ほか

【公演に関するお問合せ】
ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11:00~18:00/土日祝休)
*チケット一般販売 2024 年3 月13 日(水)11:00~

◆公式サイトはこちら

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