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【動画レポ】K バレエカンパニー『シンデレラ』公開リハーサル

阿部さや子 Sayako ABE

2019年5月24日に幕を開けるKバレエカンパニーの人気演目『シンデレラ』。
その公開リハーサルが5月14日、東京・小石川の同カンパニースタジオで行われた。

Photos: BALLET CHANNEL

1幕よりシンデレラと継母、ふたりの義姉たちの場面

まずは第1幕より、シンデレラ(成田紗弥)と継母(ルーク・ヘイドン)、ふたりの義姉(杉山桃子、高橋怜衣)のシーン。指導は昨年カンパニーを引退した元プリンシパルの浅川紫織。

今回初役でタイトルロールに挑む成田のシンデレラは、佇まいそのものがまるで妖精のようで神秘的。とても清潔感のある踊りで、彼女がステップを踏むとまわりの空気が静かに揺れる。その持ち味がこの健気なヒロイン役にはまさにぴったりで、打たれた頬を押さえる指先の震えに、こちらの胸が締め付けられる。

そしてシンデレラのいじらしさを鮮やかに際立たせるのが、継母や義姉たちの演技。言わずと知れた芝居巧者ヘイドンの仕草や表情からは、「おだまり!」「あんたって子は、まったく!」等々のセリフがはっきりと聞こえてくる。また杉山や高橋は大きく思いきりの良い演技を成田やヘイドンにぶつけていて、パフォーマンスに勢いがある。

シンデレラが実母の肖像画を見ていたところを継母に見つかる場面では、指導の浅川から「描いてあるのは恋人ではなく大好きだったお母さん。胸に抱くなど表現を工夫してみて」「継母に見つかったら、反射的に(肖像画を)隠すんじゃない?」等々、自身がこの役を踊ってきたからこその細やかなアドバイスが。

指導においては「ここは演技の要素が多く、シンデレラが一人で展開を進めていく部分も多いので、演技をいかに自然に伝えられるか」に重きを置いているという浅川。「小道具も多いので、それを扱いながら踊ったり演じたりするのも、段取りや気を遣わなくてはいけないことがたくさんあって大変なんです。それらをいかに自然に踊りの中に入れられるかで、お客様が感情移入できるかどうかが変わってくると思っています」と語った。

2幕より、舞踏会でのシンデレラと王子のパ・ド・ドゥ

続いては第2幕のハイライトシーンのひとつ、舞踏会で出会ったシンデレラと王子が愛を深めていくパ・ド・ドゥのリハーサルが行われた。シンデレラは昨年末にプリンシパルに昇格した矢内千夏、王子は今シーズンよりプリンシパル・ソリストとして入団した高橋裕哉。指導には遅沢佑介が当たった。

とても静かに始まって、徐々に高鳴っていく美しい音楽。その音符の一つひとつと、そこに振付けられた煌めくステップの数々と、それを踊る矢内と高橋の表現から、運命の相手に出会ったふたりの感情が胸いっぱいに育っていくさまが手に取るように伝わってくる。

しかしこうしてリハーサル風景を間近で見ると、この甘くロマンティックなパ・ド・ドゥがいかに難易度の高いものかもよくわかる。特に難しそうだと感じたのは男性のサポート技術。リフトした女性をどう下ろしてくるか。女性を支えながら自分のボディをどう構えるか。遅沢は時折高橋に女性の動きをさせ、どこをどう支えれば女性が踊りやすくなるのかを体感させながら、数センチ、数ミリ単位のバランスを指導していく。

「このパ・ド・ドゥはまず技術的なことがとても難しい。ここは舞踏会で出会ったふたりの喜びという表現が何よりも大事だけれども、技術面に気を取られると、その喜びが出てこなくなる」と遅沢。「でもふたりとも“若さ”という武器を持っている。本番に向けて、ここからさらに成長していきます。公演でふたりがどんな姿を見せるかにも注目していただきたいです」。

「このパ・ド・ドゥはつなぎの部分が特に難しいです。ひとつの動きが終わってから次に行くまでの間も、流れが途切れてしまわないように、美しく見せなくてはいけないので」(矢内)

ハンガリー王立バレエから移籍してきた高橋。「ハンガリー王立バレエでは伝統に基づいていて、歴代の方の踊りを忠実に引き継ぎ、変えていくということはありませんでした。また現代のバレエを身近に感じられる舞踊となると、ヨーロッパではコンテンポラリーやモダン作品になる。でも僕はクラシックを極めたいと思っていたので、熊川ディレクターと一緒に作品を組み立てていけるKバレエカンパニーの舞台はとても魅力的です」

公演情報

【会場】東京文化会館 / Bunkamuraオーチャードホール / アクトシティ浜松 / フェスティバルホール

【日程】2019年5月24日(金)~6月6日(木)

★詳細・お問合せはこちら

 

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