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【第13回】ウィーンのバレエピアニスト 〜滝澤志野の音楽日記〜「1周年スペシャル!ウィーン女子座談会」

滝澤 志野

ウィーン国立バレエ専属ピアニストとして、バレエダンサーを音楽の力で支えている滝澤志野さん。
彼女は日々の稽古場で、どんな思いを込め、どんな音楽を奏でているのでしょうか。

“バレエピアニスト”というプロフェッショナルから見たヨーロッパのバレエやダンサーの“いま”について、志野さん自身の言葉で綴っていただく月1連載。
日記の最後には、志野さんがバレエ団で弾いている曲の中から“今月の1曲”を選び、バレエチャンネルをご覧のみなさんのためだけに演奏した動画も掲載します。

美しいピアノの音色とともに、ぜひお楽しみください。

連載1周年! 今回は「ウィーン女子座談会」をお届けします

季節はいつの間にか移ろい、初夏がやってきました。ウィーンは厳しい規制が緩和され、劇場公演再開はまだ先なものの、街は日常風景を取り戻しつつあります。

さて、〈バレエチャンネル〉は今月で1周年。私も音楽日記連載を始めて1年が経ちました。みなさま、いつもご愛読いただき、時にあたたかいメッセージをくださりありがとうございます。

今回は1周年の“特別編”。 ウィーン国立バレエに咲く美しき日本人バレリーナ、橋本清香さんと芝本梨花子さんをお招きしての「ウィーン女子座談会」をお届けします!(ウィーンの貴公子・木本全優さんもお招きしたかったのですが、ご都合がつかず、今回は女子会となりました……)

【本日のお客様】

●橋本清香さん
兵庫県出身。ウィーン国立バレエ プリンシパル。ご主人は同じくプリンシパルの木本全優さん。2004年ドレスデン国立歌劇場バレエ団入団、2008年ウィーン国立バレエ団移籍。バレエ団のトップ・プリンシパルでありながら、3歳の男の子と猫のレオの子育てに愛情を注ぐスーパーウーマン。日本人離れした美しい舞台姿と極めてノーブルな踊りが魅力ですが、普段は関西人らしさ満開。

●芝本梨花子さん
福岡県出身。ウィーン国立バレエ ハーフソリスト。2016年入団。可憐な舞台姿とは裏腹に、普段はボーイッシュな雰囲気と落ち着いた内面を併せ持つ意外性が魅力。2017年夏のルグリガラで『海賊』のオダリスクと『ローレンシア』パ・ド・シスを踊り、キラリと光る踊りで観客を魅了。趣味は映画鑑賞とフィルムカメラ

橋本清香さん(中央)と芝本梨花子さん(左)

滝澤 やっと会えたね。お元気でしたか? カンパニーでは、ようやくオンラインクラスが始まって、自宅で受けられるようになりましたが、3月10日から休みになってどんな感じで過ごしていましたか?

橋本 家の一室をトレーニングルームにして、仲のいいドイツやスイスのダンサー仲間とZoomで一緒にレッスンしてました。日替わりで教え合うので、クラスを組み立てる勉強にもなって。レッスンしない日は走りに行ったり。

芝本 いまはオンラインクラスが始まりましたが、最初はYouTubeでクラス・レッスンを受けていました。はじめの1〜2週間はすごく長く感じたけれど、いまは1日があっという間ですね。

滝澤 この生活にも慣れたよね。 あんなに作品に追われて忙しく働いていたのが夢みたい。あの生活に戻れるのか不安(笑)。

橋本・芝本  本当に(笑)。

滝澤 いきなり本題ですが、ウィーンのバレエ団の印象ってどんなですか?

芝本  個性豊か。いろんな国から集まってきているからか、いろんな個性のダンサーがいますよね。

滝澤 確かに。ウィーンのバレエは歴史的にロシア色が強かったけれど、ルグリ監督はほとんどロシア人を採らず、ロイヤルやスカラ座の生徒を多く採用してきたから、西欧のバレエ団としての個性が強くなって。カラーが変わっていくのも面白くて。

橋本 だから、踊りもロシアンスタイルでもないし、監督がフレンチスタイルを踊らせるわけでもなく、いろんなタイプの人がいるよね。

滝澤 清香さんは、カンヌ・ロゼラ・ハイタワーご出身でフレンチスタイルの持ち主なので、監督のもとで踊りやすいのでは? そもそも清香さんをカンヌに呼んだのはモニク・ルディエールさんなんですよね。モニクがウィーンに『ドン・キホーテ』を指導しにきて、ルグリによってスターに育てられようとしていた清香さんに再会したというエピソードが大好きです。

橋本 じつは、カンヌ時代にもルディエール版『ドン・キホーテ』で第3幕の花嫁を踊ったことがあるのですが、ウィーンで再会して、花嫁やキューピッド、キトリの友人を指導していただきました。私の成長を喜んでくれているようで嬉しかったです。変わらずパワフルなモニクにエネルギーをもらいました。フレンチスタイルなら、私より全優ですね!ピルエットのプレパレーションやバッチュとか、フレンチは独特なので、たまにロシア流バレエマスターに注意されたりもするけれど。

ウィーン国立バレエ パリ公演『ドン・キホーテ』橋本清香・木本全優

滝澤 踊りのスタイルが違う者同士、ひとつのカンパニーで働く難しさもあるよね。梨花子さんは、日本からウィーンに来て、バレエにおいての違いやカルチャーショックはありましたか? ウィーンのバレエ学校に入った経緯も教えてください。

芝本 NBAバレエコンクールでスカラシップをもらったのがきっかけです。ウィーンのバレエ学校では、生徒たちのクラスやリハーサルの受け方が驚きでした。みんな受け身なだけでなく、自ら質問したり、「もう一度やらせてください」と先生にお願いしたり、積極的に関わっていくんですよ。生徒と教師のコミュニケーションがあるというか。

滝澤 うちのダンサーでも、ルグリがリハーサルでヴァリエーションを教えている時に、「どうして?」とか「やって見せて」って言った人がいたよ。マニュエル、マネージュを踊ってあげてた(笑)。

橋本 フリーダム(笑)。ピアニストたちもみんな個性豊かで上手いし、自由でキャラが濃い。伴奏役ではなく同等のアーティストって感じで。

芝本 ダンサー、バレエマスター、ピアニストがいい感じでバランスが取れている。意見が交流できている感じがします。

滝澤 そして、ルグリというカリスマ性あるトップがいることで、まとまりが取れている。

橋本 確かに、彼がいなければ自由になり過ぎる(笑)。

滝澤 梨花子さんは2016年に入団して4年がたちましたね。

芝本 はい、バレエ学校最終学年の冬の試験後に、カンパニーの1月の一般オーディションに参加する権利を与えられ、そのあと2月から入団することが決まりました。

滝澤 初舞台が監督の『海賊』だったのは幸せだったよね。清香さんはドレスデンから移籍してルグリが就任する2年前からウィーンで踊っていますが、前の監督からルグリ時代になって、バレエ団はどう変わりましたか?

橋本 作品数もリハーサルも増えて、仕事量は増えたな、と。公演数は変わっていなくても内容が濃く、ハードになりましたね。

滝澤 コール・ド・バレエで入団して、いまはプリンシパル。働き方も変わりましたよね?

橋本 ハーフソリストの時がいちばん大変だったかも。群舞も踊る、主役を踊ることもある、ソロパートもあるし、主役の代役も覚えなきゃいけない。でも、若かったし、エネルギーにあふれてた。プリンシパルになってからは、本番の数が減ったので、ひとつの作品に集中できているかな。

2016年3月『海賊』に主演した橋本清香さんは、終演後、舞台上でプリンシパルに任命された

ドミニク・メイエ総監督、橋本清香、マニュエル・ルグリ芸術監督

滝澤 でも、稽古時間が充分に取れないままに舞台に乗らなきゃいけないのは相変わらずだよね。

橋本 今シーズンの『海賊』も初日に急にメドーラを踊ることになったこともあって、ギュルナーラ役の稽古はほとんどできないままに踊りましたね(笑)。

滝澤 それでも素晴らしい出来だったけれど。清香さんは“ジャンプイン”の女王で、昔はいろんな役を当日言われてジャンプインしてきたよね。パリ公演の『Eventide』、『ドン・キホーテ』のキトリ、『アレグロ・ブリランテ』の主役……。

橋本 『アレグロ・ブリランテ』は踊ったことがなくて、そのシーズンは代役にも入っていなかったけど、マニュエルから公演の日の夕方電話がかかってきて。その前のシーズンの稽古に参加していたので、カウントもなんとなく覚えていて……。

芝本 凄い!!

『アレグロ・ブリランテ』橋本清香・滝澤志野

滝澤 あの作品はカウントも難しいのに本当に凄いです。2013年から2014年、あの頃は大変なことがいろいろあったよね。いまは落ち着いてる。なんでだろう。

芝本 ひと頃に比べて怪我する人も減りましたよね。

橋本 みんな慣れてきたのもあるし、ルグリもいろんなことを考えてキャスティングするようになって、うまくいくようになったのかも。

滝澤 10年たって信頼関係もできて、いろんなことがうまく回っている。きっとチームとして熟成されてきたんだね。梨花子さんはジャンプイン経験は?

芝本 当日言われてコール・ドに入らなきゃいけないというのはありました。みんなが踊り慣れている作品でも、バレエ団に入ってすぐの自分は振付を知らなくて、苦労したというのはありましたね。

滝澤 最初は大変だよね。印象深い作品や役を教えてもらえますか?

橋本 やっぱり『くるみ割り人形』のクララかな。初めて踊った主役だったので。キトリも白鳥も、ヌレエフ作品は苦労したぶん印象深いです。

『白鳥の湖』終演後 ワディム・ムンタギロフ、橋本清香 ©️Ashley Taylor

滝澤 2012年に清香さんが初めてクララを踊った時のくるみ、とても印象に残っています。私にとっても初めて通しで弾いたヌレエフ作品で、一緒に成長させてもらったというか。

橋本  舞台が月曜日で、日曜日にマニュエルとロベルト(・ガブドゥーリン)と志野さんと4人で劇場に来て稽古しましたね。

滝澤 懐かしい。で、その舞台が終わったあと、ソリストに昇格して。最高のクリスマス!
梨花子さんは、印象深い役、ターニングポイントはありますか?

芝本 『海賊』のオダリスクですね。「ルグリ・ガラ」で初めて踊ったのだけど、その前に怪我をしてしばらく踊っていなかったので、足のことを考えてやめるかチャンスに賭けるか考えました。次の年の日本公演でも踊ったし、劇場でも何度も踊ったし、いちばん思い出深いですね。

ルグリ振付『海賊』オダリスク・芝本梨花子(中央)
©️Ashley Taylor

2017年「ルグリ・ガラ」終演後 芝本梨花子、滝澤志野

滝澤 「ルグリ・ガラ」のオダリスク、プログラムのトップバッターで凄いプレッシャーだったと思うけど素晴らしかった! その勇気に感動しました。また踊れるチャンスあるといいね……。

橋本 このまま「ヌレエフ・ガラ」なしでルグリ時代が終わってしまうのが残念過ぎるよね……。

芝本 またガラとかで集まれたらいいですね! いつかまたどこかで監督と一緒に仕事をできることを願って……!

滝澤 本当に、彼の元でまたみんなで公演したいよね(しんみり)。公演はなくなってしまっても、私たちはひとつの大きなファミリーだから。ルグリ監督のもと最後まで一緒に味わい尽くしたいね。
ところで、ダンサー生活でつらかったことはありますか?

芝本 怪我ですね。「ルグリ・ガラ」の次のシーズンで、『ジゼル』のペザント・パ・ド・ドゥを踊ることになったけど、その1週間前に骨折して。前のシーズンの怪我を引きずっていたのだと思います。いまは、もちろん「ルグリ・ガラ」に出て良かったと思うけれど、怪我した時は焦りもあるし、精神的に辛かったですね。

『ジゼル』ペザント・パ・ド・ドゥ 芝本梨花子©️Ashley Taylor

滝澤 良い時期に怪我してしまって辛かったよね……。あの時、電話で長く話したの覚えてる。清香さんは怪我することなくキャリアを積んできたけれど、全優さんが怪我をしているのを見て辛いとかはありませんでしたか?

橋本 全優はよく怪我をしていたけれど、彼は切り替えが早くて、焦りとかはないみたいでした。マイペースに、今自分に出来ることをしようと。

滝澤 それは素晴らしいよね。見習いたい! 全優さんと舞台で共演することも多いけれど、夫婦で組むのはいかがですか?

橋本 リハーサルでは喧嘩したりします(笑)。他のダンサーとだったら遠慮して言わないことも、「そっちが悪い」とか言い合うし、家庭に持ち込むことも(笑)。でも、舞台では信頼できて相性もよく、安心できるパートナー。そこまで到達するプロセスは喧嘩だらけですけどね!

滝澤 なんでも言い合えるのはいいこと! お客さんの立場でも本当のカップルが醸し出す雰囲気は魅力的です。清香さんと全優さんはコンテで組む時も素晴らしく相性がよくて洗練されていて大好きです。梨花子さんもいつの日か是非。

芝本 そうですね!

滝澤 ところで、ライバル的な存在はいましたか? 梨花子さんはエレナ(・ボッタロ)とかどうだろう?

芝本 エレナは2年くらい先輩で、ライバルというより、追いつきたいという思いがあったかも。役のタイプも似ていたから、目指すという感じで。

滝澤 エレナが踊った『コッペリア』第3幕のソロ、梨花子さんにも踊ってもらいたかった! 清香さんはどうですか? 清香さんがハーフソリストの頃、同世代でいいダンサーが同じ階級にたくさんいたんだけど、清香さんにどんどん役がついて、孤独じゃないのかな、なんて思っていました。

橋本 そんなに考えていなかったかも。でも最初はそんなにマニュエルにも期待されていなかったのだけど、『ヴェルティジヌス』で指導に来た方に指名してもらい初日に踊って、『シルフィード』もラコット氏に指名されてパ・ド・ドゥとエフィを踊りました。徐々に、ですね。

滝澤 誕生日にエフィ踊ったよね。

橋本 なんでそんなに覚えてるんですか(笑)。私はウィーンにはライバル的存在はいなかったけれど、学生時代は切磋琢磨できる仲間がいてお互い成長できたから、ライバルがいることによって自分が成長できると思います。

滝澤 私もそう思います。ところで、話が変わって好きなバレエ曲はありますか?

橋本 『ロミオとジュリエット』かな。踊ったことがないから、辛い思い出とかもないので、聴いていて心地いいのもあって。

滝澤 辛い思い出がない(笑)。本当に素晴らしい曲だよね。またクランコ版『ロミジュリ』が舞台にかかってほしいな。梨花子ちゃんは?

芝本 マクミランの『コンチェルト』の第2楽章! それと、『オネーギン』の最後のパ・ド・ドゥ。

滝澤 最高だよね。私も『オネーギン』はすみずみまで好きだし『シルヴィア』も。第2幕最後のシルヴィアとエロスのパ・ド・ドゥの曲で天に召されたいくらい好き(笑)。

『シルヴィア』カーテンコールにて 橋本清香・木本全優

滝澤 あと、音楽的に踊るってどういうことだと思う?

芝本 音楽を追うのではなく、音楽を引っ張っていくというか、自分が音楽を操っているように見える人。

滝澤 例えば、具体的に思い浮かべるダンサーはいますか?

芝本 うーん、ルグリ監督かな。

橋本・滝澤 うんうんうん!!!!(満場一致)

滝澤 彼が教えると、みんなの音の捉え方が変わるもんね。素晴らしいよね。ピアニストもみんなそれぞれ音楽的な魅力があるし、オケも素晴らしいし、音楽面でウィーンは豊かだよね。

橋本 志野さんはとくになんでも弾ける。大きな作品も毎回通し稽古を弾いているし、ルグリにも信用されて任されていますよね。

芝本 私は志野さんがクラスで弾いてくださる選曲が好きで、ダンサーやバレエマスターの大切な思い出の曲とか、みんなを想って弾いてくださっていると感じます。

橋本 レパートリーたくさん持っていて、クラスも曲だけ聴いていたいくらい贅沢。

滝澤 ううう、ありがとうございます。私がCDを作ることになったきっかけが、ウィーンに来て出逢った素晴らしい芸術を自分のなかに留めておくのがもったいなくて、誰かに伝えたい、という気持ちでした。
清香さんから梨花子さんに、あらためて伝えたいメッセージはありますか?

橋本 真面目で努力家でしっかりしている。自分が若い時はこんなにしっかりしていなかったから凄い。これからも期待しています。

芝本 私にとって清香さんは入団する前から尊敬していました。テクニックも凄いし、バレエ団でも清香さんに対するみんなの信頼が凄い。「キヨカならなんでも絶対できる」という。

橋本 本当はもっとリハーサル入れて欲しいのに、できるでしょ、と思われて入れてもらえない辛さ(笑)。

滝澤 最高難易度のことをやっているのにね(笑)。おふたりの踊ってみたい作品、役はありますか。

橋本 クランコの『じゃじゃ馬ならし』です。ドレスデン時代にコール・ドを踊ったのだけど、作品が素敵だし主役が本当にいい役で、憧れていて。モダンもいろいろ踊りたい。3月に踊ったナチョ・ドゥアトやキリアンもこれからももっと踊りたいです。

芝本 踊ってみたい役はいっぱいあります。クラシックもコンテンポラリーも。公演中止になってしまったフォーサイスの『セカンド・ディテール』も踊りたかったです。やっぱり主役も踊ってみたい。

滝澤 ウィーンのレパートリーでこの役をやってみたいというのはありますか?

芝本 ダンサー人生の中で、一度は『オネーギン』のタチヤーナを踊ってみたいです。

滝澤 清香さんは『じゃじゃ馬ならし』、梨花子さんは『オネーギン』、ふたりともクランコを踊りたいのね! 梨花子さんは舞台姿が可憐で可愛い感じだけど、じつは中身が大人びているから、タチヤーナのような大人の役をやりたいというのは納得する。ボーイッシュだし、見た目とのギャップがあると言われない?

芝本 確かに役がつくのは妖精役とか可愛い感じが多くて、自分の中ではもっとカッコいい役に挑戦してみたいというのはあります。

滝澤 古典よりドラマティックな作品に憧れる?

芝本 そうかも。バレエをあまり知らないお客様にもストーリー性のあるものの方が伝えやすいかなぁと。

ルグリ振付『シルヴィア 』ナヤーデ役 芝本梨花子

滝澤 まだまだ先が長いからね。チャンスがたくさんあるよ。楽しみにしています!
将来、こんなことをしたいというのはありますか。

芝本 日本でワークショップをしたり、もっと公演にも出たいですね。それから、挑戦し続けたいです! ダンサーとしても、そしてダンサーを引退した後も、どんどん新しいことに挑戦できる人になりたい。

橋本 私はまだもう少し欧州にいたいのですが、将来的に日本に帰ることになったら、その時はヨーロッパで学んで経験してきたことを伝えられるといいなと思っています。

滝澤 おふたりの未来をとても楽しみにしています。これからも繋がり続けて一緒に素敵なことをしていけたらいいね。今日は素敵な時間をありがとう。久しぶりに会えてゆっくり話せて嬉しかったです。

橋本・芝本 ありがとうございました。次は早く稽古で会いたいですね!

今月の1曲

今月はバレエチャンネル1周年スペシャルということで、読者のみなさまのリクエストにお応えすることにしました。先日Twitterにて、4つの候補曲の中からどれを「今月の1曲」に希望するかをアンケート。620票もの清き一票をありがとうございました!

みなさまの熱い気持ちが伝わってくる接戦でしたが、1位は『くるみ割り人形』第2幕・金平糖と王子のグラン・パ・ド・ドゥのアダージオ。

『くるみ割り人形』ロベルト・ガブドゥーリン、橋本清香 ©️Ashley Taylor

座談会でお話ししたとおり、『くるみ』は私がヌレエフ版を通しで弾いた初めての作品。2012年プルミエ以来、稽古もオケピでのチェレスタも全公演弾いてきました。清香さんとも梨花子さんともたくさんの思い出がある、大切な作品です。そして、この1年、古典作品のパ・ド・ドゥを1曲も動画にしていなかった事実に気付いてしまったこともあり、1周年企画にふさわしいと感じました。バレエを愛する方ならきっとみなさま、夢が詰まった『くるみ』に素敵な思い出をお持ちではないでしょうか。きらめきを共に味わっていただけますように。

2020年5月20日 滝澤志野

★次回更新は2020年6月20日(土)の予定です

New Release!

ドラマティック・ミュージック・フォー・バレエ・クラス3
ウィーン国立バレエ専属ピアニスト 滝澤志野

ドラマティック・バレエの名曲に加え、ウィーンのダンサーたちのお気に入りの曲や、ひたむきに稽古するダンサーたちにインスパイアされた曲をセレクト。ピアノの生演奏でレッスンしているかのような臨場感あふれるサウンドにこだわりました。

●ピアノ演奏:滝澤志野
●監修:永橋あゆみ(谷桃子バレエ団 プリンシパル)
●発売元:新書館
●価格:各3,960円(税込)

★詳細はこちらをご覧ください

 

ドラマティック・ミュージック・フォー・バレエ・クラス1&2 滝澤志野  Dramatic Music for Ballet Class Shino Takizawa (CD)
バレエショップを中心にベストセラーとなっている、滝澤志野さんのレッスンCD。Vol.1では「椿姫」「オネーギン」「ロミオとジュリエット」「マノン」「マイヤリング」など、ドラマティック・バレエ作品の曲を中心にアレンジ。Vol.2には「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「オネーギン」「シルヴィア」「アザー・ダンス」などを収録。バー、センター、ポアント、アレグロなど、初・中級からプロフェッショナル・レベルまで使用可能なレッスン曲集です。
●ピアノ演奏:滝澤志野
●Vol.2監修:永橋あゆみ(谷桃子バレエ団 プリンシパル)
●発売元:新書館
●価格:各3,960円(税込)

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大阪府出身。桐朋学園大学短期大学部ピアノ専攻卒業、同学部専攻科修了。2004年より新国立劇場バレエ団のピアニスト。2011年よりウィーン国立バレエ専属ピアニストに就任。 レッスンCD「Dramatic Music for Ballet Class」Vol.1、2、3、「Dear Tchaikovsky~Music for Ballet Class」、「Dear Chopin〜Music for Ballet Class」をリリース(共に新書館)。国内のバレエショップを中心にベストセラーとなっている。2023年7月大阪・東京で初のピアノソロリサイタルを開催。初のピアノソロアルバム「Brilliance of Ballet Music~バレエ音楽の輝き」も同時発売。

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