
©はぎひさこ
ミュージカル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』が、2026年6月7日に開幕。東京、福岡、大阪、愛知の4都市で公演を行います。
原作は1988年に上映されたスペインのペドロ・アルモドバルによる同名映画で、ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞し、話題を呼びました。舞台版は2010年にブロードウェイ、2014年にはウエストエンドで上演され、それぞれトニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞にノミネート。オランダ、オーストラリアでの上演を経て、いよいよ日本初演の幕が上がります。
演出は『9 to 5』『のだめカンタービレ』『この世界の片隅に』『Next to Normal』など多くのミュージカル作品を生み出している上田一豪。出演者には主人公ペパを演じる望海風斗のほか、秋山菜津子、和希そら、長井短、髙嶋政宏ら、個性的で実力あるメンバーが集結しました。
今回は主人公の親友、カンデラ役を演じる、和希そら(かずき・そら)さんにインタビュー。役柄についてや演技のこだわりのほか、子どもの頃からのダンス愛を存分に語っていただきました。

和希そら Sora Kazuki
1992年10月5日生まれ。岡山県出身。2010年に宝塚歌劇団入団。宙組配属の後、2021年雪組へ異動。2024年の退団後はミュージカルの舞台を中心に活躍。
おもな出演作品は、『ハッスル メイツ!』『夢千鳥』(以上、宝塚歌劇団宙組)、『心中・恋の大和路』『双曲線上のカルテ』(同雪組)、『9 to 5』『SIX』『梨泰院クラス』『SPY×FAMILY』『ジキル&ハイド』など ©はぎひさこ
- STPRY
- 女優のペパ(望海風斗)が電話のベルで目を覚ますと、恋人・イバン(髙嶋政宏)が唐突に別れを告げる。「僕は君にふさわしくない」。ペパは風変わりなタクシー運転手(遠山裕介)の助けを借り、彼のアパートへと向かうが、何週間も不在にしていることが判明。
イバンを探す女性がもう一人。元妻ルシア(秋山菜津子)。彼女は19年前に自分を捨てたイバンを訴えようと弁護士のパウリーナ(長井短)に相談をしている。しかし、じつはイバンの新しい恋人がパウリーナ…!
意気消沈のペパは家に戻り、親友のカンデラ(和希そら)とお互いの悩みを分かち合う。
そんな中、カンデラの恋人がテロリストとして指名手配され、イバンの息子・カルロス(溝口琢矢)とその婚約者マリサ(黒川桃花)が訪ねてきて、ペパは自分が妊娠していることを知り、更に思い詰めたカンデラがペントハウスのテラスから飛び降りてしまう…!
事態が混乱を極める中、それぞれの女性たちの行動が大きな事件を巻き起こす−−。
📞
- 『神経衰弱ぎりぎりの女たち』出演にあたっての心境はいかがですか?
- 和希 とにかく共演者のみなさんが芸達者な方々ばかりなので、いろいろ吸収させていただきながら頑張りたいと思っています。宝塚歌劇団の先輩でもある望海風斗さんは、今回初めてご一緒できるのですごく楽しみです。演出は私が宝塚を退団して最初に出演したミュージカル『9 to 5』と同じ上田一豪さん。お稽古場でいろいろなことに挑戦できる環境を作ってくださる演出家さんですから、今回も積極的にチャレンジしていこうと思っています。
- 作品の第一印象を聞かせてください。
- 和希 現在(編集部注:取材は2025年12月)上演台本はまだ手元になくて、海外で上演された舞台版の台本をいただいていて拝見しているところです。登場人物がみんな個性的で、それぞれがジレンマを抱えていたり、切羽詰まっていたりと余裕がなくて、自分のことだけで精一杯。まさにタイトルどおり“神経衰弱ぎりぎり”です。それゆえに、みんなかなり自分勝手だと思います(笑)。
- 和希さんが演じるカンデラはどんなキャラクターですか?
- 和希 カンデラはある日突然、自分の恋人がテロリストとして指名手配されてしまい、望海さん演じる親友ペパのもとへ助けを求めに行きますが、そこからさまざまなアクシデントに巻き込まれます。彼女を一言で表現すると「本能で生きている人」。理性よりも先に本能が顔を出すというか、もともと本能だけしか備わっていないみたいな女性で、私とはまったく違うタイプです。だからこそ、これからの役作りが楽しみで。本能で生きる人をどうリアルに演じてみせることができるだろう、と考えるだけでワクワクしてきます。
- 和希さんは切れのいいダンスはもちろん、ナチュラルな演技にも定評があります。
- 和希 観ている人が不自然さを感じてしまうような演技はしたくない。それはどの役を演じる時にも意識しているところです。作品のテイストによって、例えば原作がコミックやアニメの舞台では、キャラクターを原作に寄せるためにやや誇張する必要もでてきます。その場合も、基本的な部分は同じです。キャラクターのイメージを守りつつ、もしその人が実際にいたらどんな感じなのかを考えて、その役が現実に生きているかのようにリアルに表現したいと考えています。
- 他の方と一緒に演じることで、演技が変化していく過程も大好きです。思っていたのとまったく違う答えが出ることもあり、まさにそれが醍醐味だなと。予測できない面白さって、生身の人間同士がつくりあげるからこそ生まれるものですよね? それが私自身の幅を広げてくれるかもしれないと思うと、演じることが楽しみでたまらなくなります。

この日はビジュアル撮影もあり、和希さんは目の覚めるようなピンクのドレス姿で登場。「ピンクは大好きな色なんです。役のイメージも膨らみますね」 ©はぎひさこ
- カンデラは、精神的にかなり不安定な役柄です。たとえば演じていて役柄の精神的なダメージを背負ってしまうようなことはないのでしょうか?
- 和希 私は大丈夫です。役と自分は切り離して考えるので、どんなに暗い役を演じている時でも、プライベートまで引きずることは滅多にないですね。精神状態はつねにフラットでいるように意識していますし、もし落ち込むことがあっても、めちゃくちゃ早く復活します! つらいことも大変なこともすべて前向きに楽しみながら生きてきた、めちゃめちゃポジティブなタイプなんですよ。
- 不安で眠れない、なんていうことは?
- 和希 ないですね。毎日爆睡です(笑)。私、切り替え上手なんです。どんなに考えてもどうにもならないことってありますよね? そんな時は「起きちゃったものは仕方がない。じゃあ、この経験を活かしてなにができるだろう。なにか楽しいことをしてみたいな」と考えます。同じ時間を使うなら、どうにもならないことを悩んでいるよりもそのほうがずっといい、という考えです。
- 体の疲れはどう癒しますか?
- 和希 お世話になっているトレーナーの方にチェックしていただいたり、マッサージに行って疲れを溜めないように心がけています。そして入浴! バスタイムはとくに大事にしていて、朝と晩にお風呂に入ります。どんなに疲れていても、絶対にバスタブに浸かるのがこだわりです。

©はぎひさこ
- 和希さんの小さい頃のことも聞かせてください。早くからダンスを始めたそうですが、きっかけは?
- 和希 母が、幼稚園のお遊戯会で踊っている私を見て、「この子、ダンスを習わせたらいいんじゃないかしら」と思ったみたいで、ジャズダンスとか、ガールズヒップホップを教えているダンス教室に連れて行ってくれたんです。そうしたらすっかりハマってしまって。小学生の時にはダンサーになるのが夢でした。他にもいろいろな習いごとをさせてもらったのですが、続いたのはダンスだけでしたね。
- 宝塚歌劇団の舞台に触れたのはいつ頃ですか?
- 和希 小学校6年生くらいのときに、母と一緒に劇場へ観に行き、「私もこの大きな舞台で踊ってみたい!」と受験を決めました。
- 受験のためにバレエも習い始めたそうですね。バレエのレッスンは好きでしたか。
- 和希 バレエチャンネルなのにちょっと言いづらいですけれど、私、ダンスがめちゃくちゃ好きだったので、バレエのレッスン中には「この時間を使って、もっとダンスを踊りたいな」という気持ちがなくもなかった……すみません! でもバレエをきちんとやるとダンスの基礎も身につくし、なにより体幹の強さが鍛えられます。それによっていろんなジャンルの踊りも変わってくるし、表現の幅も広がるというのは、身をもって感じていました。
- 好きなダンサーは? ダンス公演を観に行くことはありますか?
- 和希 まだ幼い時からBugs Under Groove(バグズ・アンダー・グルーヴ)というグループのファンで、ステージがあるたびに観に行っていました。もう一人はジャズダンサーの原田薫さん。本当に大好きで、ずっとずっと憧れている方です。

「私の母はダンス経験はないのですが、アドバイスが的確なんです。プロになってからも、母が舞台を観に来てくれた時には、気になったところがあったら教えてとお願いして参考にすることも多いです」(和希) ©はぎひさこ
- 途中でダンスをやめたいと思ったことは?
- 和希 (即答)ないです! 一度もないです! ずっとずっと大好きで、毎日毎日踊ってました。
- 勉強との両立は大変ではなかったですか?
- 和希 むしろダンスを習いに行く時間を作るために、毎日集中して授業を受けていました。定期テスト前にたくさん勉強しなくてもいいように、授業ですべてを吸収すると決めて。勉強のためにダンスを休むのは嫌だったし、とにかく踊ることが大好きだったから。
- それほどまでにダンスに惹かれるのはなぜなのでしょう。
- 和希 なんだろう。うまく説明できない。「踊っている時になにを考えていますか?」と聞かれることもあるのですが、ただただ音を感じているあの感覚を言葉で伝えるのは難しいです。時間があれば、私はスタジオに行ってダンスを踊ります。それが答えだと思います。
- 今後の目標や夢はありますか?
- 和希 新しい挑戦がしたいです。お仕事に限らず、日々の生活の中で自分が選択していくいろいろなものすべてについて。いまの私には、少し先にいる自分がどんな選択をするかまだ分かりません。挑戦し続けて経験を積むことで、未来の私はどう変化していくのか、それを想像するのが私の楽しみなんです。
- 最後に、バレエチャンネルの読者にメッセージをお願いします。
- 和希 『神経衰弱ぎりぎりの女たち』はラテンミュージックでお届けするミュージカルコメディです。ミュージカルをあまり観ない方でも楽しい気持ちで帰っていただける作品をお届けしたいと思うので、ぜひ劇場にいらしてください!

©はぎひさこ
和希そらオフィシャルサイト https://kazukisora.jp/
🍅
公演情報
ミュージカル
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』

東京公演
【日程】6月7日(日)~6月21日(日)
【会場】日本青年館ホール
福岡公演
【日程】6月26日(金)~6月28日(日)
【会場】博多座
大阪公演
【日程】7月2日(木)~7月6日(月)
【会場】SkyシアターMBS
愛知公演
【日程】7月10日(金)~7月12日(日)
【会場】御園座
【出演】
望海風斗、秋山菜津子、和希そら、長井 短
溝口琢矢、黒川桃花、遠山裕介、髙嶋政宏 ほか
【スタッフ】
原作:ペドロ・アルモドバル(映画「神経衰弱ぎりぎりの女たち」)
脚本:ジェフリー・レーン
音楽/歌詞:デイヴィッド・ヤズベク
翻訳/訳詞/演出:上田一豪
製作:TBS/ワタナベエンターテインメント
◆公式サイトはこちら