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【座談会】玉野和紀×北翔海莉×留依まきせ「CLUB SEVEN another place」～今年で21年目。ダンスあり笑いあり、パフォーマンスは過去最大級！

2024.09.27 若松圭子　Keiko WAKAMATSU

2003年の初演から21年目を迎えたエンターテインメント・ショー『CLUB SEVEN』。タップダンサーであり、多くのミュージカル作品で演出・振付を手がける玉野和紀と、吉野圭吾、東山義久、西村直人を中心に上演し続けている同シリーズは、ソング＆ダンス、芝居、ミュージカル、スケッチなど、舞台のあらゆる要素を取り入れたステージです。新作『CLUB SEVEN another place』は、初演から作品を支える先述の“レジェンド”メンバー4名に加え、ゲストに準レギュラーの大山真志と北翔海莉、初参加の林翔太、鈴木凌平、留依まきせを招いての9名体制。9月22・23日にシアター1010（センジュ）での公演を終え、9月28日～10月13日には有楽町よみうりホールにて上演されます。

『CLUB SEVEN』とは？: 人呼んで“怒涛のジェットコースター大娯楽エンターテインメント”。ダンス、歌、ミュージカルのステージはもちろん、パロディやギャグがたっぷり入ったショート・コント風の「スケッチ」、ヒット曲の歌い出しを50音順に歌い継いでいく「50音順ヒットメドレー」などコメディ要素も満載。ミュージカル界でも実力派の俳優たちによる全力投球のお笑いあり、アドリブあり、無茶ぶりあり、のライブ感あふれるプログラム構成が見どころ。

開幕前の9月上旬、某スタジオで行われた合同取材会で、玉野和紀（たまの・かずのり）さん、北翔海莉（ほくしょう・かいり）さん、留依まきせ（るい・まきせ）さんの3人にお話を聞きました。

右から：北翔海莉、玉野和紀、留依まきせ　©Shoko Matsuhashi

#1　21年目の『CLUB SEVEN』。今回はここに注目！

留依　とにかく、めっちゃ盛りだくさんです！

玉野　今回、AバージョンとBバージョンのプログラムを用意して、それぞれ別の新作スケッチを上演します。歌やダンスはもちろん、ミニミュージカルなど、過去の『CLUB SEVEN』を観てくれた方にはおなじみのコーナーにも新作を用意しました。前からやってみたかった和物のネタもあります。そして『CLUB SEVEN』名物の「50音順ヒットメドレー」は、過去最多の計95曲を全員が歌い継ぎます。

留依　ひとりで何役もこなすので、そこも面白いですよね。とくに「50音」は早替えの連続。着数の多さにも注目して欲しいです。

玉野　とても出演者9人で着る衣裳の量じゃない。

留依　90人は出そうです。

玉野　小道具も多いですからね。作り物がたくさんあってスタッフのみんなには本当に申し訳ない。僕のわがままで、「これって作れる？」って簡単に言って。

留依　キャストのみなさんも、直接スタッフさんに自分の希望を伝えたり、相談したりしていますよね。新鮮でした。

玉野　みんなでひとつの舞台を作っている感じ。劇団みたいだよね。

留依　所属人数のわりには大規模すぎる劇団ですね（笑）。

#2　初参加の留依さん、稽古場のようすはどうですか？

留依　楽しいです！みなさんの演技が面白すぎてお稽古場で毎日泣き笑いしてます。体力も頭もすごく使ってるはずなのに笑い疲れがいちばん激しい（笑）。

玉野　これだけ笑いが絶えない現場はないよね。

留依　私、この前のお稽古を見ていて思ったんです。これだけ歌えて踊れてお芝居もできて、かっこいい人たちがめちゃくちゃふざける。それこそが『CLUB SEVEN』シリーズの醍醐味なんだなって。

玉野　当初の狙いはそこだったからね。ミュージカル界で活躍するカッコいい連中が、ちょっとくだらないことをやったりするステージを作ったらどうだろうって。当時、若くてイケメンだった（吉野）圭吾、（東山）義久、（西村）直人と、表現するためなら歌もダンスもお笑いもとにかく何でもやろうってコンセプトで始めたのが2003年。そういえば『CLUB SEVEN』の定番になってる女装だけど、最初圭吾はNGだったんだよ。

留依　え？いまの圭吾さんからは想像できないですね。

玉野　うん。直人も完成形しかお客さんに見せたくないから「舞台上での無茶ぶりはやめてください」って。未完成のものを舞台に上げるということじゃない、一生懸命やっているところを見せるんだよって何度も説得した。それがいまでは「そこまでやれとは言ってないぞ！」（笑）。20周年を過ぎてみんなひと回りもふた回りも大きくなったなと思う。何かあっても臨機応変に対応するし、俺の無茶ぶりにも動じないし。

留依　（大山）真志くんが、自分は『CLUB SEVEN』で笑いのセンスが磨かれたって言っていました。ここでいっぱい学んだから、ほかの現場に行っても怖いことがなくなってきたって。私も今回の公演が終わったら、あまり怖いものがなくなるかもしれない。

玉野　ライブ感のあるステージだから、その時どきで事件も起きるし失敗もあったりする。そこをどう拾って繋げていくか、経験することで鍛えられていくと思うよ。

©Shoko Matsuhashi

#3　出演数も多い“ミス『CLUB SEVEN』”の北翔海莉さん、今回の手ごたえは？

北翔　あーちゃん（留依）も、（林）翔太くんも、鈴木（凌平）さんも10歳くらい年下なので、今回は先輩チームに仲間入りしました。それもあってか、今まで持っていたはずのエネルギーが減ってきているような、できたことがだんだんできなくなってきているような恐怖を感じることがあって、初代メンバーの西村さんに相談したんです。そうしたら「みっちゃん（北翔）、それは、みんなが通ってきた道だから」って。「この20年間、回数を重ねるたびに後輩たちが入ってくる。若いから自分とはジャンプ力もバネも違うし、対応力も記憶力も高い。だけど僕たちには彼らにはない引き出しや持ち味がある。そこが僕たち“大人の『CLUB SEVEN』“の良さなんだよ」と。だから今回は若い子たちと一緒になってワーッ！って行くんじゃなくて、冷静に、いまの北翔海莉ができる私なりの味をちゃんと出せたらいいなって思っています。

玉野　みっちゃんは準レギュラーというか、レジェンドになってるからね。

北翔　いやいや、とんでもない！恐れ多いです。

玉野　みっちゃんは何をやっても喜んでくれるし、『CLUB SEVEN』が大好きって言ってくれるから嬉しい。

北翔　今回は『CLUB SEVEN』といいながら戦力になる男性が2人増えて9人になりましたよね。すごく心強いぶん、女性パートは2人。男性のエネルギーには負けられません。あーちゃんは私が宙組にいた当時に入ってきたぐらいで、その後私は専科に行ってしまったから、“下級生の頃の留依蒔世さん”しか記憶になく……立派になられて（笑）。

留依　みちこさんと対（つい）で踊らせていただいたり、一緒に歌わせていただいたりするなんて！あの頃の私に言ってやりたいです。「あなた、12年後に北翔海莉さんと一緒に歌えるんだよ！」って。

玉野　今回は今までとちがって二人とも元男役の女優さん。身長も同じくらいだし、あーちゃんはみっちゃんとめちゃめちゃ相性がいい。それぞれキャラも強いし、二人が組んだらすごい戦力になるんじゃないかな。宝塚歌劇団出身の人は、お芝居もショーも経験しているので頼りにしています。加えて『CLUB SEVEN』に不可欠な笑いも。みっちゃんにもあーちゃんにも関西の血が流れてるからね。

北翔　私、関西出身じゃないですって！

玉野　いや、その血は絶対流れてると思う（笑）。笑いのセンスがあるもん。

北翔　昨日、あーちゃんと舞台セットの前で、扉から出てくるたびにそれぞれのキャラクターが変わるのって面白いと思わない？って話したんです。「50音順ヒットメドレー」なんて、それこそ何度も扉が開いてキャラクターを演じ分ける。あれは中毒になる楽しさです。

留依　オープニングのダンスシーンでみんなが扉からシュン！って出てくるところはすごくかっこいいのに、「50音」だとシュン！と出てきただけでとんでもなく可笑しかったりして。面白いですよね。

北翔　同じ扉なのにね。

©Shoko Matsuhashi

〈ミニインタビュー〉バレエチャンネル編集部からの質問を3人にぶつけました！

: 演出家として玉野さんが感じる、宝塚歌劇団出身俳優の特徴は？

: 宝塚OGの方は、みなさん役に対してちゃんと考えて取り組んでくれるなと感じます。『CLUB SEVEN』のちょっとグレーな感じも面白く演じてくれるし、いままでの殻を破るような演技を求めても、思い切りやってくれるのがいいなと思っています。

: お二人は出演する時、殻を破ることに抵抗はありませんでしたか？

: むしろ「こういうの、やってみたかった！」って思いました。宝塚にいた時も正統な二枚目というよりは、アドリブで時間を喰ってしまうタイプの役回りが多かったですし、私自身、なるべくふざけたいと考えるタイプなんです。だから「ここが私の探し求めていた場所だ！」と。その瞬間（頭のてっぺんを指さし）ここがパカッて開きました。

: （爆笑）

: 俺、みっちゃんのファンから手紙たくさんもらったよ。ありがとうございますって。

: そう。ファンの方が玉野さんに「北翔海莉が水を得た魚のように生き返って張り切ってます」って。本当に感謝してます。

: 私も個性の強い役を多くやってきました。娘役も演じたし、宝塚の男役ではあまりできないような、それこそグレーな役柄も。個人的にそういう舞台も大好きなのでお稽古が楽しくて。私も水を得た魚となって頑張りたいです。

: 北翔さんに質問です。お休みの日、稽古での疲れを癒すためにおこなっていることは？

: 食事とかマッサージとか特別なものはありません。だって私、現場が楽しいんだもの。私にとって、リラックスできて癒されるいちばんのパワースポットはお稽古場です。私はこの職業を天職だと思っていますし、とくにこの作品は自分が求めていたもの。だからお稽古が終わってからの心地いい疲れも楽しんでいます。