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【D.LEAGUE 25-26】ROUND.3(12/17-18)観戦レポート〜ドラマ性のあるダンスの輝き。自分自身の目でパフォーマンスを評価する楽しさを

村山 久美子

ダンスのプロリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)25-26」が、2025年10月25日に幕を開けました。今シーズンより新たに2チームが加わって全16チームとなったことに伴い、〈レギュラーシーズン〉は8チームずつに分けた2ブロック制で実施。そして各ブロックの上位3チームずつ、計6チームが〈チャンピオンシップ〉(2026年5月31日開催)に出場し、シーズン王者が決まります。
今季も各ラウンドのもようを観戦レポート。寄稿は自身も複数ジャンルのストリート系ダンスを踊りこなす舞踊史家・舞踊評論家の村山久美子さんです。

今シーズンから採用された新ルールの詳細はこちら

ROUND.3 BLOCK HYPE(12/17)の各MATCHレポート

ROUND.3 BLOCK HYPEの全編動画はこちら

1st MATCH

1st MATCHは、CyberAgent Legitavex ROYALBRATSの対戦。

前者は全員でのロッキンをメインにした作品。これまで、ポッピンを際立たせることが多かったが、全員しっかりとロッキンの基礎をものにしてのダンスで、端正な動きが気持ちよかった。Cris Ackeyが床に四つん這いになった4人を走り幅跳びのように飛び越したシーンは、観客を驚嘆させた。

後者は、得意の演劇的ダンスで、ある男のプロポーズの日の慌てぶりをコミカルに描いた。元のチームメイトで、今年、ダンスドラマで活発な活動をしているカンパニー「梅棒」に入団したSuGuRuの「ある男」の演技は楽しかったが、全体として、演技の中でのステップがダンスとしての面白さにやや欠けていた観がある。

結果は、71.8対28.2でCyberAgent Legitの勝利

2nd MATCH

2nd MATCHは、Benefit one MONOLIZLDH SCREAMの対戦。

前者は和のテイストの音楽でのヴォーグ主体のダンス。後者は、パワーを重視したヒップホップの振付。両者とも、テクニックにまだ伸びしろがあるように思われれた。

結果は、50.3対49.7でBenefit one MONOLIZの勝利

3rd MATCH

3rd MATCHは、Medical Concierge I’moonKOSÉ 8ROCKSの対戦。

前者は女性のみのチームで、躍進劇が続いている。前ROUND同様、強力なワッキンのダンサーMEMEをエースに、加えて、韓国のYOON JIをゲストに、ワッキンのダンスの上手さを見せる演出。

後者はブレイキンのみを通し、自分たちのジャンルで常に高い精度のダンスを見せる。「Connecting the Dots」という絵画を部分的にモチーフにしたというTaichiの演出。弦楽やラップが入るドラマティックな音楽を用い、音楽のリズムやテイストにアクロバットの動き方のニュアンスや速度などを的確に合わせてゆく。終始美しい流れのパフォーマンスで、ROUND.3 BLOCK HYPEの中で最も魅力を感じる作品だった。

結果は、41.3対58.7でKOSÉ 8ROCKSの勝利

4th MATCH

4th MATCHは、List::Xとdip BATTLESの対戦。

前者はこのチーム特有の深い屈伸と強いインナーマッスルの柔らかく力強いヒップホップ。身体の内奥の筋肉と情熱によるドラマティックなダンス。

後者は、ハウスのステップや腕、上体のキッキング、アクロバットなどで、急速な細かい動きに徹した作品。

結果は33.2対66.8と大差でdip BATTLESが勝利。しかし、舞台のレベルにこのような差はなく、List::Xが勝利してもおかしくはない。今シーズンから配点の割合が50%になったオーディエンス票がかなりdip BATTLESに集まっていることに、まず大差の理由がある。しかし審査員の評価が、テクニックが1.4%対11.1%、シンクロは0.0%対12.5%と、dip BATTLESのほうがかなり高いのは賛同できない。ハウスの速い足の動きを続けていても、高度なステップは数多いとは言えない。いっぽう、List::Xの強靭な足腰、インナーマッスルでの重みのある柔らかい動きがそのままドラマになっているダンスの高度さも、きちんと評価されるべきであると思う。

また、観客は、盲目的にひとつのチームのファンになるのではなく、頻繁にDリーグを観戦しているのであれば、自分で評価できる目を養い、自分がパフォーマンスを評価する楽しみを味わってほしいと思う。

BLOCK HYPEの最優秀ダンサーは、List::XのRuna Miura
ROUND.3終了時でランキング1位は、CyberAgent Legit

今季初のRuna Miura作品で対戦に挑んだList::X。勝負には敗れたものの、自らエースも務めたRuna MiuraがROUND.3 BLOCK HYPEのMVDに輝いた ©D.LEAGUE 25-26

ROUND.3 BLOCK VIBE(12/18)の各MATCHレポート

ROUND.3 BLOCK VIBEの全編動画はこちら

1st MATCH

1st MATCHは、Valuence INFINITIESM&A SOUKEN QUANTSの対戦。

前者は、韓国のポッピンのダンサーJINをゲストに、これまでのヒップホップ、ブレイキン、ハウスのジャンルにポッピンを加えた作品。今回も、急速な流れにもかかわらず全員の動きの精度が高い。ハウスのKEINのステップは、さらに超速でなめらか。フォーメーションも、造形的に面白かった。

アニメーションをメインとする後者は、ロボット・ダンスに徹した作品。身体の固め方が甘い部分もないではなかったが、全員での非人間的な硬質の動きのダンスは、とても見栄えがする。

結果は41.85対58.15でM&A SOUKEN QUANTSの勝利。今シーズンから加わったこのチームの初勝利となった。テクニックは9.7対2.8でValuence INFINITIESの評価がかなり高かったが、コレオグラフィーとシンクロの両方で1.4対11.1と、M&A SOUKEN QUANTSが高評価を獲得。彼らのメインのアニメーションは、振付の面白さで魅せる特徴があるので、自分たちの長所を生かした舞台が作れた結果だろう。
エースパフォーマンスが、ブレイクのLÓNとポッピンのTamakiがどちらも6.25の同率評価。昨シーズンまでの採点方法では同点は出せなかったので、採点方法の改良ゆえの結果である。

2nd MATCH

2nd MATCHは、FULLCAST RAISERZLIFULL ALT-RHYTHMの対戦。

クランプがメインの前者は、アドレナリンを注入してエネルギーが爆発的に湧いてくる様子をクランプでダンスにした。このチームならではの力強い舞台。

作品の温かさを大切にする後者は、ショーダンスのようなテイストに軽やかなロックダンスを入れた作品。鮮烈な印象を与える大技が入る作品ではないため、高得点になりにくいが、幸福感に満たされた心地よいダンスだった。

結果は、60.0対40.0でFULLCAST RAISERZの勝利

3rd MATCH

3rd MATCHは、KADOKAWA DREAMSSEGA SAMMY LUXの対戦。

双方ヒップホップをメインとするチームで、ラップの速い音楽を使用。レーサーのイメージをテーマにした前者は、スピードを強調し、その速さにもかかわらず、全員ブレなく身体をコントロール。後者は、ベテランCanDooの踊りの味わいが目を引いたのをはじめ、ユーモラスな振付が好印象。

結果は54.0対46.0でKADOKAWA DREAMSの勝利

4th MATCH

4th MATCHは、DYM MESSENGERSCHANGE RAPTURESの対戦。

男性のみを出演者にした前者は、Keitricの極めて柔らかい身体から流れ出る流動体のような、コンテンポラリーダンスと言えるソロに始まり、全員での滑らかな動きに展開したあと、ハウスミュージックで急速なステップなどへの大きな変化を見せた。全員の身体表現の軽やかさ、柔らかさが際立った。シンクロを突然無音にして行ったアイデアも秀逸。表現にもドラマ性があった。このROUNDのBLOCK VIBEで最も心惹かれた舞台だった。

後者は、殻を破って出てゆこうとする鳥をテーマにした作品。ダンスのテーマとしていい選択であると思う。ただ、動きで語ろうとしたためか、テクニックとして興味深いものが少々足りなくなってしまった観がある。動きでの語りも、もう一工夫、胸に残るものがほしかった。

結果は、69.9対30.1でDYM MESSENGERSの勝利

BLOCK VIBEの最優秀ダンサーは、DYM MESSENGERSのKeitric
ROUND.3終了時でランキング1位はFULLCAST RAISERZ

自分たちらしく踊ることと、D.LEAGUEで求められる評価基準との間(はざま)で時に苦しむこともあったDYM MESSENGERS。この日エースを務めたKeitricは、対戦後にコメントを求められると、「僕たちは、僕たちのままで勝ちたくて……だから、勝てて嬉しいです」と声を絞り出した ©D.LEAGUE 25-26

この記事を書いた人 このライターの記事一覧

早稲田大学大学院博士課程満期終了。ハーバード大学大学院、ロシア国立プーシキン記念外国語大学留学。 早稲田大学、工学院大学、東京経済大学、青山学院大学、青山学院大学大学院で非常勤講師として、舞踊史、ロシア・バレエ史、ロシア語の講義、ストリートダンスの実技を担当。 舞踊評論家として、読売新聞、日経新聞、ダンスマガジン、各種公演プログラム等々に、舞踊評論を1980年代前半から寄稿。 文化庁芸術選奨推薦委員、東京新聞全国舞踊コンクール、さいたま全国舞踊コンクール現代舞踊部門審査員、まちだ全国バレエコンクール審査員。 著書に、「バレエ王国ロシアへの道」(東洋書店新社、2022年)、「二十世紀の10大バレエダンサー」(東京堂出版)、「知られざるロシア・バレエ史」(東洋書店)他。訳書に、「ワガノワのバレエレッスン」(新書館)他。論文に、「マリウス・プティパの創作の変遷」「F・ロプホーフのダンスシンフォニー『宇宙の偉大さ』」他多数。 バレエを東京バレエ団元バレエ・ミストレス友田弘子、ボリショイ・バレエ団元プリンシパルでモスクワ国際バレエコンクール第一回優勝者ゲンナージー・レージャフ他、コンテンポラリーダンスをネザーランド・ダンス・シアターの元中心的ダンサー中村恩恵、ストリートダンスを国際ダンスバトル世界チャンピオンSHUHOとGO GOBROTHERSのReiに師事。舞踊歴約60年現役。

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