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【12/17開幕!】バレエ「ドラゴンクエスト」ダンサーたちが深掘り解説!ドラクエマニアだからわかる見どころ&聴きどころ

阿部さや子 Sayako ABE

スターダンサーズ・バレエ団 バレエ『ドラゴンクエスト』より 白の勇者と王女のパ・ド・ドゥ

1986年に誕生し、今なお絶大な人気を誇るRPG(ロールプレイングゲーム)「ドラゴンクエスト」。言わずと知れたこの国民的ゲームをバレエ化したのが、スターダンサーズ・バレエ団のバレエ『ドラゴンクエスト』(#ドラクエバレエ)だ。

上演のたびに多くのゲームファンや家族連れも劇場に訪れる大ヒット作であり、この冬は12月17日(金)の神奈川公演(テアトロ・ジーリオ・ショウワ)を皮切りに、2022年1月にかけて全国ツアーがスタートする。

バレエの初演は1995年、演出・振付は同バレエ団常任振付家の鈴木稔
ゲームから飛び出してきたような登場人物たちが、RPGさながらの冒険を繰り広げる。愛も、笑いも、戦いも、涙もある全2幕の旅が、ドラマティックなパ・ド・ドゥやテクニカルなソロ、バレリーナたちの幻想的な群舞、男性ダンサーたちの熱いダンスなどで綴られていく。

音楽はもちろん、作曲家・故すぎやまこういち氏による「ドラゴンクエスト」シリーズの楽曲が用いられている。ゲームファンの中には、それらの音楽をオーケストラの生演奏で聴ける喜びのために「ドラクエバレエ」を観に来る人も多いと聞く。が、ゲームファンでなくとも、「さあ、いよいよ……!」というタイミングで「序曲」――先の東京オリンピック2020で選手入場の1曲目を飾ったあの曲だ――が流れてくると、一気に血が泡立つようなワクワク感を体験することになる。

↑再生ボタンを押して、血が泡立つ感じをぜひご体感ください

正真正銘の、日本発のオリジナル全幕バレエ。それが初演から四半世紀以上経ってなお頻繁に再演を重ねているのは凄いことだ。そしてこのバレエが上演されるたびに、私たちバレエファンのタイムラインには、極めて特殊な現象が起こる。体感的には劇場の半分くらいを埋めているように見えるゲームファンからの感想コメントが、「#ドラクエバレエ」のハッシュタグとともに、いっきに流れ込んでくるのである!

それらのコメントがまた、とてもおもしろい。「えっ、あの音はそういうことだったの?!」「あのシーンにそんな深い意味が……」等、新たな知識を授けられたり、目の付け所の新鮮さに驚かされたりすることがたくさんある。

だからこう思うのだ。

ゲームファンのみなさんは、私たちバレエファンとはまったく違う視点から、ストーリーやキャラや音楽の魅力を見抜いているのではないか?

同じ舞台を見ていても、ゲームファンとバレエファンとでは、見えている“景色”が少し違うのではないか……?

そこで今回は、スターダンサーズ・バレエ団のスタッフの方にお願いして、「ドラゴンクエスト」ゲームをこよなく愛するダンサーを選抜していただいた。そして「ドラクエマニアだからわかる、バレエ『ドラゴンクエスト』の見どころ・聴きどころ」を解説していただく座談会を急遽開催。選ばれし4名のみなさんはこちら↓

スターダンサーズ・バレエ団が誇るドラクエ名人のみなさん。Tシャツの着こなしもさすがです ©️Ballet Channel

写真左から、
過去には「白の勇者」や「黒の勇者」を踊り、今回は「賢者」役を演じる福原大介さん。
2019年パリ「ジャパンエキスポ」でも「黒の勇者」を踊って世界のコスプレイヤーたちを熱狂させた池田武志さん。
「伝説の勇者」役から一転、今回はラスボス「魔王」を演じる大野大輔さん。
「酒場の女」や「天空の妖精」でドラクエワールドを華やかに彩るフルフォード佳林(かりん)さん。

ダンサーでありゲーマーでもあるみなさんによるディープな座談会。
バレエ『ドラゴンクエスト』を観たことのある人もない人も、ぜひお楽しみください!

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本日はドラクエバレエ座談会にお集まりいただきありがとうございます! 司会進行を務めますのは、ゲームといえば子どもの頃に初代のファミコンで「マリオブラザーズ」を数回やったことがあるだけのバレエチャンネル編集長・阿部です。どうぞよろしくお願いします。
全員 よろしくお願いします!
まずは自己紹介代わりに、みなさんの「ドラゴンクエスト体験」を聞かせてください。
池田 「ドラゴンクエスト」シリーズは現在Ⅰ〜Ⅺまで出ているのですが、僕はⅦから始めました。Ⅶは、ゲームが3Dで展開するようになった最初の作品。マップを回転させて、いろいろな方向から隠されたアイテム等を見つけていく……みたいな新しいギミックが、ドラクエの中に初めて詰め込まれたのがこの作品だったんです。それはものすごく広大な世界を冒険する感覚で、小学生だった僕は衝撃を受けました。それ以来のドラクエファンなのですが、大人になったいま強く思うのは、「ドラゴンクエスト」はどの作品もシナリオが素晴らしいということです。一筋縄ではいかない人間模様や、単純な善悪では割り切れないドラマが描かれていて、心に残るストーリーがたくさんあります。バレエと通ずるものも大いにあるな、といつも思います。

フルフォード 私の初めてのドラクエ体験は、小学校に上がる前くらいの時。それはモンスターの育成や対戦を楽しむ「ドラゴンクエストモンスターズ」というスピンオフ作品だったのですが、本格的にのめり込むきっかけになったのは、小学6年生の終わり頃に発売されたドラゴンクエストⅧでした。先ほど武志くんがⅦの話をしましたけど、Ⅷも完全に3D。目の前に世界がパーッと広がって、見渡す限りどこへでも行けるんです。そんなゲーム体験は初めてだったので、なんておもしろいんだろう!と。なのでⅧはずいぶんやり込んで、その後もⅣやⅤのリメイク版とか、スピンオフシリーズの「ドラゴンクエストヒーローズ」をやってみたり。最新のⅪも全部クリアしました。

いま「やり込む」という言葉がありましたが、それはゲーマーのみなさんの基本用語ですか?
池田 そうですね。ストーリーをクリアしたら終わり、ではなくて、むしろクリアするためではない、他の要素を極めるべくプレイすることを「やり込む」と言います。例えばゲームをクリアするのに必要はないけれど、ひたすらレベルを上げることに特化するとか。
なるほど、よくわかりました! 福原大介さんはどうですか?
福原 僕は一応ⅠからⅪまで、Ⅹ以外は全部やりました。Ⅹだけはオンラインゲームになっていて、僕はそれをプレイする機械を持っていなくて。

池田 さすが賢者様!(※編集部注:今回の全国ツアーで福原さんは「賢者」役を演じます)

舞台上での賢者様(福原大介さん)。登場すると、劇場じゅうが神秘的な雰囲気に包まれる

「Ⅹ以外全部やっている」というのは、やはりすごいことですか?
池田 猛者(もさ)と言えます。

(一同大きくうなずく)

福原 でも本当にやり込んでいる人は、とんでもない時間をかけていますからね。何千時間とか。そういうみなさんに比べたら、僕なんてまだ入り口で止まっているレベルです。

フルフォード ゲーマーはみんなそう言いますよね。「自分なんてまだ全然……」みたいな。

福原 自分はすごいなんて、とてもじゃないけど言えません。

では、大野大輔さんはどうでしょう?
大野 僕は、自分のことをゲーマーとはあまり思っていなくて。とくに子ども時代、ゲームで遊んだことはほとんどありませんでした。でもこのバレエ団に入って「ドラクエバレエ」がレパートリーにあることを知り、「じゃあ通勤電車の中でやってみようか」とⅤのリメイク版をやってみたらもう、一発でしたね(笑)。だから僕のドラクエ初体験は20代後半になってから。このゲームがすごいのは、プレイすることで自分とは違う人物の人生を歩めるところだと思う。その感覚は完全にバレエと相通じています。あとはもちろん、すぎやまこういち先生の音楽とゲームの世界観のマッチ具合がとにかく素晴らしい。最近、スマホで「ドラゴンクエスト」のパズルゲームが新たに出たので、そちらもさっそくやり始めてしまい……。

フルフォード 私もやってます!(笑)

大野 この調子だと、僕はまた課金してしまいそうで怖いです。でも先ほど武志くんが言ったように、ドラクエは人間関係や人生について学べる要素がたくさんあるんです。そう自分で自分に言い訳しながらのめり込んでいます(笑)。

そんなドラクエファンのみなさんだからこそ感じる「ドラクエバレエ」の魅力とは? 踊ったり演じたりしていて、思わず「おお……!」とテンションが上がるツボはありますか?!
フルフォード 私は、いわゆる「名前のある役」というのは演じていなくて、言ってみれば“モブキャラ”なんです。具体的には第1幕3場、酒場の女たちのひとりを演じているのですが、ドラクエの音楽の中で「こういう人もいるんじゃないかな?」って自由に想像を膨らませながら演技していると、まさに自分がゲームの世界に入り込んだ気がしてきます。「ああ、私はいまドラクエを生きているな」って。それが毎回すごく楽しい。

バレエ『ドラゴンクエスト』のリハーサル風景より。酒場の女のひとりを生き生きと演じるフルフォード佳林さん ©️Ballet Channel

池田 僕が演じている黒の勇者は、悪役として登場します。でも、観てくださった方は誰もが感じるように、単純な「悪」ではありません。複雑な過去を抱えて現在の彼となり、その彼がどんな決断をしていくのかが、物語を作っていく。この役を演じることは、まさにロールプレイングゲームそのものだと感じます。
「ドラゴンクエスト」というゲームは、「主人公=正義 VS 敵=悪」みたいな単純な二項対立にはなっていません。主人公たちの行動も100%正しいとは言いきれなかったり、敵には敵なりの事情があったりします。そうしたドラクエの世界の多面性や繊細さが、このバレエにもしっかりと表現されている。そこに僕はぐっときます。

リハーサル中の池田武志さん。黒の勇者の葛藤とその先の選択が、物語の結末を大きく動かしていく ©️Ballet Channel

絶対的な正義も悪もない……世界の真実がそこにありますね! ところでいまさら基本的すぎる質問で恐縮なのですが、「黒の勇者」というのは、ゲームにも出てくるのでしょうか?
池田 黒の勇者そのものはゲームには出てきません。でも、モチーフになったと思しきキャラクターたちはいて、それらがミックスされているようです。この役を演じる時、僕自身はⅣに出てくる「ピサロ」というキャラクターをイメージしています。ピサロは魔界の王であり、敵として暗躍しているのですが、いっぽうでロザリーという恋人がいたり、その人生の背景がちゃんと描かれたりしているので、プレイヤーが「敵だけど倒したくない」と思ってしまう面がある。そういうところがまさに黒の勇者と似通っている気がします。

大野 自分の演じた役とイメージが重なるキャラクターといえば、僕の場合は「パパス」ですね。パパスはドラクエⅤの主人公の父親です。ゲームの序盤で、パパスは息子である主人公と王子を魔物に人質に取られてしまい、彼らをかばって無残に殺されてしまいます。僕は自分に子どもがいることもあって、このキャラクターにすごく感情移入をしていたのですが、「ドラクエバレエ」で以前演じさせていただいていた「伝説の勇者」という役が、まさにこのパパスのイメージなんです。バレエの主人公である白の勇者の“育ての親”であり、幼い彼を守って命を落とすという役どころ。パパスのストーリーを知っているからこそ、伝説の勇者を演じていると、思わず感情が込み上げてしまいます。

第2幕3場、天空の世界での回想シーン。大野大輔さんは、伝説の勇者が幼い白の勇者の頭をそっと撫でるこのシーンが「いちばん好き」なのだそう

大野さんは、今回の上演では魔王役ですね?
大野 そうなんです。魔王は言わば、黒の勇者の育ての親。つまり彼もまた、伝説の勇者&白の勇者の関係と、じつはリンクしています。魔王は冷徹ですが、彼なりの想いをもって黒の勇者を育てていきます。だからこそ最後に黒の勇者に「裏切られた」時、その想いが苛烈な憎しみに変わる。どちらの役も、演じていて本当に楽しいです。

絶対的な支配者・魔王(大野さん、写真左)と苦悩する黒の勇者(池田さん)。ふたりの運命やいかに……! ©️Ballet Channel

そして福原さんは、かつては白の勇者も黒の勇者も踊っていて、以前は魔王を演じ、今回は賢者役。このメンバーのなかでは最も多くの役を演じ、様々な視点から作品を知り尽くしていると言えるかと思いますが、そんな福原さんにとっての「ドラクエバレエ」のツボとは?
福原 僕はシンプルに、まずストーリーの魅力ですね。演じていて素直に「おもしろい!」と感じるし、一般のお客様が観ても、コアなゲーマーの方が観ても、絶対に納得してもらえると思います。そして、ゲームの音楽をオーケストラで聴けること。それが個人的にはいちばん大きいです。あの音楽を聴くと、踊っている僕らのテンションが上がります。それが何と言っても強みだと思います。

フルフォード わかります……。

池田 「序曲」を聴いたらもう、「本番が始まった」というより「物語が始まった」という感じ。もはや緊張も不安も消え失せて、「ここからはもうストーリーが展開していくだけだ!」と。まさにゲームをやっている感覚ですよね。

私のようにゲームをやったことがなくても、あの序曲が流れてきて、ロゴがドーン!と目の前に映し出されると、「キタ―――(゚∀゚)―――― !!」感が体じゅうを暴れ回ります。
池田 僕らでもあれだけ興奮するんだから、ドラクエマニアのお客様は失神してるのでは?!と思うくらいです(笑)。
その音楽についてですが、資料によると、「ドラゴンクエスト」シリーズⅠ〜Ⅴからピックアップされていたり、このバレエ版のためにすぎやま先生が書き下ろした楽曲が使われていたりしますね。これらの選曲は、ドラクエファン目線から見てもしっくり納得のいく構成ですか?
福原 大納得だと思います。中には「ここでその選曲ときましたか!」というものもありますが、厳しめのゲーマー目線で見ても、まったく違和感のない作りになっています。

池田 何と言っても、作った人(=鈴木稔氏)がドラクエ好きだから。

(一同大きく頷く)

その、「ここでその選曲ときましたか!」と思うシーンとは、具体的にどこでしょう?
池田 僕は、第2幕の序盤に出てくる、黒の勇者と王女のパ・ド・ドゥの曲ですね。初めて出演するとなった時、何となく劇的な音楽をイメージしていたら、そうではなかった。

フルフォード ドラゴンクエストⅢからの、「ほこら」という曲ですね。

池田 最初は意外に感じたけれど、踊っているうちに、黒の勇者の切なさや物悲しさがにじんでいるように聞こえてきて。今となってはあの曲以外あり得ないとすら思う。素晴らしいチョイスだと思います。

黒の勇者と王女(渡辺恭子)のパ・ド・ドゥ。切なくて、かすかに胸がどきどきもする、素敵なシーンである ©️Ballet Channel

大野 でも、「意外な選曲」というのは少ないかもしれませんね。むしろどの曲も場面にすごくフィットしている。

池田 大半の曲は、「これこれ、こうじゃないと!」という感じ。

大野 とくに戦闘曲は、「もう、こうじゃないとイヤだ!」と思うくらいどハマりしていますよね。

「戦闘曲」とは、実際にゲームの中でも戦闘シーンに使われているのですか?
大野 そうです。だから余計にテンションが上がるんです。

池田 意外な選曲をもうひとつ思い出した! 白の勇者と王女のラストのパ・ド・ドゥの曲。あの曲をクライマックスに持ってくるのは、すごくないですか?

福原 ああ、あれは意外だね!

池田 「海図を広げて」という曲。ドラゴンクエストⅣに出てくる楽曲で、ゲームの中ではただ海を移動する時のBGMなのですが、それがバレエでは最後のクライマックスで踊られるパ・ド・ドゥ曲として使っているんです。なのに、ものすごくマッチしている。

フルフォード 確かに!

池田 初めて聴いた時は、「あれ? この曲、海じゃないかな?!」と驚きました。でもバレエの中で聴いていると、確かに物語の終わりにふさわしいと思えるんですよ。

先ほども話題に出てきた「序曲」は別格として、ぜひみなさんの「おすすめの1曲」を教えてください!
大野 僕は「大魔王」ですね。

池田 僕も!

大野 第2幕の1曲目。最初のドン!という音で「おうっ……!」となります。

フルフォード オーケストラで聴くと、本当にインパクトがある。体の芯に響きます。

「大魔王」の曲とともに現れる黒の軍団。第2幕はこの場面で幕を開ける!

池田 第2幕が始まる時、僕たち黒の軍団は板付きで後ろ向きに立っていて、背中のほうで緞帳が開いていく音が聞こえる。そしてあのドン!という音。その瞬間、「行くぞ!」と一気にスイッチが入って、軍団がひとつになるのを感じます。黒の勇者にとって、黒の軍団のみんなは仲間であり、家族でもあるのではないかと、僕は思っているんですね。その仲間たちと、みんなでひとつの塊になって、強く、大きく出ていくぞ!と。そしてその後ろには、魔王が控えている。あの場面は本当に好き。

大野 そこから、伝説の勇者との戦いが始まり、彼を殺すあたりまでのくだり……本当にたまりませんね。自分が演じているからというのもあるけれど。

みなさんのおすすめ曲は満場一致で「大魔王」ですか?!
福原 あの曲は誰もが「いい!」と思っているでしょうね。

池田 僕はもうひとつ、第2幕3場の天空のシーンに出てくる「おおぞらをとぶ」もおすすめ。

福原 僕は「不死身の敵に挑む」も推したい。第2幕2場、白の勇者と黒の勇者が一対一で戦うシーンの曲。

「不死身の敵に挑む」の曲で、白の勇者と黒の勇者が一騎討ち……!

フルフォード 「不死身の敵に挑む」は、ゲームではまさに先ほど大野さんが言っていたドラゴンクエストⅤの曲じゃない? パパスの息子である主人公が、親の仇を討ちに行くところ。パパスを殺した魔物を倒しに行く場面。

福原大野 そうそうそう!

池田 だから、すごく悲壮な思いも詰まっているんですよね、あの曲には。

大野 そう、悲壮な決意の曲

池田 バレエの場面的にもぴったりだから、あの音楽のなかで演じていると感情的にぐっとくる。

最後に、12月17日から始まる今回の公演でみなさんが演じられる役について、それぞれの魅力や愛すべきポイントを聞かせてください!
池田 僕は今回も黒の勇者を演じます。彼は、黒の勢力の中に身を置いて育ってきた。それは悪の世界ですが、黒の勇者にとってはそこが家であり、魔王という存在も、恐れを抱きながらも圧倒的で、絶対に裏切れない人です。白の勇者がみんなに支えられ、しだいにリーダーとなって戦い抜き、最終的には伝説の勇者になっていくように、黒の勇者もまた軍団を率いて戦い、仲間たちを守り、最後には自分の使命をまっとうします。だから単純な悪役として演じるのではなく、彼の中にじつは残っている人間的な感情を表現したい。ただかっこいいだけのダークヒーローではなく、人間的な脆さや弱さも繊細に描き出したいと思っています。

フルフォード まず酒場の女たちの場面は、8人の女性ダンサーそれぞれの「個」がかなり立っているので、みんなの演技の違いに注目していただけると嬉しいです。それから第2幕の天空のシーンでは、妖精たちの群舞も踊っています。この作品が「バレエ」であることを象徴的に示している美しい場面なので、ぜひご覧ください!

天空の妖精たちが舞う幻想的なシーンもドラクエバレエの大きな見どころ

福原 これまで賢者を演じてきた先輩たちと比べると、僕は見た目が圧倒的に若いんです。だからどうしても「年寄り感」を醸し出すのが難しいのですが、それでも賢者らしく、重さと、ミステリアスさを強く出して演じるにはどうしたらいいか。どんなお客様が観ても「これが賢者だ」と思える説得力を、派手なアクションでも踊りでもなく、ただそこにいるだけで感じさせなくてはいけない。とても難しい役です。歩き方、一歩を踏み出す時の重さ、自分の中の気持ちの持っていき方などを少しずつ変えてみたりしながら、日々研究しています。

大野 魔王を演じる時、僕はいつも「圧倒的な存在でありたい」と思っています。そして明確に「悪」でなくてはいけない。なぜなら勇者たちは僕を倒すため、決死の覚悟で向かってきます。以前、自分が伝説の勇者を演じていた時、僕は「一人でも魔王を倒す!」という気概で魔宮に乗り込んでいました。だから今度は逆に、魔王として、その伝説の勇者を打ち砕く、強大な存在にならなくては。舞台に登場した瞬間から、劇場じゅうを支配したいと思います。

公演情報

スターダンサーズ・バレエ団 バレエ『ドラゴンクエスト』全2幕

【神奈川公演】

◎日程:
2021年12月17日(金) 19:00開演/21:00終演予定
2021年12月18日(土) 14:00開演/16:00終演予定

◎会場:テアトロ・ジーリオ・ショウワ(小田急線新百合ヶ丘駅より徒歩4分)

◎詳細:https://www.sdballet.com/performances/2112_dragonquest/

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【全国公演】

◎日程&会場(各公演の詳細はリンク先をご覧ください)
2022年
1月8日(土)、1月9日(日)  彩の国さいたま芸術劇場
1月16日(日)  鳥取県立倉吉未来中心
1月30日(日)  滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

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