Videographer: Kenji Hirano
『リーズの結婚』(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)が初演されたのは、フランス革命が起こった1789年。
現在でも観られる全幕バレエの中では最も古い作品と言われますが、いま世界で最も人気のあるバージョンといえば何と言っても“アシュトン版”。英国の巨匠フレデリック・アシュトンが振付け、1960年に英国ロイヤル・バレエで初演された版です。
このアシュトン版『リーズの結婚』をレパートリーにしている国内唯一のカンパニーが、牧阿佐美バレヱ団です。
6月8日・9日の公演を間近に控えた5月27日、東京・中野にあるバレエ団の稽古場でのリハーサルを取材しました。
初日(6/8)のリーズ役、バレエ団を代表するプリンシパルの青山季可さん
青山さん演じるリーズの恋人・コーラス役の清瀧千晴さん
麦畑の場面。リーズとコーラスがリボンを持った8人の女性たちと一緒に踊る「リボンのパ・ド・ドゥ」は前半のハイライト(このページのトップにある動画の2:16〜の振付などは、どうしてそんなことができるのか何度見ても不思議)
ラストにはこんなに高いリフトが。一瞬で持ち上げて、男性の腕一本でバランスを取ります
振付指導のために来日している、ウィーン国立バレエ団バレエ・マスターのジャン=クリストフ・ルサージュ氏
リーズの母・シモーヌ役を演じる保坂アントン慶さん。隙あらばコーラスに会いたがる娘の恋のじゃまをして、何とかお金持ちの息子のアランと結婚させようとする……という役どころ。シモーヌが村娘たちに請われて踊る「木靴の踊り」も見逃せない名場面!「この木靴は僕の父親の故国であるスウェーデン製。スウェーデンではこの靴を”トフロ”と呼んでいて、日常的にみんな履いています」(保坂さん)
リーズを何としてもアランと結婚させようと厳しく目を光らせるシモーヌですが、やっぱり娘のことがかわいくて仕方がない優しいお母さん。雨に濡れて寒がる娘の手を一生懸命あたためたり、親子の温かな愛情がちゃんと感じられるのがこの作品の素敵なところ
シモーヌに留守番するよう言いつけられたリーズ。しばらく嘆いたあと、ふとコーラスとの幸せな将来を思い描く場面。優しい音楽が流れる中、表情の変化や身振り手振りだけで、彼女が何を夢見ているのかがはっきりと伝わってきます。リーズ役のダンサーの演技力が試される大きな見せ場
6/9のコーラス役、菊地研さん。「リーズとコーラスは、周りにみんながいる時の二人と、二人きりになった時とでは、愛情の表現の仕方が少し違うと思います。その違いを丁寧に演じることで、お互いの関係性をより深くお見せしたい」(菊地さん)
こちらは6/8のアラン役、細野生さん。「アランは体は大きくても中身は幼い子ども。お気に入りの赤い傘がいちばん大切なお友だちなんです。悲しいことがあっても、大好きな傘があれば幸せな気持ちになれる」(細野さん)
アシュトン作品の特徴の一つとされる、上体をキュッとクロスするポーズや動き。ここでは腰から下はクロワゼで立ちながら、上体をぐっとひねって「正面に対してできる限りフラットに見せて!」。なんでもないポーズに見えるのに、これが本当に難しい! 真似してみればその大変さがわかります
ついにシモーヌが愛する二人の結婚を認めてハッピーエンド。幸福感あふれる素敵なパ・ド・ドゥで幕……かと思いきや、最後の最後に胸がきゅんとするような、小さな場面が用意されています
Photos: BALLET CHANNEL
公演情報
日時 |
2019年
6月8日(土) 15:00
6月9日(日) 14:30
上演時間約2時間(休憩含む)
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会場 |
文京シビックホール 大ホール |
詳細 |
牧阿佐美バレヱ団ウェブサイト |