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【動画付き】ミュージカル「LUPIN」ゲネプロ＆囲み取材レポート～ルパン役の古川雄大“ミュージカルの新しい風を吹かせたい”

2023.11.15 若松圭子　Keiko WAKAMATSU

動画撮影・編集：古川真理絵（バレエチャンネル）

2023年11月9日、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN～カリオストロ伯爵夫人の秘密～』が開幕！
日本ミュージカル界を代表する演出家の小池修一郎と、フランスの作曲家ドーヴ・アチアが手がける新作は、モーリス・ルブラン作「怪盗ルパン」シリーズをベースに、歌、ダンス、アクション満載のオリジナルミュージカル。主人公の怪盗紳士アルセーヌ・ルパンを演じるのは古川雄大。令嬢クラリスには真彩希帆、カリオストロ伯爵夫人は柚希礼音と真風涼帆のWキャストと、いずれもソング＆ダンスの名手揃いです。
初日に行われた囲み取材と公開ゲネプロのもようをレポート。動画でもお楽しみください！

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ルパン役：古川雄大囲み取材

ゲネプロを前に、劇場2階ロビーにて行われた囲み取材には、ルパンの衣裳に身を包んだ古川雄大が登壇。記者の質問に答えました。

古川雄大　©Ballet Channel

※読みやすさのために一部編集しています

初日を迎え、いまのお気持ちは？: 小学生の頃の遠足の前日みたいにワクワクして寝られない感覚を、昨日は何十年ぶりかで味わいました。初演ということで、小池修一郎先生のご指導のもと、素晴らしい共演者のみなさんとともに一からつくっていく作業がとても新鮮でした。その過程も楽しみながら、いい方向に進んできていると感じます。

ルパン役は、どんなキャラクターなのでしょうか。: なんでも完璧にこなしながら、自由奔放に生き、恋愛をし、お宝も盗んでいくという……だから、ある意味ミスできないキャラクターではあるんです。マントさばきはもちろん、ダンス、アクションなどいろいろな部分が完璧でないといけない難しい役ですね。

今回の見どころは？: 小池先生のアイディアをふんだんに盛り込んでいるので、見どころをひとつ、って言えないくらい盛りだくさんです。今回は、ルパンシリーズ「カリオストロ伯爵夫人」の登場人物にとどまらず、まさかのシャーロック・ホームズや、「奇巌城」に出てくるイジドール・ボートルレまで登場します。そういう意味でも『LUPIN』はここでしか観られない「ルパン」。原作を知っている方はもちろん、知らない方も楽しめます。

ルパンは変装の名人。今回の舞台では何役に変装しますか？: 本当の姿であるラウール・ダンドレジーを除いて、怪盗ルパンへの変装も含めたら5種類、つまり6パターンくらいを演じます。かなり振り切った変装もしていますよ。

©Ballet Channel

ドーヴ・アチアの楽曲についての印象は？: ひとつの作品の中にさまざまな曲調の楽曲があり、それぞれのカラーがはっきり分かれている。しかも全部の曲がキャッチーで耳に残るのはさすがだと思います。歌うほうとしてはかなりハードルが高いけれど、クリアできた時には背中を押してくれるパワーのある曲ばかりなんです。

華やかな共演者に囲まれ、座長としてはいかがですか？: いつもの小池先生の現場とは違い、ほとんどの方が「始めまして」だったので、人見知りの僕が座長としてうまく立ち回れるのかを、先生は気にかけてくださっていたそうです（笑）。
でもみなさん優しいですし、作品に前向きですし、素晴らしい方ばかり。座長と言いつつ、みなさんに支えていただいてることのほうが多いかもしれません。柚希（礼音）さんや真風（涼帆）さんには、かっこいいエスコートの仕方を教わりました。小西（遼生）さんは的確なアドバイスを下さいますし、（加藤）清史郎は頭が切れるので、すごく刺激をもらっています。（黒羽）麻璃央や（立石）俊樹は華やかだしカッコいいので、彼らに負けないように頑張っています。

2007年にミュージカル『テニスの王子様』で初舞台を踏んでから長い道のりだったと思いますが、当時の古川さんが、帝国劇場で単独主演として立つすがたを見たらなんて言うと思いますか？逆にあの頃の自分には、なんて声をかけてあげたいですか？: 当時の僕が見ていたら……「嘘だろ？信じられないよ」って言うと思いますね。声を掛けるとしたら「いま、つらいかもしれないけど、もうちょっと頑張ってみなさい」って、優しくアドバイスします（笑）。

最後にみなさんへメッセージをお願いします。: 小池先生が初めて帝国劇場で新作を書き下ろす、このタイミングでタッグを組めてとても幸せです。『LUPIN』は小さいお子さまからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる、いままで帝国劇場で上演されることがなかったタイプの作品。この舞台でミュージカルの新しい風が吹くんじゃないでしょうか。ぜひ劇場に足を運んでいただき、一緒に『LUPIN』を盛り上げていただけたら嬉しいです。

公開ゲネプロレポート

続いて劇場にて公開ゲネプロが行われました。本公演は一部Wキャストで上演。ゲネプロでは、カリオストロ伯爵夫人役を柚希礼音が、ボーマニャン役を黒羽麻璃央が務めました。

『LUPIN』ゲネプロより。古川雄大（アルセーヌ・ルパン）

STORY: 廃墟となったテンプル騎士団のカテドラルにて、再建し施療院を作る計画の会見が開かれていた。テンプル騎士団研究会会長ボーマニャン（黒羽麻璃央／立石俊樹）をはじめ多くの人々が集まるなか、デティーグ男爵令嬢クラリス（真彩希帆）は、テンプル騎士団に伝わる燭台・生命の樹の「失われた7本の枝」の謂（いわ）れについて語る。そこに考古学者のマシバン博士が登場、カテドラル発掘時に発見された金属の棒を鑑定し、失われた枝の1本だと告げる。枝を取り上げたボーマニャンが去ったとたん博士の声色が変わり「本物の枝は自分が持っている」……彼の名は怪盗紳士アルセーヌ・ルパン（古川雄大）。; ところ変わってデティーグ男爵邸の夜会では、アメリカ帰りの実業家ルイ・ヴァルメラに変装したルパンと色男ジェブール伯爵が女性の人気を二分している。借金を抱えた男爵はボーマニャンに押し切られ、彼と愛娘クラリスとの婚約発表を進めようとしていた。それを拒否するクラリスは、ルパンを名乗る人物にさらわれ姿を消してしまう。その人こそジェブール伯爵に姿を変え潜んでいたカリオストロ伯爵夫人（柚希礼音／真風涼帆）だった。クラリスの行方、そして7 本の枝が揃うとテンプル騎士団の財宝の在処が知らされると伝えられる燭台をめぐって、名探偵シャーロック・ホームズ（小西遼生）、ルパン・マニアの高校生探偵イジドール（加藤清史郎）、ルパンを追うガニマール警部（勝矢）も参戦し、前代未聞の冒険活劇が幕を開ける。

笑って、泣いて、非現実の世界に酔える、爽快エンターテインメントミュージカル！

「怪盗ルパン」の物語を原作に、脚本・小池修一郎の自由な発想があちこちに散りばめられたステージは、コミックのページをめくるような楽しさ。コメディもハードボイルドも、ロマンスもエレガンスもアクションもたっぷりの、まさにエンターテインメントミュージカル！肩の力を抜いて、非現実の世界を堪能できる作品になっています。

『LUPIN』ゲネプロより。古川雄大（アルセーヌ・ルパン）

なんといっても見どころなのはルパンの扮装。アインシュタインさながらのフサフサした白髪と皺だらけの顔で登場した考古学者が、マントに身を包んだニヒルな怪盗紳士ルパンに早変わり。いっぽう夜会では、アメリカ帰りの実業家ルイ・ヴァルメラと名乗り、金髪で甘いマスクの色男に変身。お次はクセのありそうな赤毛の新聞記者としてガニマール警部の元へ現れ街に紛れて……ルパンがいるところ、いつでも神出鬼没の怪盗紳士は噂のタネ。なのに彼を疑う者は誰もいないという爽快さ。衣裳やウィッグだけでなく、声や表情にも色をつけて演じる古川ルパンの扮装ぶりは見ていても楽しく、とくに第2幕で登場する“とっておきの扮装”はぜひ劇場で確かめて欲しいところ。

賑やかなシーンが続くなかで印象的なのは、ルパンが本来の自分の姿、ラウール・ダンドレジーとして舞台上にいる場面。弱きを助け強きをくじく怪盗紳士が誕生した理由を告白するシーンで、古川は隠していた心情を吐き出すような切ないソロナンバーを披露。観客の胸を打ちました。

『LUPIN』ゲネプロより。古川雄大（アルセーヌ・ルパン）、真彩希帆（クラリス・デティーグ）

ルパン（ラウール）の恋人となるデティーグ男爵令嬢、クラリスを演じた真彩は、天真爛漫で愛らしいクラリスのキャラクターを真っ直ぐに表現。いっぽうで彼の愛情を信じ切れずに揺れる思いを語るソロナンバーでは、歌詞一つひとつを丁寧に伝えながら圧倒的な歌唱力を見せました。

『LUPIN』ゲネプロより。真彩希帆（クラリス・デティーグ）

カリオストロ伯爵夫人を演じた柚希礼音の扮装やダンスシーンも見どころのひとつです。デティーグ男爵邸の夜会のシーンでは、ジェブール伯爵の名で男装し登場。黒燕尾を纏い、指先まで美しく舞う姿に客席から拍手が起こりました。ルイ・ヴァルメラに扮したルパンとのデュエットダンスも。セクシーなドレスに身を包んだ姿も披露し、謎の多い伯爵夫人のキャラクターと存在感を印象づけました。

『LUPIN』ゲネプロより。柚希礼音（カリオストロ伯爵夫人）

ボーマニャン役の黒羽麻璃央は、ピカレスク『LUPIN』の真の悪役。目の奥がいつもニヤニヤと笑っているような怪しい男を熱演。一糸乱れずに舞う部下たちを従えてのソロナンバーでは迫力ある低音を響かせ、目を惹きました。

『LUPIN』ゲネプロより。黒羽麻璃央（ボーマニャン）

「怪盗ルパン」シリーズの作品ではおなじみの名探偵シャーロック・ホームズ（小西遼生）や、「奇巌城」で大活躍する高校生探偵イジドール・ボートルレ（加藤清史郎）など、原作では顔を合わせないキャラクターが登場するのもミュージカル『LUPIN』ならでは。

『LUPIN』ゲネプロより。小西遼生（シャーロック・ホームズ）

小西は硬軟取り混ぜた演技で会場を沸かせ、真面目な男ホームズの中に覗く可笑しさを表現。加藤はステージを駆け回り、ダンスに歌に大活躍。快活で頭のいいイジドールを好演しました。

『LUPIN』ゲネプロより。中央：加藤清史郎（イジドール・ボートルレ）

どこか懐かしいしらべのテーマソングをはじめ、ロック、ジャズ、クラシックとバラエティーに富んだドーヴ・アチアの楽曲も、ミュージカルらしい楽しさを演出。日本語の歌詞に合わせて作曲されているので音と言葉がピタリと合い、歌詞が聞き取りやすいのもポイント。アンサンブルが歌と踊りで物語を進行する場面もあり、迫力ある歌唱やコーラス、ミュージカルらしい華やかなダンスシーンを楽しめる作品になっています。

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