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【動画レポ】主役リハーサル＆インタビュー③ 福田圭吾×池田理沙子

2019.06.07 阿部さや子　Sayako ABE

新国立劇場バレエ団6月公演「アラジン」。
主役（アラジンとプリンセス）を務める3組のダンサーたちのリハーサル＆インタビューを、1組ずつ動画でお届けします。

第3回目は、6月18日と22日（昼）に主演するアラジン役・福田圭吾さんとプリンセス役・池田理沙子さんです。
福田さんにとってアラジンは、入団12年目にして初めてつかんだ全幕主役。
池田さんは入団直前にこの作品を観て以来、出演できる機会をずっと心待ちにしていたと言います。
恐れを知らない少年のようにステップに飛び込んでいく福田さんと、一瞬の戸惑いのあとにぱっと笑顔を輝かせる様子がまさにプリンセスそのものに見える池田さん。
それぞれに大きな思いを体いっぱいに満たして踊る姿を、ぜひご覧ください。

音楽：カール・デイヴィス「アラジン」／使用楽譜：Faber Music
Videographer : Kenji Hirano

JASRAC 許諾番号9012264003Y45040
※この動画は著作権上の都合により、2019年6月30日までの限定公開となります

※2019.07.03 追記：
上記の期限満了をもって、動画の公開を終了しました。たくさんのご視聴ありがとうございました。

主演ダンサーインタビュー

アラジン　　福田圭吾
プリンセス　池田理沙子

――最後はアラジン役の福田圭吾さんと、プリンセス役の池田理沙子さんにお越しいただきました！　お二人は今回初役とのことですが、いまどんな気持ちで作品に取り組んでいますか？

: 僕は新国立劇場バレエ団に所属してもう12年になるのですが、初めての全幕主役をいただきました。最初はすごくびっくりしたのですが、同時に本当に嬉しくて。もっとプレッシャーに感じるかなと思ったのですが、やはりとても楽しい作品です。アラジンは自分のキャラクターにも合っているのかな、という部分もあって。いまはとても楽しんで取り組めていて、自分なりのアラジンを演じられることがすごく嬉しいです。

: 私はちょうど入団の直前に『アラジン』の舞台稽古を見せていただいたのですが、キラキラした夢のような『アラジン』の世界に心を鷲掴みにされました。シーズンラインアップにこの『アラジン』が入ったということだけでも嬉しかったのですが、まさかプリンセス役を踊れると思っていなかったので、すごく嬉しかったです。ものすごく難しいテクニックもあり、表現力も必要です。場面転換も多く、私にできるのかな？というプレッシャーや不安もたくさんありますが、圭吾さんとリハーサルを重ね、自分たちの『アラジン』の世界をお見せできるよう、細かいところまで一つひとつ話し合いながら取り組んでいます。

――この役を演じる楽しさや難しさを聞かせてください。

: 僕はこれまでソリストの役が多くて、いつもディヴェルティスマンの場面だけパッと出て行って自分のソロを踊り、そこで結果を出しておしまい、ということが多かったんです。その習慣が身についてしまっていて、今回アラジンは全編を通して出ずっぱりだというのに、ソロの場面となると全力で踊ってしまうんです……。ソロだけを命がけでやるのではなく、全幕を通しての体力配分を考えて演じるというのが、自分にとってはすごく難しいなと思います。基礎体力を上げつつも、ペース配分も考えていかなくては。

: 『アラジン』はカール・デイヴィスさんの音楽もものすごく綺麗で大好きなのですが、その音楽の一つひとつに寄り添ったステップを、ビントレーさんが振付けていらっしゃるのだと思います。なので、たった一つでもステップが音に遅れたり早くなったりすると、どんどんずれていってしまうんです。パ・ド・ドゥひとつにしても、本当に流れるように、すべてが止まらないようにいかに踊れるかという部分が難しいなと思います。それとプリンセスは、お風呂場のシーンや結婚式のシーン、マグリブ人を誘惑するシーンなど、自分自身でキャラクターに変化をつけていかなければいけない役だと思うので、その変化を見せられるように踊るのがすごく難しいですね。

――ご自身の思い描くアラジン像、プリンセス像を聞かせてください。

: いたずらをしてもやんちゃをしても、なぜかみんな彼のことを許してしまう。どこか可愛らしくて、愛さずにはいられないような主役像、人物像を目指したいと思っています。

: いちばん最初、プリンセスはアラジンの幻想の中の美女として登場するので、“美しさの象徴”で居続けなくてはいけないと思っています。でもその一方で、アラジンと出会って、彼が成長するのと一緒にプリンセスも成長するし、人間味も増していくと思うんです。王宮の中の退屈だった日々から、彼との出会いを通して“自由”という感覚が芽生えて、気持ちが高ぶっていく。そんな風に変化し成長していく女性をイメージしています。

――福田さんから見た“理沙子プリンセス”の魅力、池田さんから見た“圭吾アラジン”の魅力を聞かせてください。

: 理沙子ちゃんは本当に可愛らしいので、演じようと思わなくても気持ちが入っていきます。リハーサル中も本当に素直で、お互いにディスカッションしながら自然に進んでいくことができる。素敵なプリンセスだと思います。

: 私も同じような感じになってしまうのですが、圭吾さんはまさに“アラジン”という感じで、圭吾さんの周りにいる人はみんないつも笑顔になって幸せな気持ちになるくらい、素敵な魅力をもっていらっしゃる方です。周りのみんなから愛されるアラジンに本当にぴったりで、私も“演じる”というよりそのまま自然に一緒に踊って、サポートしていただいている感じです。

――作品の中でとくに好きなシーンはありますか？

: 僕は、アラジンがジーンを解放するシーンが素敵だなと思います。そのシーンのためにすべてがあるんじゃないかな、と思うくらいですね。以前はジーン役を踊らせていただいていたこともあって、僕にとってはすごく大事なシーンです。ジーンは人間ではなく、魔人なんですよね。だからこそ、魔人とアラジンとの絆というか、友情みたいなものを、強く表現したいなと思っています。それによってアラジンは成長するのだと思っているので。

――ジーン役とアラジン役を両方とも経験されるのは、バレエ団の中で福田さんだけですね？

: そうですね。ジーンだけでなく、アラジンの友人、ジーンのお付きなどをやったこともあります。とにかくこの作品にはいろいろな役で携わらせていただいてきたので、今回アラジンを演じさせていただけるというのは、やはり自分にとっても感慨深くて嬉しいことです。

――池田さんの好きなシーンは？

: すごくいっぱいあるのですが、王宮の外で、いちばん最初にアラジンとプリンセスが出会うシーンがものすごく好きです。そこだけ一瞬空気が止まったような感じの出会い方が、大好きです。あとは結婚式の場面での、ジーンたちの総踊り。ものすごく迫力満点で、見どころのひとつだと思います。