
「バレエ・スプリーム」より「ラ・シルフィード」カン・ホヒョン ©Kiyonori Hasegawa
2026年8月、バレエの殿堂パリ・オペラ座のダンサーによるガラ公演「エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス」が上演されます。監修は、同団の教師として数々のエトワールを育て上げているジル・イゾアール。ヌレエフ作品をはじめ、パリ・オペラ座バレエならではの魅力が光るプログラムが並びます。
この公演の出演者のひとりが、プルミエール・ダンスーズのカン・ホヒョン。今年4月の『ロミオとジュリエット』では、美しいジュリエットを演じました。彼女のこれまでの歩みについて、2025年の「バレエ・スプリーム」公演で来日したさいに行ったインタビューをお届けします。

カン・ホヒョン Hohyun Kang
韓国出身。2017年、パリ・オペラ座バレエ外部入団試験を経て契約団員に。18年正規団員として入団、19年コリフェに昇格。23年スジェに昇格し、AROPダンス賞を受賞した。25年よりプルミエール・ダンスーズ。©Ballet Channel
🇫🇷
- バレエをはじめたきっかけは?
- カン 私の姉が水泳を習っていて、その教室にバレエのクラスもあったんです。母に「ちょっとやってみない?」と言われて、私は7歳の時にバレエを始めました。幼い頃の私はとても恥ずかしがりやで、いつも母の後ろに隠れているような子どもだったのですが、バレエを踊っている間は、動きを通して人とコミュニケーションを取れる。それが当時の私にとても合っていたみたいです。だって、勇気を出して話しかけなくてもいいんですから(笑)。
- プロのダンサーを意識するようになったのはいつ頃でしたか?
- カン 私は小さい頃からプロを目指していたわけではなくて、ただバレエが好きでした。とにかくいろいろな作品を踊るのが楽しくて続けていたら、あっという間に大学生になっていて。それでもまだプロになることはあまり意識していなかったんですよ。
- そんなカンさんがパリ・オペラ座バレエに入団するまでには、どのような経緯があったのですか?
- カン 大学を卒業してフランス旅行に行こうと考えていた時、かつてオペラ座のダンサーだったバレエの先生が「外部入団試験を受けてみたら?」と勧めてくれたんです。パリ・オペラ座は韓国でも有名なバレエ団で、誰しもが憧れる場所。私には縁がないと思っていましたが、せっかくだし、何事も経験だ!と言い聞かせて、受けてみることにしました。韓国国内でも入団試験を受けたことがなかった私にとっては、オペラ座がはじめてのオーディション。当たって砕けろという気持ちで挑戦し……結果は合格! 契約団員として入団することになりました。知らせを受けた瞬間、私がオペラ座に?という驚きと喜びがこみあげてきました。大好きなバレエを続けた先に、さらに夢のような世界が広がっているなんて。本当に人生っておもしろいですよね。今こうしてオペラ座で踊れていることに、心から感謝しています。
- 入団後、2022年に『マイヤリング』のマリー・ヴェッツェラ役で主役デビューし、『眠れる森の美女』や『ドン・キホーテ』など次々と大役を任されてきたカンさんは、2025年にプルミエール・ダンスーズに昇格しました。
- カン 入団したばかりの頃は、主役を踊るなんて夢にも思わず、ただ舞台に立てるだけで幸せでした。それが、マリーやオーロラ姫やキトリを演じた時に、まるで物語を生きているかのようなあの感覚を、もっと追い求めたくなったんです。たくさんの役を踊って、自分の想像を超えるようなダンサーになりたいと、新たな夢ができました。
- 韓国ではワガノワ・メソッドで学んでいたカンさんにとって、オペラ座ならではのメソッドの魅力とは?
- カン ワガノワ・メソッドでのレッスンでは、目指すべき絶対的な美の基準というものが明確にありました。いっぽうオペラ座でつねに問われるのは、振付をとおして自分の個性をどう表現するかです。アームスの軌道と足先の使い方で、私は自分がどんなダンサーなのかを語ることができる。毎日それを研究するのがとても楽しいです。
- オフの日は、どんなことをしていますか?
- カン 長い休暇は家族と過ごすことが多いですね。ふだんの週末はレストランに行ったり、近所をお散歩したりとゆっくり過ごしています。おうちでご飯を作ることもあるのですが、韓国料理のほかに日本食にも挑戦しているんですよ。オムライスやおにぎり、おいなりさんなどを作っています。

「バレエ・スプリーム」より「ラ・シルフィード」カン・ホヒョン ©Kiyonori Hasegawa
「さまざまな振付を踊れるダンサーになりたい」というホヒョン。同公演では、日ごろ踊っているヌレエフ作品ではなく、あえてブルノンヴィル作品に挑戦したのだそう。
公演情報
エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス
会場:昭和女子大学 人見記念講堂
【Aプロ】
2026年
8月19日(水)19:00
8月20日(木)19:00
【Bプロ】
8月21日(金)19:00
8月22日(土)12:00
8月22日(土)17:00
上演時間:約2時間30分(休憩含む)
【Aプロ】
「3つのプレリュード」
ドロテ・ジルベール、ギヨーム・ディオップ
「ベルガマスク」
イネス・マッキントッシュ、フランチェスコ・ムーラ
「ドリーブ組曲」
ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク
「パピヨン」
カン・ホヒョン、ロレンツォ・レッリ
「海賊」よりパ・ド・ドゥ
リュシアナ・サジオロ、シェール・ワグマン
「ドン・キホーテ」より第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ
イネス・マッキントッシュ、フランチェスコ・ムーラ
「ヴィヴァルディ・パ・ド・ドゥ」
カン・ホヒョン、ロレンツォ・レッリ
「パリの炎」
リュシアナ・サジオロ、シェ―ル・ワグマン
「ランデ・ヴー」
ドロテ・ジルベール、ギヨーム・ディオップ
「白鳥の湖」より第3幕の黒鳥のパ・ド・トロワ
ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク、エンゾ・ソガール
【Bプロ】
「ラ・バヤデール」第1幕より
ドロテ・ジルベール、ギヨーム・ディオップ
「ジゼル」第2幕より
カン・ホヒョン、ロレンツォ・レッリ
「スカルラッティ・パ・ド・ドゥ」
リュシアナ・サジオロ、シェール・ワグマン
「眠れる森の美女」より第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ
ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク
「さすらう若者の歌」
ギヨーム・ディオップ、エンゾ・ソガール
「くるみ割り人形」より第2幕のグラン・パ・ド・ドゥ
カン・ホヒョン、ロレンツォ・レッリ
「クラリネットとピアノのための幻想曲」
ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク
「海賊」よりパ・ド・トロワ
イネス・マッキントッシュ、フランチェスコ・ムーラ、エンゾ・ソガール
「タリスマン」より
リュシアナ・サジオロ、シェール・ワグマン
「瀕死の白鳥」
ドロテ・ジルベール
「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」
イネス・マッキントッシュ、フランチェスコ・ムーラ
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