動画:©コーラスライン2022来⽇公演
動画編集:Ballet Channel
2022年8月11日、ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』の来日公演が開幕!
オーディションに挑むダンサーたちをリアルに描いた作品で、1975年にブロードウェイで初演。15年間のロングラン記録を達成しました。今回の来日公演はそのリバイバル版です。
初日の開幕前におこなわれたプレスコールでは、作品を代表する名ナンバー4曲が披露されました。そのもようをレポートします!
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- 『コーラスライン』あらすじ
- 「コーラスライン」とは、舞台の前方に、横一直線に引かれた白い線のこと。そのラインの“前”でパフォーマンスをするのがいわゆる「スター」だが、この作品の主人公は、ラインの“後ろ”で踊るその他大勢(コーラス)のダンサーたちだ。
ブロードウェイのある劇場で、新作のためのオーディションが行われている。最終選考に残った17人がライン上に整列すると、演出家・ザックは、「最終オーディションの前に、君たちはどんな人間なのかを聞かせて欲しい」と問う。ダンサーたちは戸惑いながらも、子どものころの思い出や辛い過去、歌やダンスへの情熱、悩みや経験を一人ひとり話し始める。
プレスコールレポート
演出・振付・再構成のバーヨーク・リーが通訳とともに舞台上に登場、作品とナンバーの解説をおこないました。オリジナルキャストとして初演の舞台に立っていたバーヨークだからこそ知っている『コーラスライン』誕生までのエピソードや製作過程も紹介。バーヨークは原案・振付・演出のマイケル・ベネットに「あなたは、この作品を世界中に届けるんだよ」と託されたそう。「あれから47年経って、また日本に作品を届けることができました」と笑顔で語りました。
バーヨークは、背が低くてプリマ・バレリーナとチアリーダーになる夢をあきらめ、大人になっても子役しかもらえない女性、コニー役のオリジナルキャスト ©コーラスライン2022来⽇公演
Opening / I Hope I Get It(オープニング/受かりますように)
ジャズダンス審査の場面。幕が開くと、レッスン着に身を包んだダンサーたちが舞台一面にいて、舞台奥の鏡を見ながらそれぞれ振りを確認しています。ピアノの音が次第に高まり、演出家の「5,6,7,8!」のコールで突然始まるのは迫力満点のダンス。全員の振りがピタッと揃っていないのは“ダンサーたちは振りうつしを終えたばかり”という設定だから。手だけ動かして足が追い付いていない者や、前の人の踊りを見ながら踊っている者など、それぞれが細かに演じ分けているのも面白い場面です。
舞台中央が演出のザック。このあとのクラシック・バレエ審査ではバレエ経験がなく振りにまったくついていけない女性が、ザックに「踊りの列から外れろ!」と外されてしまうシーンも ©コーラスライン2022来⽇公演
Hello Twelve,Hello Thirteen, Hello Love(ハロー12歳、ハロー13歳、ハロー恋)
『コーラスライン』は、マイケル・ベネットが実際のダンサーたちとワークショップをかさねて作りました。
「全員語ったエピソードを作品にしたら、上演時間にして4時間超になってしまった。そこでマイケルは、いくつかのエピソードを合わせてこのナンバーにする方法を思いついたの(バーヨーク・リー)」
思春期はいつもモヤモヤ、爆発寸前! ©Ballet Channel
思春期に抱える性の目覚めや親との確執などの悩みをダンサーたちがつぎつぎと語っていくメドレーの中から披露されたのはリッチーのエピソード。しなやかな動きと目力のある表情が印象的で、両足開脚のジャンプなど、スポーツ万能のキャラクターを高い身体能力で表現しました。
学生時代のリッチーはバスケットボール部のスターで人気者、大学もスポーツ推薦。でも就職先は幼稚園の先生 ©コーラスライン2022来⽇公演
What I Did for Love(愛のためにしたことは)
女装ダンサーをしていることを両親に隠してきたポールの告白を最後に、全員が身の上話を終えます。最後のタップダンス審査になったとき、ポールの身に悲劇が。呆然と立ち尽くす他のダンサーたちに、ザックは「もし踊れなくなったらどうする?」と尋ねます。演劇学校で劣等生だった過去を持つディアナが「私は後悔しない」と歌い出し、やがて全員の合唱に変わります。
即興演技が苦手なディアナ。演劇学校の授業が合わず、自主退学。独学で女優になった ©Ballet Channel
バーヨークは、このナンバーはダンサーへのアンセム(anthem/賛歌)だと語りました。
「子どものころにダンスを始めた時、この仕事でいくら稼げるかなんて考えないでしょう? ダンスが楽しくて、愛しているから踊っている……これは、そういうナンバーよ(バーヨーク・リー)」
One:Reprise / finale(ワン:リプライズ/フィナーレ)
オーディションに合格した者、落ちた者、全員がゴールドの衣裳を身に着けて登場するショーナンバーです。華やかなスポットライトと装置が登場するのは『コーラスライン』のフィナーレでもあるこの場面のみ。誇らしげな表情で、「一人ひとりが主役を支えているコーラスの一員、でも一人ひとりが素晴らしい自分の人生の主役」と歌い踊ります。
©コーラスライン2022来⽇公演
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最後に、この日は披露されなかったものの、読者にぜひ聞いて欲しい一曲として「At the Ballet(アット・ザ・バレエ)」を紹介します。ダンサーだった母親を捨てて浮気に走った父親を見て育ったシーラ、両親の不和で冷え切った家庭環境に置かれたマギー、容姿に自信がないビビの3人が、「現実の冷たさから抜け出せる場所は稽古場だけ。レッスンはどんなに辛くても、バレエだけは美しさ、夢、幸福に満たされた世界」と歌いあげる、切なく美しいナンバーです。
公演情報
ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』
©コーラスライン2022来⽇公演
- 原案・オリジナル振付・演出:マイケル・ベネット
来日版演出・振付・再構成:バーヨーク・リー
台本:ジェームズ・カークウッド&ニコラス・ダンテ
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
- 歌詞:エドワード・クリーバン
オリジナル共同振付:ボブ・エイヴィアン
- 【キャスト】
- アメリカ・カンパニー
※生演奏、英語上演(日本語字幕あり)
【日程】
2022年8月11日(木・祝)~8月28日(日)
会場:Bunkamuraオーチャードホール
- 【詳細・問合せ】
Bunkamuraチケットセンター TEL:03-3477-9999(10:00~17:00)
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