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【バレエホリデイSP】「からだであそぼう!」田畑真希インタビュー〜ワークショップやアウトリーチは即興力が勝負。インプロヴィゼーション本番のような気持ちで臨みます

若松 圭子 Keiko WAKAMATSU

田畑真希 ?松本和幸

2022年4月29日(金・祝)〜5月1日(日)開催の〈上野の森バレエホリデイ〉。屋外特設ステージで5月1日に開催されるワークショップ「からだであそぼう!」(※受付は終了)で講師を務めるのは、振付家・ダンサーの田畑真希さん。

タバマ企画の主宰を務め、NPO法人 芸術家と子どもたちなどを通じてアウトリーチ活動やワークショップにも精力的に活動している田畑さんにお話を聞きました。

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今回は子どものためのワークショップということで、最初に田畑さんの子ども時代や踊りとの出会いを聞かせてください。「昔はバレエ少女だった」とおっしゃっていましたね。
はい。小学生の時は、本気でバレリーナになろうと思っていました。バレエ学校に通っていて、土日も含めて週8回レッスンに通い、バレエ団の公演に子役で出演させていただいたこともあります。将来の道はバレリーナ以外にない!と心に決めていたくらいです。
大学では演劇科を卒業されています。なぜダンスでなく演劇を選んだのですか?
じつは“バレエを辞めるため”だったんです。親に「バレエを辞めるんだったら大学に行きなさい」と言われ、桐朋学園短期大学演劇科を選びました。
なぜバレエを辞めようと?
中学生の時、女子校だったんですけれど、先輩がとてもカッコよかったので思わずバスケ部に入ってしまった(笑)。そうしたら、みるみるうちに体型が変わって、バレエの先生には怒られるし、成長期で身体も重くなりトウシューズを履くのも嫌になっちゃって。部活のあとはクタクタだし、バレエのお稽古をサボるようになり……今思えば典型的な思春期のパターンですね。バレエを踊っているよりも学校の友だちと遊ぶほうが楽しかった。今、バレエ学校時代の友だちのスタジオに、コンクールの振付や指導に行くことがあるんですけど、思春期にある身体の変化の悩みや、新しい世界に魅力を感じてしまうことで気持ちがバレエから離れてしまい、高校受験を理由にして辞めていっちゃう子どもたちの気持ちがすごく分かる気がします。
田畑さんも進学のタイミングで「バレエを辞める」決心をしたと。
バレエを踊るのは辞めたいと思ったけれど、バレエが大好きなのは変わっていなかったし、舞台に立つ仕事には興味がありました。その頃、バレエの世界は今ほど自由ではなく、他のジャンルのダンスは踊っちゃいけない、というような空気があったので、じゃあダンスじゃなくて大学の演劇科にでも行ってみるか! って。演劇のことをまったく知らず、実技試験ではセリフをど忘れしたのに奇跡的に合格できました。
それからは演劇に熱中し、俳優座養成所に。田畑さんのダンス魂が再び?目覚めたのはいつですか?
俳優座を1年で辞めた後も、私は自分のことを「役者」だと思っていたので、役者としての幅を広げるためにいろいろな無料体験レッスンを受けました。ある時、渋谷のとあるダンススタジオに行ったら、さまざまなジャンルのダンスプログラムが充実していた。海外の先生のワークショップもあるし、安いし、サウナも完備。ここに毎日来よう! と決めて、バイトのない時は一日じゅうバレエ、ジャズ、モダン、コンテンポラリーなど、さまざまなダンスを踊りました。
そのころ、大学の演劇授業で講師をされていた「地人会」の木村光一さんから、劇団の公演に出ないかとお誘いをいただいたんです。端役とはいえ大きな劇場での公演と3カ月間の旅公演もあり、出演料もいただける……でもそのとき、真っ先に頭に浮かんだのは「この公演に出たら、ダンスのレッスンに3カ月も来られなくなっちゃうんだな」ということだったんです。役者を続けるためのダンスだったのが、いつの間にかそうじゃなくなっていた。そこで初めて「そうだ。ダンスやろう!」と。そこからダンス一直線です。
その後、田畑さんはタバマ企画を起ち上げ、振付家としての活動も始めます。振付デビュー作は2009年の横浜ダンスコレクションRでダブル受賞しましたね。
最初に創った『ドラマチック、の回』は、近づいていく人と人の距離感やすれ違うスピードが生む「ドラマチックな瞬間」や、身体の一部に負荷をかけて「ドラマチックなからだ」になっていくようすなど、ちっちゃなことからなんとなく生まれる「ドラマチック」を見つけていく、という作品です。
田畑さん流の振付ける工程や方法はありますか?
方法はひとつに決めないんです。会場を見て「この空間で何をしたら面白いかな」と考えながら振付のタネが生まれることもあるし、生演奏で作品を創るので、演奏するミュージシャンに、ちょっとずつ新たな音を足してもらいながらタネを育てていくことも。アウトリーチ活動として子どもたちや、目が見えにくい人、耳が聞こえない人とも一緒に作品を創ることもありますが、創るたびに方法も違うし、完成したものも違います。
今回の「からだであそぼう!」も、当日、参加する子どもたちに会ってからワークの流れやプログラムを決める、と聞いています。
アウトリーチとかワークショップは、どんなに想像して組み立てていっても上手くいかない。大人が決めつけちゃうと子どもたちは離れていっちゃうんです。その場での即興力が試されるので、毎回が「インプロヴィゼーション(※即興演技)の本番」みたい。多くのインプロ経験を活かして、私たちもその時間を楽しみます。
「からだであそぼう!」は、ダンス経験を問わず、5歳から9歳のお子さんが対象(※満席のため募集は終了)。参加するのはダンスは初めてというお子さんから、バレエを習っていてコンテンポラリーダンスに興味があるお子さんまで、経歴や年齢もさまざまです。
楽しみですね。同じプログラムでも男の子と女の子では反応がまったく違ったりするんですよ。恥ずかしがっていた子が突然イキイキと動きはじめて「何が起こったの?!」とびっくりすることも。以前、お母さんに連れてこられてつまらなそうだった男の子が、武(徹太郎)さんのバンドの生演奏が始まったとたんに身体が反応して、めちゃめちゃカッコいいダンスを踊りだしたということもありました。生音の魅力でしょうか。
今回も生演奏でのワークショップが実現します。ミュージシャンの武徹太郎さんは、今回はどんな楽器を持ってきてくれるのでしょう?
武さんは自分で楽器を創っているんですけれど、ガムラン(※インドネシアの民族楽器)的なものや、サンプラー(※機械録音したデータを自由に加工して音階を創作、演奏できる機械)など。ギターも演奏します。
それは楽しみです! 最後に、田畑さんの頭のなかにある今回のワークを少しだけ教えて下さい。
会場が屋外スペースなので、参加している子どもたちはもちろん、見ている人たちも楽しいものにしたいです。まずはからだを使って「あそぶ」。集中力をちょっと使ったゲームのようなアクティビティも考えています。生演奏の音楽でからだを動かし、音楽とも「あそぶ」。それを全部繋げると自然と「踊り」になっていく。そういうことを考えています。
〈上野の森バレエホリデイ〉はバレエを楽しむイベントですから、じつは武さんにもバレエ音楽を1曲アレンジして欲しいとお願いしています。最後はみんなが知っているバレエ音楽で、楽しく踊れたらいいですね。

公演&イベント情報

ワークショップ「からだであそぼう!」

日時 2022年5月1日(日)
①14:15~15:00
②15:30~16:15
会場 東京文化会館 屋外特設ステージ
出演者 講師:田畑 真希「タバマ企画」主宰/振付家・ダンサー)

講師アシスタント:中村 理「タバマ企画」ダンサー)
演奏:武 徹太郎音楽ユニット「馬喰町バンド」リーダー/ミュージシャン・画家)
詳細・チケット購入 上野の森バレエホリデイ2022 公式WEBサイト

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