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【レポート】オルガ・スミルノワ & セミョーン・チュージン 〜 子どもたちに、いま伝えたいこと 〜 1

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スミルノワ&チュージン スペシャルトークショー
〜 子どもたちに、いま伝えたいこと 〜

朝のデモンストレーションに始まり、各々のワークショップを経て、夕方からはふたりのスペシャルトークショーです。
服に着替えたふたりが再び登場すると、レッスンを頑張った子どもたち、その保護者のみなさんや先生方、そしてファンのみなさんが大きな拍手で迎えました。

笑い声が沸き起こる場面あり、深く頷く場面ありのトークショー。会場の子どもたちからの質問にも真正面から真剣に答えるふたりと、会場のみなさんからの温かな笑顔や拍手で、特別な1日の締めくくりにふさわしい温かいひとときとなりました。

***

今日のレッスンの感想をお聞かせください。

オルガ・スミルノワ(以下、スミルノワ) 今日はみなさんとレッスンすることが出来て、とても感謝しています。みなさんが楽しめる時間を作ることができたかどうかは分かりませんが、私にとっては本当にいい経験になりました。初対面のみなさんへ私の思いを伝えるには、どういったコンビネーションを教えればいいのか……もしも少しだけ、あと数日だけでも一緒にレッスンをすることが出来たら、もっとみなさんに合ったレッスンを準備できたのに。でも本当に勉強になりました。この経験を今後も生かしていきたいと思います。
セミョーン・チュージン(以下、チュージン) 今日はとても楽しかったです。みなさんは飲み込みがとても早くて、僕のアドバイスをしっかり理解し、直そうとしてくれて嬉しかった。今日は、僕が経験してきたことをみんなと分かち合いたい、そしてみなさんを、僕が大事だと思っている方向へしっかりと向けてあげたいなという気持ちでレッスンしました。伝えたことを忘れないで、今後の糧にしてもらえたらと思います。
朝は、デモンストレーションで「ダイヤモンド」を踊ってくださいましたね! この作品を選んでくださった理由は?
スミルノワ 「ダイヤモンド」は、セミョーンと一緒に何年も踊ってきたから、お互いがより深く心に感じられる作品になってきていると思いました。
チュージン 僕も、もう落ち着いてなんていられないぐらい大好き!

(会場 笑)
クラスレッスンを受講した子どもたちに、ここを頑張ったらもっと良くなるというようなことがあれば教えてください。
スミルノワ クラス・レッスンでも言ったけれど、日本のみなさんはすごく努力家。1度言ったことを直ぐに理解して修正できる、そういった才能があると思います。
チュージン そのまま、その努力を大事にしていって欲しい。
スミルノワ 私は今も昔も、先生のおっしゃったことは絶対だと信じて、疑わずに取り入れて修正するようにしています。みなさんにも是非、それを心がけていただきたいです。
チュージン これは保護者の方へのアドバイスになるかもしれませんが、子どもたちがバレエ「だけ」の毎日になってしまわないように、伸び伸びと子どもらしくいられるように、水泳でも読書でも、外に遊びに行くことでも是非、たくさんさせてあげてください。(子どもたちに)みんなも、バレエをやるときは思いっきり楽しんでね。

ワガノワ・メソッドとボリショイ・メソッド

今日のレッスンは、スミルノワさんはワガノワ・バレエ・アカデミー出身ということで、ご自身が学んできたワガノワ・メソッドで教えてくださいました。チュージンさんは、ボリショイスタイルを中心に?
チュージン ボリショイとワガノワのミックスですね。ボリショイに移籍してから8年目なので、ボリショイスタイルの方がちょっと多目かな。
参加者の方から質問です。
ワガノワ・メソッドとボリショイメソッドは、似ているようだけど少し違う、と聞きますが、どこがどの様に違うのでしょうか?
スミルノワ ワガノワのメソッドの特徴は、ポジションと腕の動きの「正確さ」。ワガノワの卒業生はアームスの動きがとても美しくて、その繊細な表現力は特に優れていると思います。洗練された上品さがあります。
そしてボリショイのメソッドの特徴は、感情表現の方法、演技力でしょうか。あとは身体の力強さ、そしてジャンプが特徴的です。
でもそうした違いがはっきりしていたのは10年ぐらい前まで。今はワガノワとボリショイ、それぞれのメソッドが融合してきているように思います。私はワガノワの卒業生ですがボリショイで踊っていますし、逆にボリショイのスターダンサーだったニコライ・ツィスカリーゼさんは、現在ワガノワ・バレエ・アカデミーの校長先生をされています。それぞれのバレエ学校の卒業生が行き交うにつれて、お互いが混ざり、なじんできているのが現在の状況です。
私も、いろいろなメソッドのいいところをどんどん取り入れて、自分の中で合わせていくのはとても良いことだと思っています。
おふたりはフランスの振付家が作った作品もよく踊っています。ロシアを代表するお2人から見て、フランスのバレエの魅力を聞いてもいいでしょうか。
スミルノワ ボリショイでも、フランスからいらした有名な先生にマスタークラスをして頂くことがあります。最近はモスクワに居ながらにしてフランスのメソッドを体験できる、とてもいい環境になってきたと思いますね。
フランスのメソッドで好きなのは足先の動き。本当に表現が素晴らしくて、まさに足でストーリーを物語ることができるんです。ダイナミックな動きも細かいパドブレも、足に関するさまざまなテクニックはフランスのメソッドが非常に優れているなと思います。

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