毎年7月下旬から8月上旬にかけて、山梨県清里で上演される「The 清里フィールドバレエ」。
会場となる清里高原・萌木の村の野外特設劇場は、清里フィールドバレエのために、地元の大工さんの手によって毎年ゼロから組み立てられる。天井も幕もなく、背景は星空と森の樹々。この他では味わえない特別な舞台を毎年楽しみにしているというリピーターも多い。
2020年7月末現在、新型コロナウイルスの終息にはまだ時間がかかりそうではあるものの、アーティストや劇場は少しずつ活動を再開しつつある。
清里フィールドバレエも第31回公演『白鳥の湖』(7月30日~8月8日)の上演を決定。同公演が「野外」で行われることは、換気などの面において大きな強み。その他、例年設置されている「自由席」を今年は「全席指定」に。席数も半分以下に減らし、前後左右を1席ずつ空けるという。
またステージの前方は「シート席」とし、観客はシートや簡易イスを持参して、ピクニックのように公演を楽しむことが可能。座席でじっとしていられない小さな子どもたちも楽しく鑑賞できる。
清里フィールドバレエは3歳以下の子どもたちも入場が可能(※膝上鑑賞は無料(大人1名に付き1名まで)。4歳以上はチケットが必要)。実際に同公演を観た子どもたちがバレエを好きになり、清里から東京の劇場に足を運んだり、地元のバレエスクールに通い始めることも多いという。
今年はチャイコフスキー生誕180年。今回の清里フィールドバレエでは新演出版『白鳥の湖』を上演する。
出演はバレエシャンブルウエストのダンサーたちのほか、7月30日(木)と8月7日(金)は新国立劇場バレエ団から小野絢子と福岡雄大が、8月4日(火)は東京バレエ団から上野水香と柄本弾がゲスト主演する。また8月5日・6日の上演前には『未来をつくる子供たちによる バレエコンサート』と題して、バレエ団の学校やバレエスクールに通う子どもたちとの交流コンサートも開かれる。
清里フィールドバレエの「はじめて」や、高山地域ならではの気温、天候の変化対策などについてはこちら。
今村博明総監督や川口ゆり子芸術監督、そして萌木の村の代表で清里フィールドバレエ実行委員長をつとめる舩木上次の、清里フィールドバレエへの熱い思いが語られている。
□公演詳細
【ミニレポート!】昨年(2019)の「清里フィールドバレエ」のようす
Photos:Ballet Channel
まずは清里フィールドバレエの会場、萌木の村を散策。
萌木窯。陶器や皮細工などの手仕事雑貨を販売している。左のレンガの部分が窯。2階部分にかかっている青いタペストリーは清里フィールドバレエのポスター風。
オルゴール博物館「ホール・オブ・ホールズ」。
あちこちからオルゴール音がして、まるで迷宮に入り込んだよう。
地下には清里フィールドバレエの展示コーナーが。初演時の写真の他に手作りのチュチュも。細かく丁寧に縫い付けられたレースやスパンコールなどが間近で見ることができた。(※今年はバレエ衣裳展を開催中)
草の生い茂る道を上の方へ進むと……
メリーゴーランド!
幕間にはキラキラとライティングされ、
お子様は幕間だけ無料で乗ることができる。
(※2020年公演については要問合せ)
よく見ると「???」な動物たちがたくさん!
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公開リハーサルを客席から拝見。
まさに野外!
2019年は『眠れる森の美女』他を上演した。
初日のオーロラ姫は新国立劇場バレエ団プリンシパルの小野絢子が踊った
自然光の下で見るローズアダージオはとても新鮮だった
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ステージの後方には屋台風のお店がずらり。
フルーツのたっぷりのサングリア、身体に優しい野菜スープ、手作り雑穀パン、炭火焼ベーコンなど、ラインナップも豊富。
2019年は公演「眠れる森の美女」「ドン・キホーテ」にちなんだメニューもあった。
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『眠れる森の美女』初日を鑑賞
Photos:Masayuki Kobayashi
カラボス・深沢祥子(バレエ シャンブルウエスト)
青い鳥・藤島光太/フロリナ王女・川口まり(ともにバレエ シャンブルウエスト)
オーロラ姫・小野絢子/デジレ王子・福岡雄大(ともに新国立劇場バレエ団)。 幸福感に包まれた2人のパ・ド・ドゥでは、観客たちもみんな笑顔になった。
このあと本物の大花火がフィナーレに華を添えた。まさに100年の眠りから覚めた花々が一斉に開いたかのようだった。