バレエを楽しむ バレエとつながる

  • 観る
  • 知る
  • 考える

【D.LEAGUE 25-26】ROUND.5(2/12-13)観戦レポート〜見ごたえありのエース対決。海外からのSPダンサーも活躍!

村山 久美子

ダンスのプロリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)25-26」が、2025年10月25日に幕を開けました。今シーズンより新たに2チームが加わって全16チームとなったことに伴い、〈レギュラーシーズン〉は8チームずつに分けた2ブロック制で実施。そして各ブロックの上位3チームずつ、計6チームが〈チャンピオンシップ〉(2026年5月31日開催)に出場し、シーズン王者が決まります。
今季も各ラウンドのもようを観戦レポート。寄稿は自身も複数ジャンルのストリート系ダンスを踊りこなす舞踊史家・舞踊評論家の村山久美子さんです。

今シーズンから採用された新ルールの詳細はこちら

ROUND.5 BLOCK HYPE(2/12)の各MATCHレポート

ROUND.5 BLOCK HYPEの全編動画はこちら

1st MATCH

Medical Concierge I’moonLDH SCREAMの対戦。

前者は力強いラップに合わせた迫力のあるダンスから始まり、ワッキン、ジャズ、ソウル、ガールズ・ヒップホップ等々、様々なジャンルを使いこなした。

若手ばかりのヒップホップのチームである後者は、急速な軽いラップに合わせ、学校の机に乗って高さをつけたフォーメーションも用いたダンス。

結果は54.4対45.6でMedical Concierge I’moonの勝利。観客のポイントが、配信も会場もLDH SCREAMがかなり高いのは、人気ダンス&ボーカルグループを輩出しているLDHの強み。

2nd MATCH

CyberAgent Legitdip BATTLESの対戦。

前者はポッピンをメインとして音楽を表現するダンス。全員、身体を固めて止めるのがさらに上手くなっており、体幹をますます強化している観。
エース1chのソロも、身体のストップと小刻みなバイブレーションがくっきり区別され見事。ほかの何人ものソロも、すべて見ごたえがあった。
シンクロパフォーマンス以外のシーンでも、毎瞬の上体や腕、足の角度、向きが、強制的に合わせているというのではなく、それぞれの自分の踊りとして全員が自然に調和しているのも(各人の求める美の方向性、美しさの好みが同じであると自然に調和するもので)、とても心地よかった。

後者は、ハウスとアクロバットなどで音楽を表現。冒頭、風に吹き上げられるように何人かがアクロバットで散ってゆくシーンが印象深い。
ハウスでのユニゾンの振付が目立つが、その場合、全員のハウスの基礎力の高さの追究——ステップの足の外向き・内向きの角度、腰のツイストのねじりの角度、腰の動きで脚を動かすことから生まれる適切な歩幅、膝の上げ具合、足の動きから自然に生まれる上体の傾き、足裏の筋肉の緻密な使い方などをどこまで追究するか、全員でこだわると(無理に合わせるということではなく)、さらに美しい調和のあるハウスの群舞が出来上がるように思われる。
しかし、エースKOUUのハウスのソロは、急速で美しい足の動き、スリリングなオフバランスの魅力的なダンスであり、ジャッジポイントでは負けていたが、CyberAgent Legitの1chに劣らぬものだった。

結果は56.6対43.4でCyberAgent Legitの勝利

3rd MATCH

avex ROYALBRATSKOSÉ 8ROCKSの対戦。

前者は、2016年に米国のダンスコンペティションで日本人初の優勝者となったダンスグループGANMIのメンバーkooouyaをSPダンサー(客演)に、彼のがっしりとしたダンススタイルを取り入れて、このチームがこれまであまり見せなかったスタイルのヒップホップとハウスのダンスを見せた。
急速に畳みかけるラップを用いながら、しっかり固めたどっしりと落ち着いた身体にその音楽を取り込んで表現したところが、すばらしい。そこに織り込まれたエースJUMPEIほかのハウスの余裕の超速ステップの対比も、絶妙だった。

後者は、憂いのあるスローテンポのラップでブレイキンを踊るという、こちらも新たな挑戦。ゆっくりとした静かなパワームーヴで、ブレのない柔らかい動きができるのは、ブレイキンの達人チームならでは。

結果は59.0対41.0でavex ROYALBRATSの勝利となったが、甲乙つけがたい対戦だった。

4th MATCH

List::XBenefit one MONOLIZの対戦。

前者は、ポッピンのバトルでの活躍が目立っている新メンバーFatSnakeをエースに、情感のあるヴォーカル曲で、ウェーブを多様するヒップホップとポッピンの作品を見せた。物語性はないが、動きに音楽を感じ取ったドラマがあった。FatSnakeの自在なウェーブと繊細なヒットのソロも光った。

後者は、約10㎝のピンヒールでのダンス。ベージュのレオタードでボディラインを強調した。高いヒールで難易度が上がるとはいえ、振りがシンプルで、技としての見ごたえが少なめだったのは残念だった。

結果は55.7対44.3でList::Xの勝利

ROUND.5終了時点でのBLOCK HYPE首位はCyberAgent Legit
最優秀ダンサーMVDはavex ROYALBRATSのJUMPEI

MVDに輝いたavex ROYALBRATSのJUMPEI。受賞コメントの中で、今回の作品に用いた楽曲は「(前シーズンまで4年間にわたりチームディレクターを務めた)Yuta Nakamuraさんが、昨シーズンのチャンピオンシップのために用意してくれていた曲だった」と明かした ©D.LEAGUE 25-26

ROUND.5 BLOCK VIBE(2/13)の各MATCHレポート

ROUND.5 BLOCK VIBEの全編動画はこちら

1st MATCH

LIFULL ALT-RHYTHMValuence INFINITIESの対戦。

前者はSPダンサー(客演)でもあるSANTAの強い感情がこもったヴォーカルの曲で、全員が魂の叫びのようなダンスを見せた。エース永井直也のスケールの大きなアクロバット、ジュニア時代からハウスのバトルで大活躍していたSANTAのスピーディで滑らかなステップ、もう1人のSPダンサーKosukeのジャズ・コンテンポラリーの美しいライン等々、テクニックとしても高度で見栄えのするシーンの連続だった。

後者は、ヒップホップらしい、大きなうねりの音楽とダンス、反社会的な雰囲気を漂わせる動きのスタイル。比較的ゆったりしたリズムの取り方なので、テクニックにポイントが入りにくかったかもしれない。
ダンスの内容には関係しないが、最初のチーム入場の時、Valuence INFINITIESの中にテロリストか戦闘員のように目出し帽に銃(モデルガン?)をかまえていたダンサーが一人いた。しかし作品の演出として銃を持つことに必然性が感じられず、ウクライナやガザで多数の死者を出し戦争に苦しむ人々を目の当たりにしている現在、いい気持ちはしなかった。ダンスは、世界の人々と理解し合い心を結びつけ、平和を望むものであるから。

結果は60.6対39.4でLIFULL ALT-RHYTHMの勝利

2nd MATCH

CHANGE RAPTURESM&A SOUKEN QUANTSの対戦。

前者は、チームを樹木にたとえ、木の枝のイメージのポーズや大樹のように上方まで高さをつけたフォーメーションで、ユニークなイメージを作り上げた。スリリングな飛び降りやアクロバットもあり、難易度が高い振付。エースYUYAのストップを入れながらの身体コントロールも優れていた。
近年、このチームはテーマの選択に魅力を感じることが多いが、その表現が、まだ技を見せる形だけになっているのが惜しい。テーマが内包する精神性を、感覚的にでもダンスで伝えることができると、よりすばらしい作品になるように思われる。

アニメーションをメインとする後者は、腕の作る様々な四角形の図形の変化が面白い。ヒットも使っているが、体幹の強さがあまりアピールされなかったように思われた。

結果は、64.6対35.4でCHANGE RAPTURESの勝利

3rd MATCH

DYM MESSENGERSSEGA SAMMY LUXの対戦。

前者は、オランダの世界的に活躍するロックダンスチーム“Ghetto Funk Collective”からファンキーなダンサーRocheとJoshuaをSPダンサーに招き、ロッキンを主にしてブレイキンを織り交ぜた作品。SPダンサーのファンキーさと日本人出演者の大部分の端正なロッキンは、必ずしも融合していたとは言えないが、全体としてロッキンの基礎力の高い上手さが際立った。

後者は、アルゼンチンタンゴをダンスの基盤にバトルほかでも活躍している巨体のDaichy SalasをSPダンサーに招き、強い体幹をメタリックな衣裳に包み、無機的なダンスを展開。Salasの鋼鉄のような身体のヒットは、ガシーンと音が聞こえそうなほどパワフル。周囲のダンサーも、彼にリードされ、これまでになく力強いダンスを見せた。

結果は51.5対48.5でDYM MESSENGERSの勝利。しかし、両チームのダンスがすばらしく、互角の戦いだった。エースはベテラン対決で、7.6対4.9でDYM MESSENGERSのYu-mahのポイントが上だったが、筆者の目には、SEGA SAMMY LUXのCanDooのほうが独創性がありダンスとしてセクシーだった。

4th MATCH

KADOKAWA DREAMSFULLCAST RAISERZの対戦。

前者はヒップホップをメインとしながら、対戦相手を意識したのか、クランプ風の力強さをアピールする動きも入れた振付。

後者は、メインジャンルのクランプの、破壊的なパワフルさを専ら強調したダンス。

結果は55.8対44.2でKADOKAWA DREAMSの勝利
両者とも、振付の面白さはやや足りない観があったが、シンクロに強いKADOKAWA DREAMSが、シンクロパフォーマンスで他のどのチームよりも複雑な動きを入れ、しかも全員が自然に調和していたのが、勝ちにつながったように思われる。

ROUND.5終了時点で、BLOCK VIBEのランキング1位はFULLCAST RAISERZ
最優秀ダンサーMVDはCHANGE RAPTURESのYUYA

ROUND.5 BLOCK VIBEのMVDを獲得したCHANGE RAPTURESのYUYA ©D.LEAGUE 25-26

この記事を書いた人 このライターの記事一覧

早稲田大学大学院博士課程満期終了。ハーバード大学大学院、ロシア国立プーシキン記念外国語大学留学。 早稲田大学、工学院大学、東京経済大学、青山学院大学、青山学院大学大学院で非常勤講師として、舞踊史、ロシア・バレエ史、ロシア語の講義、ストリートダンスの実技を担当。 舞踊評論家として、読売新聞、日経新聞、ダンスマガジン、各種公演プログラム等々に、舞踊評論を1980年代前半から寄稿。 文化庁芸術選奨推薦委員、東京新聞全国舞踊コンクール、さいたま全国舞踊コンクール現代舞踊部門審査員、まちだ全国バレエコンクール審査員。 著書に、「バレエ王国ロシアへの道」(東洋書店新社、2022年)、「二十世紀の10大バレエダンサー」(東京堂出版)、「知られざるロシア・バレエ史」(東洋書店)他。訳書に、「ワガノワのバレエレッスン」(新書館)他。論文に、「マリウス・プティパの創作の変遷」「F・ロプホーフのダンスシンフォニー『宇宙の偉大さ』」他多数。 バレエを東京バレエ団元バレエ・ミストレス友田弘子、ボリショイ・バレエ団元プリンシパルでモスクワ国際バレエコンクール第一回優勝者ゲンナージー・レージャフ他、コンテンポラリーダンスをネザーランド・ダンス・シアターの元中心的ダンサー中村恩恵、ストリートダンスを国際ダンスバトル世界チャンピオンSHUHOとGO GOBROTHERSのReiに師事。舞踊歴約60年現役。

もっとみる

類似記事

NEWS

NEWS

最新記事一覧へ