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【6/18開幕!】イスラエル・ガルバン「春の祭典」来日記者会見レポート“芸術とは新しい扉を開くもの。だからこそリスクを冒さなくてはいけないのです”

阿部さや子 Sayako ABE

左から:唐津絵理統括プロデューサー、イスラエル・ガルバン、増田達斗、片山柊 ©️Ballet Channel

〈フラメンコ界のニジンスキー〉の異名をとるダンサー/振付家のイスラエル・ガルバンがスペインから来日した。2021年6月18日(金)〜20日(日)KAAT神奈川芸術劇場で、6月23日(水)・24日(木)愛知県芸術劇場で『春の祭典』を上演し、6月28日(月)・29日(火)には再び神奈川へ戻って横浜市役所アトリウムにて『SOLO』を上演する。

世界がコロナ・パンデミックに陥って約1年半。この間(かん)、とくに海外からの招聘公演はほぼすべて中止という壊滅的な状況が続いている。わずかな例外として昨年11月に来日が叶ったウィーン・フィルハーモニー管弦楽団や、個人では今春の「東京・春・音楽祭」に招かれた指揮者リッカルド・ムーティなどがあるが、今回のイスラエル・ガルバンの来日も、関係省庁による特例措置が認められてのこと。申請しても許可が下りる可能性は極めて低いと言われるこの特例措置が実現したのは、ガルバンが本国スペインを代表する芸術家であることや、所定の期間の完全隔離など、国が定める厳しいガイドラインを完璧に遂行する体制を主催者サイドが整えたことによる。ガルバンと彼のカンパニーに日本への入国ビザが下りたのは、渡航予定日の前日だったという(Dance Base Yokohamaマネージングディレクター・勝見博光氏)。そのため、神奈川公演についてはわずか18日間でチケットを販売するという、極めて異例の券売にも挑んでいる。

同公演については、主催者の公式SNSが#奇跡の来日というハッシュタグで連日投稿している。しかしその“奇跡”とは、間違いなく、アーティスト自身やスタッフ・関係者の不屈の意志と努力によって成し遂げられたものだ。

開幕を3日後に控えた6月15日(火)、主催のDance Base Yokohama(DaBY)にて記者会見が行われた。登壇者はイスラエル・ガルバンと、ピアニストの片山柊(かたやま・しゅう)と増田達斗(ますだ・たつと)、そしてこの来日公演の統括プロデューサーである唐津絵理(愛知県芸術劇場エグゼクティブプロデューサー/Dance Base Yokohamaアーティスティックディレクター)。

同時代を生きる天才の生の言葉。以下、会見のもようを詳細にレポートする。

イスラエル・ガルバン ©️Ballet Channel

***

会見ではまず、統括プロデューサー・唐津絵理氏から公演の経緯・意義が説明された。

「コロナ禍において世界中の劇場が閉鎖され、「不要不急」という言葉とともに、舞台芸術や文化活動が大変厳しい状況にさらされています。劇場関係者やアーティストたちは、コロナ対策を徹底して行い、現在までまったくクラスターが発生していないにもかかわらず、劇場への様々な圧力もあり、文化活動を継続して行うことが大変厳しい状況が続いています。とくにこの1年半の海外招聘公演はほとんどすべてが中止となり、海外からアーティストを迎えられない状況が続いています。

映像配信やオンラインでの取り組みに新しい可能性を感じるいっぽうで、「舞台芸術の本質とは何か」という根本的な声を前にして、閉塞感を感じるようになってきました。生命や衛生を最優先に考えなければならない今、文化芸術の価値を引き下げるのはやむを得ないのか? 一律横並びで公演を中止することや、観客数を制限するほうが楽だという選択をしていないか? われわれ舞台人はただ思考停止して、新たな挑戦を諦めてはいないか? と、常に自分自身に問いかける日々でした。

どうすれば海外招聘が可能になるのか。これまでの常識を思いきって捨てて、ポジティブな発想の転換を行い、ハードルが高いと言われてきた「特例措置による海外招聘」に取り組むことにしました。来日が直前まで確定しないなか、数々の調整を行ないました。例えば、

  • 国際間輸送が困難なため、舞台美術を日本で制作する
  • アメリカ在住のピアニストの招聘に代えて、日本人ピアニストを起用する
  • 神奈川公演に関しては、通常数ヵ月かけるチケットセールスを18日間で行う。そのためにSNSやファンベースマーケティングを徹底活用する
  • エアロバイクを滞在先ホテルの客室に運び入れる、近所のスーパーマーケットの全商品を写真撮影&データベース化してオーダーできる体制を整える等、隔離期間中のアーティストの体調維持や心身のケアに努める
  • 半径2メートルの「バブル」(編集部注:対象者を大きな泡で包むように外部と隔離すること)を維持し、ホテル−スタジオ間の往復を可能にする

等、現場のスタッフが自ら考える無数のアイディアや工夫で、不可能を可能に変えてきました。

唐津絵理氏 ©️Ballet Channel

そして何よりもこの海外招聘が成立した最大の理由は、イスラエル・ガルバン・カンパニーの来日への強い思いと、彼ら自身がどのようにすればこの公演が成立するのかを一緒に考えてくれたことです。イスラエルへの出演依頼は欧州内でもいくつもあったにもかかわらず、14日間待機をしてまでも日本に来ることを選んでくれました。さらに、スペイン大使館や文化庁など両国政府のサポートを得ることで、日本での公演を行うことができる運びとなりました。海外カンパニーの招聘公演は、今年になって初のことだと思っています。

さて、今回ご覧いただくイスラエル・ガルバン『春の祭典』は、2019年11月にスイス・ローザンヌにて上演されました。しかしその後コロナ禍が起こり、いまだ自国のスペインでも上演されていない幻の作品です。私は初演時にスイスに出かけ、本作を見て、これまでのどんな振付家とも異なるイスラエルの『春の祭典』に大きな衝撃を受けました。オリジナルの「春の祭典」の物語は、春の訪れを願う人々が処女を生贄に捧げ、祈り踊るというロシアの民話から発想されています。このように太古から人間が自然と向き合い、共生していくなかで行われてきた儀式や祭礼は、音楽やダンスの起源そのものとも言われています。全人類がコロナという目に見えないウイルスにおびやかされている今こそ、自然と共に生きる人間が行ってきた儀式を劇場で再現したい。そのために選んだ演目でもあります」

以降、唐津氏が進行役となり、各出演者が本公演にかけるそれぞれの思いを語った。

唐津 イスラエルさんには国内外からたくさんのオファーがあるなか、来日公演を行うと隔離期間も合わせて約1ヵ月も日本に滞在しなくてはいけません。それでも今回日本に来ることを選んでくださった理由を教えてください。

イスラエル こんにちは。まさに今、ダンスの世界は新たな局面を迎えています。スペインから日本にやってくる道のり、14日間もの隔離、度重なるPCR検査……はたして自分は本当に舞台に立って踊れるのだろうかと、信じられないような思いでした。確かに、ヨーロッパの劇場で踊るという選択肢はありました。しかしこのパンデミックを経験した今、舞踊芸術にとって必要なのは、この困難を一足飛びに飛び越えることではないかと考えたのです。今回は日本のスタッフのみなさまに本当に尽力していただきました。その尽力に応えるためにも、大きな一歩を踏み出すべきではないかと。それでヨーロッパではなく、敢えて日本を選択しました。

イスラエル・ガルバン ©️Ballet Channel

唐津 イスラエルさんにとって日本は「第二の故郷」というくらい、非常にシンパシーを持っている国ですね。

イスラエル 初めて日本に来たのはずいぶん幼い頃です。父と一緒にやって来て、スーパーマリオに出会い、生まれて初めてマクドナルドを食べたのも日本でした。それ以来もう何度もこの国を訪れています。日本の人々はフラメンコに対して深い共感を持ち、愛してくださいます。さらに日本の芸術の本質とも言える「舞踏」もあります。そうしたことも私が日本にシンパシーを覚える理由です。また日本という国は、人々が非常にしっかりと仕事をし、他人を尊重する社会でもあります。ですから私はいつでも日本に踊りに来たいと思っています。芸術やフラメンコに造詣の深いみなさんの前で踊るのは、とても心地の良いことです。

唐津 今回の『春の祭典』は“日本バージョン”ということでかなり変わる部分もあるかと思いますが、2019年に初演した際はどのような経緯でこの作品を選んだのでしょうか?

イスラエル 若い頃、自分独自のスタイルというものを探していた時に、たまたまニジンスキーの写真を見たのです。私はハッとして、それ以降、自分の踊りのスタイルが変わったと感じています。その後ストラヴィンスキーの音楽を知り、「春の祭典」のリズムはフラメンコと非常に共通していると思いました。そして長く踊るにつれ、ニジンスキーの持っていた「自由さ」を、私自身も身につけていったように思います。なぜ『春の祭典』を選んだか。それはこの作品を通して、私は今までと違う表現ができる、つまり“二元的なダンサー”になれるのではないか、と考えたからです。“二元”のうちのひとつは「リズム」。私がこの楽曲のパーカッションとなってリズムを刻むことです。そしてもうひとつは「踊り」。これらの二元性を表現できるのではないかと考えました。さらに(オーケストラではなく)2台ピアノを使うことで、非常に親密な感じも出るのではないかと思いました。

唐津 イスラエル版『春の祭典』は、「春の祭典」とそれ以外の2つの楽曲を合わせて構成される作品なのですが、今回ピアニストが日本人のおふたりに変更になったことで、作品全体の構成も変更になります。このたびの“日本バージョン”は、「春の祭典」の他に武満徹作曲の「ピアノ・ディスタンス」と、今回のピアニストでもある増田達斗さん作曲の「バラード」という3作品で構成されることになります。昨日初めて3人でのリハーサルを行いましたが、その感想を教えてください。

イスラエル 今回の『春の祭典』を名付けるならば、「ポスト・コロナ版『春の祭典』」と言えるのではないでしょうか。このストラヴィンスキーの楽曲のおかげで、新たにこの日本人の音楽家たちと知り合うことができました。これまでおふたりのことは存じ上げなかったのですが、このストラヴィンスキーの「春の祭典」を通じて家族になった、この曲を共通項として3人が同じ気持ちになれる、そういう感覚を感じています。昨日知り合ったばかりなのに、これまでもずっと友達だったような気がするし、実際のところ演奏も素晴らしい。そのことに驚いています。

©️Ballet Channel

唐津 ピアニストのおふたり、増田達斗さんと片山柊さんにもお話を伺います。この「春の祭典」という難曲を、フラメンコとの共演で……というオファーを受けた時、どのような感想を持ちましたか?

増田 お話をいただいた時に率直に思ったのは、「劇場」のことでした。KAAT神奈川芸術劇場と愛知県芸術劇場は、僕にとって憧れの舞台。まさか自分がその舞台に立つことになろうとは……というくらい、立とうと思ってもなかなか立つことのできない舞台です。そんな劇場で、素敵な公演の機会をいただけたということが本当に嬉しくて。また「春の祭典」という曲には、僕自身、大学時代に“ドはまり”した経験があります。まさに100年前と同じセンセーショナルな感覚、「これはなんだ!?」と衝撃を受けたことを未だ鮮明に覚えている曲を、今回は自分で演奏できる。しかも、ただピアノで鳴らすだけでなく、イスラエルさん・片山さんと一緒に共演できることに、期待感と緊張感がどんどん高まっています。

増田達斗 ©️Ballet Channel

片山 「春の祭典」は僕も非常に感銘を受けていた作品です。原曲がオーケストラなので、いつか自分が専門としているピアノで取り組んでみたいと思っていた作品でもありました。でも、これまでなかなかチャンスに巡り合わなくて。ですから今回、期せずしてこのようなチャンスをいただけたこと、ましてや世界的なダンサーの方とご一緒できるということが本当に光栄です。先ほどガルバンさんがおっしゃった「こういう状況下だからこそ、より大きな一歩を踏み出したい」という言葉に、僕はすごく共感しています。この公演じたいが、僕にとってもひとつの大きなステップになる、と感じています。

片山柊 ©️Ballet Channel

唐津 今回急遽日本人ピアニストとの共演で、となった時に、イスラエルさんから「日本の曲を上演したらどうか」と提案をいただきました。そこでピアニストのおふたりに「ストラヴィンスキーの『春の祭典』からイメージする音楽を提案してほしい」と相談して一緒に選んだのが、武満徹「ピアノ・ディスタンス」と、増田さんご自身作曲の「バラード」です。片山さんと増田さんは、それぞれどうしてこの作品を選んだのでしょうか?

増田 拙作「バラード」を書いた当時、『春の祭典』が頭のなかにあった……というわけではもちろんありません。ただ、「春の祭典」の持つ莫大なエネルギー、野生的な爆発、人間の本性が剥き出しの、有無を言わせぬ音楽の力。それらに圧倒されるのと同じような感覚を、自分が「バラード」を書いた当時にも、込めたつもりなんですね。それを思い出しまして、是非、この機会に出してみようかと。この曲がイスラエルさんのダンスとコラボした時にどんなふうに聞こえ方が変わるのか。それもとても楽しみです。

唐津 片山さんが演奏する武満徹は、ストラヴィンスキーが来日した際に武満の音楽を聴き、非常に感心して、そこからの武満の人生が変わったという話がありますね。今回の「ピアノ・ディスタンス」という曲について、説明していただけますか?

片山 僕は演奏の場でプログラムを組む際、音楽史的な文脈を考えて組むことが多いんです。それでストラヴィンスキーにゆかりのある音楽家、作曲家といえば誰かな? と考えた時、武満徹という音楽家の存在が浮かびました。なかでも僕がレパートリーとして持っている「ピアノ・ディスタンス」は、武満徹のなかでは比較的初期の、若いエネルギーや実験的な要素のある作品です。そうした音楽史的な文脈や作品が持つ方向性に共通項を見出して選びました。

次に会場およびオンラインで参加している記者との質疑応答が行われた。

記者1 まずピアニストのおふたりに伺います。昨日初めて3人でリハーサルしたとのことですが、音楽家として、イスラエルさんの奏でる音やダンスをどのように感じましたか?
増田 ピアノという楽器はよく「打楽器的だ」とも言われますが、完全な打楽器かというと、やはりメロディやテーマ性を持つ以上そうとは言えません。その意味で、イスラエルさんのダンスには、ピアノだけでは決して出し得ないエネルギー、躍動感、リズムを感じます。しかも、それが床から直(じか)に、ダ、ダン! と身体を伝ってくるんです。それで僕もどんどんテンションが上がっていって、昨日のリハーサルでは楽しく演奏させていただきました。

片山 僕も増田さんと同じような感想を持ちました。昨日イスラエルさんと合わせるまではピアノ2人だけでリハーサルを重ねていたのですが、ダンスという新たな要素、ましてや踊るだけではなく床を叩いたり楽器を鳴らしたりする音まで加わって、音楽の迫力がさらに増して。僕はガルバンさんのダンスを、音楽のように感じました

記者1 イスラエルさんに質問です。同じストラヴィンスキーの「春の祭典」でも、ピアニストが変われば、感じられるものも違うのではないかと思います。昨日のリハーサルで増田さん・片山さんの奏でる音を聴いて、今回の『春の祭典』では初演時とは違う何かが生まれそうでしょうか?
イスラエル 『春の祭典』では、私はリズムを通してストラヴィンスキーと会話を交わしているような感覚で踊っています。そしてリズムを通して、音楽と一体になる感覚で踊っているんですね。今回は日本人の音楽家のおふたりとコラボすることになりましたが、音楽には、それを表現する人たちの持っている文化が表れます。ですから、今回の『春の祭典』は、他では決して見られない唯一無二のものになるだろうと考えています。クラシック音楽×フラメンコが出会って生まれたこの作品に、今回は日本の伝統・文化を持つピアニスト×フラメンコの出会いが加わるのですからね。また、先ほど増田さんから「ピアノを弾きながらも踊りが地面から伝わってくる」というようなコメントをいただきましたが、まさしくこの『春の祭典』で、私の踊りとリズムをまるで地震のように床から感じていただけるのは素晴らしいことだなと思います。

会見後のフォトセッションにて。左から:増田、ガルバン、片山 ©️Ballet Channel

記者2 コロナ禍においてはどのくらいの頻度で舞台に立っていますか? またイスラエルさんにとって、生の舞台でパフォーマンスし、目の前の観客に伝える意味とは?
イスラエル みなさまご想像の通り、これまでやっていた多くのことができなくなったという現実があります。まるで双子の片割れを失ったくらい、多くのことが、このコロナ・パンデミックによってできなくなりました。そこで私が気付いたのは、観客の前で踊るということは、自分にとってひとつの儀式とも言えるものだということです。アーティストとお客様との一体感、出会い。それがどうしても必要なのだということを、強く実感しました。私は練習することも好きなので、自分ひとりで踊ることはもちろんありますけれども、やはり目の前にお客様がいないのは、家族を失ったかのような喪失感がありました。ですからお客様とは真の意味で、自分の家族とも言える存在だと思っています。
記者3 先ほどお話のあった「春の祭典」とフラメンコとの共通点とは、具体的に何でしょうか?
イスラエル 『春の祭典』はまさしく儀式のものであり、呪術的な感じのする作品です。踊っていると、自分自身が変容を遂げていくような作品でもあります。フラメンコもまた、舞台で踊っていると、自分自身が変容していく。そこが共通点と言えますね。また、『春の祭典』とフラメンコは、踊っている時に同じような感情が湧いてくるんです。それも自分にとっての共通点です。
記者4 コロナ禍という未曾有の事態により人々が分断されているこの状況に、ガルバンさん自身のダンス表現が何かインスピレーションを受けたことはありますか? また、日本では「芸術=不要不急」という風潮が見られたこともありました。そうした見解に対して、ガルバンさんは自身のパフォーマンスでどのように答えたいと思いますか?
イスラエル コロナによって、かつてあった日常生活は変わってしまいました。人々の間では「接触」というものができなくなり、この記者会見でもみなさんにお会いしているのに、触れ合って挨拶することもできないという現状があります。もはや私たちの中には、わざわざ「2メートル空けてください」と言わなくてもいいくらい、ソーシャルディスタンスの概念が身についてしまった。でも私自身が踊り手として感じているのは、「踊っている時、コロナウイルスは入ってくることができない」ということです。ひとたび舞台を踏めば、そこはまったくの新しい世界。ウイルスが入れない世界なのだと感じるのです。もちろん現実的には、PCR検査など必要なことがいろいろとあります。しかし舞台に立っている間は、そこにウイルスなどいないと感じています。

2つ目のご質問について、もちろん最初の段階では、衛生当局が芸術を不要不急とするのも必要なことでしょう。けれども時間が経つにつれ、芸術は生きるために役立つもの、必要なものになる。まさにワクチンと同じくらいに。つまり、芸術もワクチンだと私は考えています。そして自分のパフォーマンスを通して、この芸術というより良いワクチンが必要だということを示したいと思っています。

記者5  日本はこれからオリンピックを迎えますが、イスラエルさんはそれに先駆けて来日してくださいました。スペインから日本に来ることについて不安や迷いもあったことと思いますが、そのあたりの気持ちを聞かせてください。また、先ほど「今こそ大きな一歩を踏み出すべき」というお話がありました。そのモチベーションについても聞かせてください。
イスラエル 私はサッカーが好きなので、オリンピック精神があるのかなとも思います。芸術活動を行うためには、リスクを冒さなければいけません。芸術とは扉を開いていくもの。だからこそ、リスクを冒さなければならないのです。ましてや日本は私が若い頃から親しんでいる国です。もともと風邪の季節には誰もがしっかりマスクをするような国でもありますから、来日にあたって不安や怖れはまったくありませんでした。オリンピック選手たちが自らの力量を存分に発揮してみせるように、アーティストとしてもそうしたい。そしてお客様の前で公演できることが幸せであり、それが遠い日本であればなおさらだと考えました。

スペインでは、コロナ・パンデミックになって劇場は閉まってしまいましたが、建物の1階にあるバルは開いていました。ですから私はそこで踊ったりもしていたのですが、なぜバルは開いていて、劇場は閉まるのか? それは論理的に成立しないことだと思っていました。もちろん踊り手はみなさんに食べ物を与えるわけではありません。でも役に立ちます。だから劇場が再開したら、次には長距離移動をして、新しい音楽家と出会い、踊る。そうして「芸術は生き続けている」ということをみなさんに伝えたい。それが自分のやるべきことだと考えています。

会見後のフォトセッションにて。カメラマンからの「ポーズをちょっと変えてみてください」の声に応えてすぐさま繰り出されたのがこちら!  片足だけに着けた靴下もチャーミング ©️Ballet Channel

***

【News |ガルバン来日特別ワークショップ開催!】

★詳細は下記をご覧ください
https://dancebase.yokohama/info/4528
※申込多数が予想されるため、抽選制となります
※申し込みリンクは後日DaBYウェブサイト等にて発表予定

◎開催日程
6月26日(土)
13:30〜15:00 フラメンコ経験者ためのコンテンポラリーダンスクラス
16:30〜18:00 フラメンコ経験者のためのフラメンコ上級クラス
6月27日(日)
13:30〜15:00 ダンス未経験者・初心者のためのフラメンコ基礎クラス
※ワークショップはスペイン語で実施。日本語の通訳あり
◎会場 Dance Base Yokohama
KITANAKA BRICK&WHITE BRICK North 3階
神奈川県横浜市中区北仲通5-57-2 みなとみらい線 馬車道駅 出口2a「横浜北仲ノット」直結<

公演情報

『春の祭典』

【神奈川公演】
◎開催日程
2021年
6月18日(金)18:30開演
6月19日(土)14:00開演
6月20日(日)14:00開演
上演時間:約70分/途中休憩なし
◎会場 KAAT神奈川芸術劇場
◎主催・お問合せ Dance Base Yokohama

【愛知公演】
◎開催日程

2021年
6月23日(水)18:30開演
6月24日(木)14:00開演
上演時間:約70分/途中休憩なし
◎会場 愛知県芸術劇場 コンサートホール
◎主催・お問合せ 愛知県芸術劇場

『SOLO ソロ』

◎開催日程
2021年
6月28日(月) 18:30開演
6月29日 (火)18:30開演
※上演時間:約45分/途中休憩なし
◎会場 横浜市役所1Fアトリウム神奈川県横浜市中区本町6-50-10)
◎申込 DaBY Peatix
◎主催・お問合せ Dance Base Yokohama

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