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【GPレポート】開幕! Kバレエカンパニー「くるみ割り人形」〜何度観ても息をのむシーンの数々。新星たちにもぜひ注目を

阿部さや子 Sayako ABE

2020年12月2日(水)、Kバレエカンパニー『くるみ割り人形』が開幕した。

今年新たにプリンシパルに昇格した山本雅也と堀内將平をはじめ、これからのカンパニーを担っていく若きスターたちが日替わりで登場する今回の『くるみ』。
そしてKバレエカンパニーの公演としては約10ヵ月ぶりに、シアター・オーケストラ・トーキョーがオーケストラピットの中に戻り、生演奏付きで上演される。

前日の12月1日(火)、Bunkamuraオーチャードホールで行われたゲネプロ(舞台上で本番通りに行う最終リハーサル)のもようをお届けする。

写真:瀬戸秀美

この日の主なキャストはマリー姫=毛利実沙子くるみ割り人形/王子=高橋裕哉クララ=河合有里子ドロッセルマイヤー=杉野慧

マリー姫が踊りのヒロインなら、物語のヒロインはクララ。河合はまさにクララにぴったりの愛くるしい容姿をもつダンサーながら、それ以上に光るのは演技力。くるくる変わる表情、首を傾げたり腕を伸ばしたりする小さな仕草の一つひとつがとても自然で、どんどんストーリーを引っ張っていく。軽くて高さのあるジャンプや全身をいっぱいに使ったアラベスクなども、可憐でありながらエネルギッシュで爽快だった。

写真は第2幕より。河合有里子(クララ)、杉野慧(ドロッセルマイヤー)

ドロッセルマイヤー役をすでに何度も演じてきた杉野は、ますますミステリアスなムードを充満させて舞台を操る。この日はゲネプロだったためか、いつもより少し控えめなドロッセルマイヤーに見えたものの、果たして本番の舞台ではどうだろうか。

杉野慧(ドロッセルマイヤー)

Kバレエ版の『くるみ割り人形』は、くるみ割り人形軍VSねずみの王様軍の戦いの場面がとてもおもしろい。大迫力なのに遊び心がたっぷり。床を転がっていく玉におもちゃの兵隊たちがドドドドド……となぎ倒されていったり、大きな三角チーズ砲(?)が命中してくるみ割り人形が致命傷を負ったり(??)するところは、何度見ても笑ってしまう。

ねずみの王様。その日のキャスト表を見なければ誰が演じているかわからないが、戦いの場面はもちろん、最後の最後、カーテンコールまで楽しませてくれる人気キャラクターだ

そして、残念ながらここに写真はないものの、激しいバトルが終わったあとに静かに訪れる、泣きたくなるような美しい音楽と胸がいっぱいになる踊りーー一般的な版では「クララと王子のアダージオ」や「松林の踊り」と呼ばれる場面。熊川版では、縹色(はなだいろ)とでも言うのだろうか、灰みがかった青色の幕の前でクララとくるみ割り人形とドロッセルマイヤーが3人で踊るパ・ド・トロワとなっている。そしてその幕がスタン!と落ちると……

一面の雪景色……!
この瞬間もまた、何度観ても息をのむ。

そして第2幕

第2幕冒頭、まだ魔法でねずみの姿に変えられたままのマリー姫が登場。“ねずみの姿”とはいえこんなに素敵

人形の国のディヴェルティスマンでは、若く勢いのあるダンサーたちが次々と登場してエナジーをスパークさせる。強い印象を残したのはアラビア人形の踊りを踊ったアーティストの浦邉玖莉夢(うらべ・くりむ)。ほっそりとした腕をたゆたわせ、長い脚を耳の横まで上げながらゆったりと踊る姿に目を奪われた。

ロシア人形の踊り(トレパック)も舞台から飛び出さんばかりのエネルギーで、取材に訪れていた記者たちからも思わず拍手が

毛利実沙子(マリー姫)、高橋裕哉(王子)

全幕中の頂点、マリー姫と王子のグラン・パ・ド・ドゥ毛利実沙子は盤石なテクニックで自らを支え、大きな花を咲かせていくような踊り。高橋裕哉は脚のラインがことのほか美しく、とくにヴァリエーションでのアラベスクが鮮やかだった。

上記キャストが登場するのは、12/2夜公演(※終了)と12/5昼公演の2回。
その他の公演情報は下記の通り。

公演情報

Kバレエカンパニー『くるみ割り人形』

日程 2020年12月2日(水)~12月6日(日)
会場 Bunkamuraオーチャードホール
詳細 https://www.k-ballet.co.jp/contents/2020nutcracker

?12/5(土)17:00〜 オンラインライブ配信あり(24時間アーカイブ配信付き)
→詳細はこちら

?12/24(木)ディレイビューイング(全国41ヵ所ユナイテッド・シネマ系にて)
→詳細はこちら

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