バレエを楽しむ バレエとつながる

PR
  • 観る
  • 知る
  • PR

【3/13公開】パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァンSPインタビュー〜初演時は14歳。憧れの作品でエトワールに【パリ・オペラ座 IN シネマ 2026】

青木かれん Karen AOKI

パリ・オペラ座バレエの舞台を映画館で堪能できる「パリ・オペラ座 IN シネマ 2026」。去る1月に上映されたルドルフ・ヌレエフ振付『くるみ割り人形』に続き、2026年3月13日(金)より1週間限定で、アンジュラン・プレルジョカージュ振付『ル・パルク』が全国公開されます。

『ル・パルク』の初演は1994年、パリ・オペラ座。モーツァルトの音楽が彩る18世紀のロココ式庭園を舞台にして、虚飾や厳格なエチケットに縛られた貴族たちの「恋のゲーム」が繰り広げられます。物語の核となるのは、愛に抗う女性と彼女を求める男性が織りなす「出会い」「抵抗」「解放」という3つのパ・ド・ドゥ。計算し尽くされた視線や仕草で駆け引きをする男と女は、やがて互いの社会的規範や心の鎧(よろい)を脱ぎ捨てて、むき出しの情熱へと身を委ねていく——。

今回上映されるのは、2021年3月にコロナ禍のパリ・オペラ座(ガルニエ宮)にて、無観客という特別な状況下で収録された映像です。
公開を目前に控え、本作で主役の「彼女」を演じた元エトワールのアリス・ルナヴァンにインタビュー。ルナヴァンが憧れの作品と語る『ル・パルク』の見どころや、同作でエトワールに任命された時のこと、プレルジョカージュ作品の魅力と、これまでの歩みについて聞きました。

アリス・ルナヴァン Alice Renavand
パリ郊外のサン=クルー生まれ。1990年パリ・オペラ座バレエ学校に入学し、97年に17歳でパリ・オペラ座バレエに入団。2004年にコリフェ、05年にスジェ、12年にはプルミエール・ダンスーズに昇進。13年、プレルジョカージュの『ル・パルク』でエトワールに任命。コンテンポラリー作品のみならず、クラシック作品でも活躍し、2023年『ボレロ』でパリ・オペラ座バレエを退団。現在は舞台活動やメディア出演のほか、ダンサー育成にも携わっている。©James Bort / OnP

🇫🇷

ルナヴァンさんは2013年に『ル・パルク』を踊ってエトワールに任命されました。
ルナヴァン 名前を呼ばれた瞬間、昔からの夢を叶えた喜びで胸がいっぱいになりました。というのも、『ル・パルク』は少女の頃からの憧れの作品でしたから。この作品が初演された時、私はまだ14歳で、当時エトワールだったイザベル・ゲランやローラン・イレールが踊っているのをうっとりと観ていたんですよ。そんな私が、憧れの『ル・パルク』をはじめて踊った日にエトワールに任命されるなんて! こんなに嬉しいことはないですよね。
今回上映されるのは、2021年に上演した時の映像ですね。
ルナヴァン 2021年の公演で、ふたたび『ル・パルク』を踊ることができたのは幸運でした。ただこの時はコロナ禍で無観客での上演となり、いつもと違うアプローチで舞台を作ったんです。空っぽの劇場で、カメラの前で踊るというのがとても新鮮でした。

パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァン、マチュー・ガニオ ©Yonathan Kellerman / OnP

『ル・パルク』はどんな作品ですか?
ルナヴァン 『ル・パルク』は、男女の出会いと愛の構造を描いた作品です。幕が上がると、そこはルイ14世の時代のフランス式庭園。貴族の男女たちが出会い、駆け引きをして享楽的な恋愛に身を投じるなか、とある女性は抵抗を見せています。この作品は、頑なだった女性が解放されるようにして愛に目覚めていくところがおもしろい。さらに、庭園を現代的に表現した美術や美しい衣裳の数々にも惹きつけられます。作品に使われているモーツァルトの音楽は感情を音にのせているかのようで、あっという間に人々を『ル・パルク』の世界へと誘います。
ルナヴァンさんは、作中で演じた女性をどのように解釈していましたか?
ルナヴァン 彼女は心の奥底で、男性との関係を築きたいと思っています。最初に踊る「出会いのパ・ド・ドゥ」や次の「抵抗のパ・ド・ドゥ」には、その気持ちと自分が変わってしまうことへの恐怖が入り混じっていた。そんな彼女の心が解き放たれるのが、最後の「解放のパ・ド・ドゥ」です。それは振付にもよく表れていて、口づけをしたまま旋回するリフトもそのひとつです。

パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァン、マチュー・ガニオ ©Yonathan Kellerman / OnP

プレルジョカージュの作品の魅力とは?
ルナヴァン 何よりも、踊るダンサーに自由が与えられていること。彼はダンサーにそれぞれの場面の解釈を委ねています。ですから、同じ動きでも人によって見せ方がガラっと変わるんです。その違いを目の当たりにするたび、プレルジョカージュの振付はダンサーの魅力を引き出しているのだと感じます。
プレルジョカージュから受けた指導で印象に残っている言葉は?
ルナヴァン 「つねに自分でいること」。プレルジョカージュはダンサーに任せるからといって放置するわけではなく、必要に応じて適切なアドバイスをくださいます。でも、作品の軸はダンサーにあるのです。私は彼の作品を踊る時、まずは自分の個性を大切にして、その時々に湧きあがる感情の一つひとつと向き合うようにしています。
そして、「音楽と一緒に踊ること」。彼は音楽性をとても大切にしていて、音楽に身体を預けることでより豊かに感情を表現できると教えてくれました。

パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァン、マチュー・ガニオ ©Yonathan Kellerman / OnP

ルナヴァンさんのプロフィールについてもお聞きします。バレエを始めたきっかけやオペラ座バレエ学校時代のことを教えてください。
ルナヴァン バレエを始めたきっかけは、学校の友だちでした。庭で遊んでいた時に見せてくれた踊りがとても綺麗で、私もやってみたいと思ったんです。それからサン=クルーという街にあるコンセルヴァトワールでバレエを始めました。ラッキーなことに、その半年後にはパリ・オペラ座バレエ学校に入学できました。私はすぐバレエの虜になり、「バレエを仕事にする!」と決めるまでそう時間はかかりませんでした。
バレエ学校時代は良い思い出ばかり。13歳や14歳のころには、体型の変化などで苦労しましたが、とても楽しい日々を送っていましたね。学校公演に出演したのも、オペラ座の公演に子役で出演したのも、すべてがすばらしい経験でした。両親がパリに住んでいたので、一緒にガルニエ宮へ公演を観に行ったのもいい思い出です。
オペラ座入団からこれまでのキャリアを振り返って、ターニングポイントになった作品は?
ルナヴァン たくさんあるのですが、4作品に絞ってお話ししたいと思います。
まずは、カドリーユだった頃に踊ったピナ・バウシュの『春の祭典』。オペラ座に入って間もない頃の私にとって、とても大きな作品でした。
2つ目はプレルジョカージュの『メディアの夢』です。初演時にイザベル・シアラヴォラが怪我をして、急遽代役として踊りました。この頃もカドリーユだったのですが、相手役はなんとエトワールのローラン・イレール。プレルジョカージュがまだ若かった私にチャンスをくださったことが、間違いなくターニングポイントになりました。あの時、彼が私にスポットライトを当ててくれたのだと感じています。
コンテンポラリーでもうひとつ、キリアンの『輝夜姫』にも触れたいと思います。私がスジェの頃に踊った作品で、求められる表現に自分のスタイルがうまくはまったと実感できました。
4つ目はヌレエフ版『ドン・キホーテ』。プルミエール・ダンスーズの時にキトリを演じました。それまで私はコンテンポラリーばかり踊っていたので、ほぼ初めてのクラシック作品の主役でした。当時のブリジット・ルフェーヴル監督がエトワール任命に向けて、クラシックを踊る機会を与えてくれたのではないかと思います。

パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァン、マチュー・ガニオ ©Yonathan Kellerman / OnP

2022年、アデュー公演の『ジゼル』の上演中に、けがに見舞われたルナヴァンさん。10ヵ月もの治療期間を経て、翌年新たに『ボレロ』を踊り、アデューとなりました。当時を振り返っていかがでしたか?
ルナヴァン 当時のことは、いまも鮮明に覚えています。自分の中にさまざまな感情が湧き上がっていました。とにかく、怖かったのだと思います。元々は『ジゼル』でアデューの予定が、本番中のけがによって中断してしまった。今回もまた同じことを繰り返すかもしれない……と不安でした。それに『ボレロ』を踊る頃に私は43歳。その年齢で10ヵ月ぶりに舞台に立つというのは、とても大変なことでしたから。それでも前向きになろうと、「2回も違う作品で公演できるなんてラッキー!」と思うことにしたんです。
最後の舞台は、雑音がいっさい聞こえなくなるくらい集中していました。暗転になって、お客様の拍手の音が聞こえてきた瞬間、私はこの上ないほどの達成感に包まれました。見守ってくださったガルニエ宮のお客さまへ、「さようなら」と感謝の気持ちをレヴェランスに込めました。オペラ座を後にした時はたくさんの舞台を思い出して、胸がいっぱいになりましたね。
引退した後も、私は毎日楽しんでいますよ。私はオペラ座のエトワールとしてメディアに出演することもあれば、バレエの教育に関わることもあります。そして今もまだ踊っています。来シーズン、オペラ座で行われるピナ・バウシュの『春の祭典』のリハーサル指導も担当する予定です。これからもオペラ座で繋いだ縁を大切にしながら、私にできることや若いダンサーの助けになることを続けていきたいと思っています。

パリ・オペラ座バレエ「ル・パルク」アリス・ルナヴァン ©Yonathan Kellerman / OnP

上映情報

パリ・オペラ座 IN シネマ 2026
バレエ『ル・パルク』

2026年3月13日(金)~3月19日(木)※1週間限定
TOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開

★上映館、スケジュールなど詳細は公式サイトをご確認ください

音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
舞台デザイン:ティエリー・ルプルースト
衣裳デザイン:エルヴェ・ピエール
照明デザイン:ジャック・シャトレ
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団
指揮:ベンジャミン・シュワルツ
ピアノ:エレナ・ボネイ
映像監督:ルイーズ・ナルボニ

【出演】
アリス・ルナヴァン
マチュー・ガニオ ほか

2021年3月9日・11日 パリ・オペラ座ガルニエ宮にて収録

【上映時間】
1時間37分 ※休憩なし

【上映劇場】
*札幌シネマフロンティア(北海道)
*フォーラム仙台(宮城)
*TOHOシネマズ 日本橋(東京)
*イオンシネマ シアタス調布(東京)
*ユナイテッド・シネマ浦和(埼玉)
*TOHOシネマズ 流山おおたかの森(千葉)
*TOHOシネマズ ららぽーと横浜(神奈川)
*ミッドランドスクエア シネマ(愛知)
*イオンシネマ京都桂川(京都)
*大阪ステーションシティシネマ(大阪)
*TOHOシネマズ 西宮OS(兵庫)
*キノシネマ天神(福岡)

この記事を書いた人 このライターの記事一覧

類似記事

NEWS

NEWS

最新記事一覧へ