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【レポート】映画「キャッツ」ジャパンプレミア&レッドカーペットイベント

曽根 可穂里

「奇跡の歌声。驚異のダンス。人生が変わる、極上のエンターテイメント。」

1981年のロンドン初演以来、世界中で愛され続けているミュージカル『キャッツ』。日本でも通算1万回の公演回数を記録しているロングラン作品が、このたび『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督によって実写映画化された。2020年1月24日から日本公開。日本とドイツの2か国でのみ制作が許可された吹替版も同時公開される。

1月22日、東京・六本木ヒルズアリーナにはレッドカーペットが敷かれ、ジャパンプレミアがおこなわれた。主人公・ヴィクトリアを演じた英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワード、トム・フーパー監督、そしてプロデューサーのデブラ・ヘイワードがロンドンより来日。葵わかな、山崎育三郎ら日本語吹替版キャスト陣7名と一夜限りの対面を果たした。

Photos:Ballet Channel

来日ゲストコメント

●フランチェスカ・ヘイワード(ヴィクトリア役・人間に捨てられた若く臆病な子猫)

「『キャッツ』というすばらしい映画の一員としてここに来られたことをとても光栄に思っています。日本にはバレエの公演で何度も来ていますが、日本で過ごす時間が大好きですし、いつもあたたかく迎えてくださる日本のお客さまには心から感謝しています。『キャッツ』は一見楽しいエンターテイメントに見えますが、じつは多くの深いメッセージが込められています。愛、許し、寛容の心、セカンドチャンス、人生の再生……そのような誰の心にも響く、普遍的なテーマがたくさん詰まっています。私自身、子どもの頃にこのミュージカルを初めて観たときは、とても刺激を受けました。あのとき惚れ込んだヴィクトリアの役を、今こうして演じることができるのは運命的だと感じています。私が子どもの頃にインスピレーションを受けたのと同じように、この映画を見た子どもたちが、なにか共感を覚えて、大きな夢を見てくれたら嬉しいです

英国ロイヤル・バレエのプリンシパルとしてもいま大輪の花を咲かせているヘイワード。レッドカーペットに立つ姿のこの華やかさ!

●トム・フーパー(監督)

「みなさんこんばんは、トム・フーパーです。吹き替え版『キャッツ』はすばらしいキャストによる力作です。ありがとうございます。」とメモを見ながら日本語で挨拶

「『キャッツ』を映画化するのは私の夢でした。8歳のとき、両親が連れて行ってくれた舞台で初めて出会い、一目惚れした作品です。この映画は、幼き頃の自分のために作った――そんな想いもあります。私にとっての『キャッツ』は、‟優しい心”が周囲にもたらすことのできる変化、コミュニティというものの大切さを、ユーモアやダンスを通して伝えている作品。今回、日本語版を作りたいと思ったのは、日本の方々ならば、すばらしい芸術性と細やかな心づかいを持って、作品を作ってくださると確信していたからです。日本は自分にとって二つ目のホームのような場所。日本のファンの方々に最大限に響く『キャッツ』をお届けしたいという気持ちがありました。なかなか舞台を観に行くのは難しいという方もいらっしゃると思いますが、字幕版・吹替版の両方があることで、世代を問わず、多くの方にこの映画を楽しんでいただけたらと思っています」

レッドカーペットには夫人を伴って登場したフーパー監督

●デブラ・ヘイワード(プロデューサー)
「今日は日本のファンのみなさまに会うことができてとてもわくわくしています。長い時間をかけて、やっとこの映画をつくることができました。すばらしい作品ができたと誇りに思っています。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」

日本語吹替版キャストコメント

●葵わかな(ヴィクトリア役)
「ヴィクトリアの声を演じることができてとても嬉しいです。『キャッツ』は日本でも根強い人気のあるミュージカル作品。年齢や性別を問わず、いつ誰が見てもそれぞれに感じる取るものがあり、そこには正解がなければ間違いもない。長い間たくさんの人に愛され続けているのは、この作品が多くの人を受け入れてくれるからなのかな、と思います。ぜひみなさんに観ていただきたいですし、それぞれになにか感じていただけることがあったら嬉しいです」

●山崎育三郎(マンカストラップ役・ヴィクトリアを導く勇敢で兄貴肌の猫)
「大好きなトム・フーパー監督の映画に携わることができて、本当に興奮しています。収録ではマイクをバンドで頭に巻きつけて、実際に体を動かしながら、役者さんと同じ気持ちで吹替をさせていただきました。僕はずっとミュージカルの世界で育ってきたので、自分ができるすべてをこの映画にぶつけました。7年間、日本で舞台に立たせていただいているミュージカル『レ・ミゼラブル』の映画版も何度も何度も観ていて、フーパー監督のつくる世界に魅せられています。みなさんもぜひ、フーパー監督の魔法にかかってください!

●高橋あず美(グリザベラ役・誰からも愛されない孤独な猫)
「『キャッツ』映画化に携われたことをすごく光栄に思います。私が吹替えさせていただいたのは、18歳のころから大尊敬しているシンガー、ジェニファー・ハドソンが演じるグリザベラ。ジェニファーが歌う「メモリー」を初めて聴いたとき、ソウルとパワーの溢れる歌声が、いろんな感情をもたらしてくれました。その部分を失わずに日本語で歌う、ということにとても苦労しましたが、感情を乗せて歌を歌うのは幸せな時間でした。映画版にしかない『キャッツ』の魅力、新たな発見がたっぷり詰まった映画。みなさんもそれぞれのいろんな感情を楽しんでいただけたら嬉しいです」

●ロバート・秋山竜次(バストファージョーンズ役・町一番のお金持ちでグルメな紳士猫)
「世界的に有名なミュージカルの映画化で吹替をやらせていただけて、嬉しいです。まず、やっぱり猫たちに見てほしいな、というのが率直な感想ですね。悔しいことに今日は人間しかいなくて、もっと猫たちに……。とにかく(笑)、本当に嬉しいです。頑張って吹替えたのでぜひご覧になってください。僕はいろんな監督の目を見てきたけど、トム・フーパー監督は、いちばん優しい目をしていますね。こんなに優しい目の監督はいないから、だからこんなに素敵な作品ができたんじゃないかな、って(笑)。関わってくださったすべての方に感謝します。それから全世界の猫に、ありがとう!

●大貫勇輔(スキンブルシャンクス役・汽車をこよなく愛する働き者の猫)

スキンブルシャンクス役はロイヤル・バレエ団プリンシパルのスティーブン・マックレーが演じている。バレエファンにとっては見逃せないポイントのひとつだ

「この作品に携わることができて、本当に光栄です。スキンブルシャンクスは、タップを踏んだりバレエっぽい動きをしたり、踊りながら歌う鉄道が好きな猫。音楽はリズミカルで、すごく耳に残る曲です。僕もマイクを頭につけて実際に動きながら収録したので、息づかいまで表現できたのではないかと思います。特に注目してほしいのは、やっぱりダンス。一流のストリートダンサー、ジャズダンサー、コンテンポラリーダンサー、バレエダンサーのすばらしいダンスのパフォーマンスとともに、これまたすばらしい音楽とストーリー、そして作品に込められたメッセージを、たくさんの方に受け取って楽しんでもらえたら嬉しいです」

●大竹しのぶ(オールドデュトロノミー役・すべての猫たちから尊敬される慈愛に満ちた長老猫)

「オリジナル版を観て、すべてのカットに尊敬の念を抱きました。オールドデュトロノミーを演じたジュディ・デンチの一声一声、一息一息を、私の体を通してみんなに届けられるよう頑張りました。この作品は、優しさと愛が溢れています。今日監督にお会いしてお話を聞いていたら、その理由がとてもよくわかりました。映画を観て劇場を出るときに、『ああ、人生って楽しいんだ、頑張れる!』って絶対に思える作品なので、ぜひぜひ、オリジナル版も日本語版も、両方見てほしいな。日本語版を見てからオリジナル版を見て、もう一回日本語版を見てください(笑)」

●蔦谷好位置(日本語吹替版音楽プロデューサー)
「僕も幼少期に初めて観たミュージカルが『キャッツ』でした。そんな思い出深い作品に偉大なトム・フーパー監督と、すばらしいキャストの方々と一緒に取り組めるというのは、たいへん嬉しいことでした。今回、ドイツと日本でしか吹替版の制作が許されていないということで、非常に光栄であると同時に、最初はプレッシャーが大きかったです。でも、全身全霊で歌って演じてくれたキャストのみなさんのおかげで、オリジナル版に遜色なく、誇れるものができたと思っています。録音と編集の作業をしていると、監督の細部にいたるまでのこだわりがものすごく伝わってくるんですね。そこを日本語版にしたときに絶対に損なわないように、いかに正確に監督のメッセージを伝えられるか、最後まで頑張りました。ぜひそこを注目して見ていただきたいです」

上映情報

映画「キャッツ」
2020年1月24日より日本公開(字幕版/吹替版)

●公式HP:https://cats-movie.jp/

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