踊る
知る
PR

【NEWS】ロンドン市内に新設！プロを目指す若いダンサーのための【プロフェッショナル・バレエ・コース】オーディション参加者募集中

2023.04.19 阿部さや子　Sayako ABE

イギリス・ロンドン市内の40ヵ所以上の場所で、さまざまなパフォーミングアーツやクリエイティブに関する技術を学べる「シティ・アカデミー」。18歳以上を対象に、ダンス、歌、演技、映画制作、映像演技（スクリーン・アクティング）、ミュージカル、ライティング、写真、コメディ、アート、音楽、ライフスキルなどのクラスを開講しています。

このシティ・アカデミーが、2023年9月より、【プロフェッショナル・バレエ・コース】を新設します。

対象はプロのダンサーを目指す18〜25歳、コースは1年制。月〜金まで毎日フルタイムで、クラシック・バレエやコンテンポラリー・ダンス、パ・ド・ドゥ、レパートリー、振付やインプロヴィゼーション、キャラクター・ダンス等々を学ぶことができます。
クラシック・バレエのクラスについては、RAD、チェケッティ、デンマーク、ロシアといったメソッドそれぞれのスペシャリストが講師を務めるとのこと。

現在、2023年5月20日に行われる現地オーディションもしくはビデオオーディションの申し込み受付中です。

【シティ・アカデミープロフェッショナル・バレエ・コース】の詳細はこちら

このプロフェッショナル・バレエ・コース設立の指揮を執っているのは、元英国ロイヤル・バレエのダンサーで、ロイヤル・バレエ・スクールの教師も務めたアニタ・ヤング先生。
自身もクラシック・バレエクラスを担当するというヤング先生に、同コースの詳細についてお話を聞きました。

アニタ・ヤング Anita YOUNG MBE　英国ロイヤル・バレエの元ソリスト。ロイヤル・バレエ・スクールの教師を務めたのち、現在はゲスト講師やコンクール審査員、バレエミストレス等として、世界各国に招かれています。チェケッティ・メソッドのスペシャリスト。2019年、大英帝国勲章MBEを受章。

Q1 「シティ・アカデミープロフェッショナル・バレエ・コース」とはどんなコースですか？

プロを目指す若いダンサーのためのプログラムです。対象年齢は18〜25歳で、生徒たちはクラシック・バレエ、コンテンポラリー・ダンス、パ・ド・ドゥ、ヴァリエーション、キャラクターダンス、マイム、ピラティス等を、1年間フルタイムで学ぶことができます。

このコースを新設することになった大きなきっかけは、コロナ禍です。2020年に始まった未曾有のパンデミックにより、ちょうどその時期にバレエ学校の修了や就活・就職のタイミングが重なってしまった大勢の若いダンサーが、学ぶ場も踊る場もない宙ぶらりんの状態に陥ってしまいました。彼らは時々気晴らしのためにクラスを受けていて、それはそれで良いことですが、やはり年齢もレベルも違う人たちと一緒にレッスンを受けている状態では、それまでに身につけてきた技術を失うことにもなりかねません。ですからこの「プロフェッショナル・バレエ・コース」では、プロを目指せる水準にある若者たちをオーディションで選び、ふさわしいレベルのクラスを受けられるようにします。

Q2　クラシック・バレエについては、RADやチェケッティ・メソッド、ロシア派など、いろいろなスタイルのクラスが受けられるそうですね？

そのとおりです。私は主にチェケッティ・メソッドに基づいてクラスを行いますし、他にもRAD、デンマークのブルノンヴィル・スタイル、ロシア・バレエといった様々なバックグラウンドを持つスペシャリストが講師を務めます。プロとは時代の変化に対して柔軟であらねばならないし、その作品やディレクターが求めることを的確に実現していくことも重要。ですからこのコースでは、ひと口にクラシック・バレエといっても多様なスタイルを学ぶことができるようにしています。

Q3　コンテンポラリー・ダンスなどクラシック・バレエ以外のクラスはどんな内容ですか？

講師には、マシュー・ボーンのカンパニーで活躍していた講師や、マーサ・グラハム、リモン、カニングハムといったテクニックのスペシャリストによるクラスを設ける予定です。また、インプロヴィゼーションや振付なども学ぶことができますし、レギュラー講師の他にも、私がこれまで一緒に仕事をしてきた各国の素晴らしいアーティストたちを、ゲスト教師として招こうとも考えています。とにかく若いダンサーたちに多彩な経験の場を提供して、プロになるための具体的な訓練を積んでもらいたいと思っています。

Q4　シティ・アカデミーの学舎はロンドン市内に40ヵ所以上あるとのことですが、プロフェッショナル・バレエ・コースの生徒はどこで学ぶことになりますか？

シティ・アカデミーが新しいロンドン旗艦校としてオープンする「City Academy at 10 Herbal Hill」です。都心部のファリントンやエンジェル、キングスクロスといったエリアからアクセスしやすい、とても便利で素敵な場所なんですよ。建物はヴィクトリア朝後期の歴史的な建造物で、その中に12のスタジオやアートスペースを作っています。自然光がたっぷり入る明るいスタジオ、ダンスに最適な床。居心地がよく、温かなエネルギーに満ちていて、バレエを学ぶには最高の空間だと思いますね。また敷地内に学校専用の劇場も建設中です。将来的には観客の前でパフォーマンスもできるようになるでしょうし、振付家を招聘して小さなショーを開催するのもいいかもしれない……等と、早くもいろいろなアイディアが湧いていますよ！この場所で、若いみなさんの扉が大きく開かれることを願うばかりです。

Q5　定員は何名ですか？

初年度ですから、まずは25〜30人くらいを予定しています。多過ぎず、少な過ぎず……この人数なら充分に目を行き届かせて丁寧に指導することができますし、必要に応じてグループ分けすることも簡単です。

Q6　現地またはビデオによる入学オーディションで、とくに重視するのはどんな点ですか？

まずは音楽性。つまり音楽に動きを協調させることができるかどうか、ということです。まさにプロフェッショナル・バレエ・コースの対象となる18歳から25歳くらいというのは、肉体的にはピークを迎える年代でしょう。けれども私たちがバレエダンサーに求めるのは単なる柔軟性や運動神経ではなく、音楽的な動きや、役柄を息づかせることのできる表現力です。いま、ダンスの世界は芸術性を失いつつある。私はそう感じています。もちろん踊れる身体を備えていることは非常に重要ですが、このコースではそうしたアスレチックな面だけでなく、芸術性の面をより重視していきたいと考えています。

Q7　オーディションに合格して同コースで学ぶことになった生徒たちは、同時にカンパニー等への入団を目指すことになるかと思います。そうした生徒たちのための就職サポートはありますか？

もちろんです。オーディション用のビデオ制作の手助けや、履歴書の書き方、面接やオーディションを受ける上でのテクニック、自己アピールの仕方なども含め、仕事を得るために必要なことはコースの1年間で可能な限りカバーするつもりです。

Q8　プロを目指している人や、【シティ・アカデミープロフェッショナル・バレエ・コース】で学んでみたいと思っている人に、メッセージをお願いします。

あなたの身体は、あなたの楽器です。あなた自身が幸せを感じている時、その身体は美しい音楽を奏でることができるのです。
みなさんのような若いダンサーたちにとって、このプロフェッショナル・バレエ・コースが幸福な学びの場となるように、私たちは準備を進めています。バレエ、コンテンポラリー、キャラクター、ヴァリエーション……この広いダンスの世界から、各ジャンル一流の指導陣を招くこと。安全で美しい環境で学べるよう、学舎を整えること。スタジオでの練習を実際の舞台につなげられるように、パフォーマンスを披露する施設も用意すること。これらのすべてが、みなさんの未来への扉になるようにと願っています。

「人生にリハーサルはない。だから全力で生きなくてはいけない」。これは私の母がいつも言っていた言葉です。プロのダンサーになることを目指してがんばっている日本のみなさんも、もしこのプロフェッショナル・バレエ・コースで学んでみたいと思ったならば、ぜひオーディションに挑戦してみてください。

シティ・アカデミープロフェッショナル・バレエ・コース
City Academy 1 year Professional Ballet Course
2023/2024コース概要

【期間】
2023年9月〜2024年7月の3学期、33週
秋学期：2023年9月4日～12月8日
春学期：2024年1月8日～3月22日
夏学期：2024年4月15日～7月5日

【授業内容】
◎月〜金、フルタイム
◎3学期にわたって、実践と理論の両面から総合的なトレーニングを行う。
特別講師を招いてのマスタークラス、舞台や映画でのパフォーマンス等も実施の予定。
◎主な授業内容：
〈クラシック・バレエ〉
RAD、チェケッティ、デンマーク、ロシアのメソッドを取り入れ、ポワントワークや男性のヴィルトゥオーゾセクションを含むテクニッククラス
〈コンテンポラリー・ダンス〉
マーサ・グラハム、リモン、カニンガムのメソッドを取り入れたテクニッククラス
〈パ・ド・ドゥ〉
伝統的なクラシック・バレエのレパートリーに必要なスキルを身につけるクラス
〈レパートリー〉
学期ごとのショーケースやオーディションで発表するために適した、クラシックとコンテンポラリーのさまざまな振付を学ぶ
〈振付・インプロヴィゼーション〉
動きを通して自己表現することを学ぶ。学期末のショーケースに向けて、グループ作品の振付を行う
〈ピラティス〉
正しい筋肉の使い方を学び、あらゆるダンス活動で安全に動けるよう身体を強化し、整える
〈キャラクター・ダンス〉
ハンガリー、ポーランド、ロシア、スペインなど、様々な地域のダンスを学ぶ
〈マイム〉
クラシック・バレエにおける伝統的なマイムのレパートリーを学ぶ
〈オーディションのためのソロ〉
オーディションで踊るための準備に焦点を当て、ユニークで個性的な動きを表現していくこと、どのように自分をアピールし、プロとしてふさわしい能力を見せていくか等を学ぶ
〈レクチャーとワークショップ〉
ケガの予防と治療、リハビリテーション、栄養、健康と安全、オーディションのスキル、音楽などについて学ぶ
〈パフォーマンス〉
校内パフォーマンススペースにて、学期ごとに自作の振付や授業で学んだレパートリーを発表する
〈マスタークラス（定期開催）〉
著名な振付家やパフォーマーによるクラス