「ワールド・フィギュアスケート」(新書館刊)創刊20周年記念特別企画として、元フィギュアスケーターの町田樹氏が指導・レクチャーを行う公開ワークショップのオンデマンド配信がスタートした。
題して『フィギュアスケーターのためのバレエ入門ー「表現」熟達のための公開ワークショップ』。
2014年のソチ五輪代表で現在はフィギュアスケートと舞踊の関係性等を研究する町田氏が、「フィギュアスケートはバレエをいかに昇華するか」をテーマに〈レクチャー〉〈スタジオワークショップ〉〈氷上ワークショップ〉の3部構成で配信している。
「フィギュアスケーターのための」と銘打たれているけれど、これは「バレエファンのためのフィギュアスケート案内」でもあるし、「表現力とは何か」を知りたい人のための授業でもある。
PART 1は町田樹氏による講義「表現の熟達のために」。
フィギュアスケートにおいて舞踊を学ぶことの重要性や、バレエとフィギュアスケートの共通点と相違点、そしてフィギュアスケートにおける表現とは何か、といったことが約50分にわたり語られる。
PART 2は〈スタジオワークショップ〉。
町田氏の指導のもと、現役のプロスケーターや選手の4人がバレエのバー・レッスンを行う。
ここは、フィギュアスケーターにとっては、演技に応用可能なバレエの美しい身体の使い方・見せ方を実践的に学ぶパート。そしてバレエファンの私たちは、おなじみのポジションやポーズや腕・脚の運び方が、氷上の舞においてどのように活用され、演技を輝かせ得るのかを知ることができる。
また、町田氏が与えてくれるアンシェヌマンはとてもシンプルかつベーシックなので、自宅でちょっとバー・レッスンをしたいという時にもぴったりだ。個人的には、「黒鳥」の音楽を使ったフォンデュのエクササイズが楽しかった。ここでアドバイスされているような「表現」の意識をもつと、いつものバーの時間が何倍にも豊かになりそうである。
ちなみにこのレッスンでは、〈バレエチャンネル〉の人気連載でもおなじみの滝澤志野さんのレッスンCDから、多数の曲が使用されている。
最後のPART 3は〈氷上ワークショップ〉。町田氏と4人のスケーターたちはいよいよスケート靴に履き替え、町田氏が今回のために新たに振付けた作品を滑りながら、PART 2で学んだバレエスキルがいかにフィギュアの演技に応用されるかが具体的に示される。
音楽はショパンの「別れの曲」。この3分半ほどの小曲に込められた感情の襞を丁寧に掬い取りながら、スケーターたちが踊りついでいく美しい作品だ。
町田氏が各人に振りを写していくプロセスがドキュメンタリーのようにして映し出されたあと、完成した演技が映像作品として披露される。
バレエのように顔や腕の周りに広く空間をとることが、いかにプレゼンテーションを美的に変えるか。
音楽や振付に込められた感情を理解することが、いかにステップを“表現”にするか。
町田氏自身によるデモンストレーションも含め、スケーターたちが「表現力とは何か」を身をもって教えてくれる。
配信は2020年10月12日(月)いっぱいまで。詳細は以下の通り。
配信情報
「ワールド・フィギュアスケート」創刊20周年特別企画『フィギュアスケーターのためのバレエ入門ー「表現」熟達のための公開ワークショップ』
配信期間:9月12日(土)12:00〜10月12日(月)23:59
※一回の購入で期間中は何度でも視聴可能
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詳細:https://www.shinshokan.co.jp/wfs20th/workshop0912.html